IS 一夏も自分も嫌い   作:ヌタ夫

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プロローグ

IS 一夏も自分も嫌い

 

 プロローグ

 

 

 

 織斑一夏が嫌いになったのは中学の時だ。

 

 確か、同じクラスになって隣の席に座ってたのが一夏だった。

 

「よろしくな」

 

 そう言ってきた。隣の席だったから織斑と話すことも多かった。教科書を忘れた時には見せたり、見せてもらったり。

 

 そんなこんなで付き合っているうちに、あいつの小学校の時からの友達である五反田弾、凰鈴音の仲良しグループとも遊ぶようになり、互いに名前で呼ぶようになった。

 

 ん? ただの友達で全然嫌っていないじゃないかって?

 

 大丈夫だ。もうすぐ嫌いになるから少し黙ってろ。

 

 それで……つるんでいるうちに鈴。あ、鈴音のことな。

 

 俺はあいつのことが好きになってたんだ。

 

 最初は、異性だから性の芽生えで暴走気味になった自分の過剰反応とかだと思ってた。

 

 けれど、そういったもの以外、一緒にいると落ち着くとか、可愛いと思うようになって、本当に好きなんだと理解したんだ。

 

 告白しよう。

 

 人生初めての一大決心である。

 

 決めてからはどこでどういう風に告白しようかと躍起になって考えはじめた。

 

 今になってみると、四六時中考えていたせいで鈴に対して変な態度とっていたから多分バレてたんじゃないかと思う。

 

 まぁ、それはさておき、俺はとうとう告白を決行した。

 

 呼び出す場所は無難に在り来りな校舎裏。告白のセリフはただ単純に「好きです。付き合ってください」。

 

 なんとも俺らしい普通極まりない無難でシンプルで在り来りな単純なやり方だ。

 

 下駄箱へ投入した手紙で鈴を校舎裏へ呼び出すことに成功した俺は「なんか用?」と聞いてきた鈴へ深呼吸をして早鐘を打ち鳴らす心臓を落ち着けて言い放った。

 

「好きです。付き合ってくださあい!」

 

 そう言って深く礼を鈴へした。

 

 声が裏返っていたものの言い切った俺はある種の達成感を感じていた。

 

「え、えーと……ご、ごめん」

 

 その言葉に俺の心は床へ叩きつけられた花瓶のように砕けた。

 

「あたし、一夏のことが好きなんだ。だから……ごめん!」

 

 バツが悪そうな鈴の言葉に俺は納得した。

 

 思い返せば鈴は一夏にアプローチをしていた。全員で遊んでいる時もそうだった。あの唐変木に効果があったかは確認できていないが。

 

 納得する一方で俺は一夏がいなければと思った。いなければ俺は鈴と付き合えたかもしれない。

 

 俺の告白が失敗したのは一夏、あいつのせいだ!!

 

 そう思ったとき、俺は一夏も自分も嫌いになった。

 

 違うだろ。一夏がいたから鈴と会えたんだし、鈴があいつのことが好きだったのは多分小学校からだフラレたは自分が魅力的じゃなかったからだ。

 

 一夏が悪いわけじゃない。

 

 そうだ。それなのに俺はフラレた原因を一夏に転嫁しようとした。

 

 くそ、最低だ。

 

「ごめん、本当にごめん」

 

 涙ぐみながら鈴は何度も何度も謝っていた。

 

「あー、大丈夫だって。別に気にしてないから」

 

 嘘だ。勝手に自滅しただけの自分に、罪悪感を感じて謝ってくる鈴が居た堪れなくて、そのまま謝られていると自分が惨めになるから、終わらせるためについた嘘。

 

「そうだ、俺も協力するよ!」

 

 フラレたくせにいい格好つけようとする。また、自分が嫌いになる。

 

 言葉を重ねるたびに俺は俺自身に蔑まれていく。そしてどんどん惨めになっていった。

 

 

 

 