色んなヤツらと人理修復する事になりまして   作:萩村和恋

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一人はド素人の一般人枠、藤丸立香
一人は永遠不滅の都市伝説集合体、巫部颯也
一人は駄聖女魔術師、春風聖香
その三人がマスターの人理修復の旅の始まりです。
立香ちゃん目線だったりします、ではどうぞ。


序章〜特異点F、炎上汚染都市冬木〜
壱話、人理が焼却された日


 …ぱい、せ……い、起きて下さい。

 微睡みの中、私は少女の声を聞いていた。一体誰だろう…というかさっきから冷たいな…私、床で寝てたのかな…?とりあえず目を開けよう。

 「ん…えっと、誰?」

 目を覚ました私の近くには、謎の生物と同じ年頃?の少女がいた。

 「私はマシュ・キリエライトです。こっちのもふもふした生き物はフォウさん。先輩が倒れていたのをフォウさんが見つけたんですよ。」

 成程、やっぱり私は倒れていたらしい。全くそのような記憶はないが……余程疲れていたのだろう。

 「キリエライトさんと、フォウさん…か。私は藤丸立香。マスターの一般人枠の最後ね。えっと…ココはカルデアであってるよね?」

 手を床につけて立ち上がりながら、私はキリエライトさんに確認をとる。

 「はい、ココは人理継続保障機関カルデアです。それと私のことはどうぞマシュとお呼びください。えっと…藤丸先輩は初めて見る顔ですが、今日初めてここに?」

 「うん。今日ここについたの。マシュはカルデアの局員さん?それともマスターの一人?」

 「私は局員です。」

 と、二人で話していると、前から人が来た。

 「おや、見ない顔だね。マシュ、そちらの子は?」

 紳士然とした格好の好青年だった、この人は一体…?

 「レフさん。コチラは一般人枠最後のマスター、藤丸立香先輩だそうです。床に倒れていたところをフォウさんが見つけてくださいました。」

 マシュはレフと呼んだ好青年に説明をしていた。好青年の方は話を聞き終えると、ふむ、と言ってこっちに手を伸ばしてきた。

 「私はレフ・ライノール。カルデアの顧問さ。よろしく。」

 「藤丸立香です、よろしくお願いします。」

 私は緊張しながらも握手に応じた。

 「…っと、そろそろマスター達の集合時間だね。丁度いい、部屋まで送っていこう。」

 「集合…ですか?」

 「あぁ、時間ギリギリになってしまうからね、早く行こう。」

 「あっ…はい、じゃあマシュ、またね。」

 別れ際、マシュに手を振ってからレフさんについて行く。

 

 「あら貴女、眠ってるなんて随分と余裕ね?」

 「えっ、えーっと…。」

 マスター達が集合しているという部屋では話し合いが行われようとしていて、私とレフさんはギリギリだった。その後は空いていた席に座ってカルデアの所長のオルガマリー・アニムスフィアという美人な女性の話を聞いていた。聞いていたのだが……眠たくて眠たくてつい眠ってしまい、起こされたと思ったら前方には怒りに顔を染め尽くした所長がいたのだ。

 「貴女、一般人枠最後のマスターでしょう?」

 「はっ、はい!」

 「大事な話をしてる時に眠るなんて随分と余裕なのね?それともやる気が無いのかしら?」

 「すっ、すみません…。」

 「いや、いいわ。貴女は出て。レフ!コイツどこかに連れて行って!」

 「あぁ。」

 レフさんに連れられ、部屋の外に行く。

 「えっと…すみません、レフさん。」

 「別に大丈夫さ。さて…ん?」

 「レフさん、何故先輩は外に?」

 「大事な話をしてる時に眠ってしまっていてね、オルガマリーから外に出せと命じられたのさ。マシュ、藤丸くんを彼女の個室まで連れて行ってくれるかい?」

 「わかりました。先輩、個室まで案内します。」

 「あっうん、わかったよ。レフさん、本当にすみません…。」

 「何、礼には及ばないさ。ではまた。」

 レフさんは中に戻って行った。

 

 

 「先輩の部屋は……ここですね。」

 「ありがとう、マシュ。」

 ニコッと笑ってマシュにお礼を言う。マシュも少しニコリと返してくれた。

 「では私は戻りますね。」

 そう言って来た道を戻っていくマシュ、ソレを少し見届けて個室の中に入った。

 「今入ってま─きっ、君は誰だ!?ココは僕のサボり部屋だぞ!」

 「いや貴方こそ誰ですか!?ていうかサボり部屋…!?ココ私の部屋じゃ…。」

 個室に入ると、なんというか全体的にほわほわした雰囲気の男性がお菓子をつまみながら寝転がっていた。着ているものを見る限りお医者様だと思うけど…。男性は不審なものを見る目で見ていたが、直ぐに納得したのか直ぐに話しかけてきた。

 「私の部屋…ってことは、君、一般人枠最後のマスターかい?」

 「?はい。藤丸立香と申します。貴方は?」

 「ボクはロマニ・アーキマン。ここカルデアのドクターだよ。」

 と、男性はゆるふわとした笑みで答える。

 「はぁ…なんでドクターがココに?」

 「マリー…所長がね、僕がいると空気が緩むからって理由で部屋から追い出したんだ。そういう君はどうしてココに?マスターなら今は全員集合してるはずだろう?」

 「ねっ、眠っちゃって…ソレで追い出されました。」

 「なるほど…。」

 それから暫く二人で話し込んでいると、部屋のモニターがついた。

 「ロマニ、今から管制室の方に来てくれ。」

 モニターに映ったのはレフさんだった、ドクターの呼び出しらしい。

 「ん、わかったー。今行くよ。」

 「あぁ。」

 「…という事だから、藤丸君、僕は行ってくるよ。」

 モニターが切れ、ドクターは立ち上がって部屋から出ていった。

 その数分後だった、私は部屋で寝っ転がっていたのだが、突如遠くから…管制室、先程私がいた場所で今ドクターが向かって行った場所、恐らくそこで爆発が起きたのだろう。

 「いっ、行かなきゃ…!」

 まだあそこにはマシュ達がいるはずだ、早く助けに行かないと…!

 私はひたすら走り続けた。

 

 

 そこは、地獄だった。

 沢山の血だ、沢山の瓦礫だ、沢山の……人の、呻き声だ。

 まだ生きている人達もいたけど、その殆どが死にかけだった。今はマシュを探そう…。

 「マシュー!?何処ー!」

 「オイ、そこの!マシュならこっちだ!」

 マシュへ叫びかけていると、1人の青年と同年代くらいの少女、それと倒れ掛けのマシュがいた。

 「マシュ!」

 かけよってマシュの方に行く。

 「せん……ぱ…い…?」

 マシュは下半身を瓦礫に潰され、動けないようだ。近くにいた男女は他のところにいった、他にも助けれそうな人を助けに行ったのだろうか?

 「うん、そうだよ!今助けるから…!」

 「行けません…!先輩は早く逃げて…!」

 「嫌だよ!折角知り合えたんだもん!」

 「でっ、ですが…!」

 「なら!…なら、最期までマシュの近くにいるから…!」

 私はマシュの手を取って握った、もう助からないのかもしれない、でも私は、最期まで、最後の時まで彼女と共にいよう。

 火の勢いは増してドンドン周りと燃やしていってしまう。

 恐らく、そろそろ私たちは死ぬだろう。先程見た男女も、ココいる皆は全員…

 『──レイシフト先、2004年、冬木。レイシフト適正体四体確認、レイシフトを実行します。』

 そんな声が聞こえた気がした……瞬間、私は意識を失った。




次回、燃え続ける街の中で。もしかしたら二月中に投稿できるかもしれません。

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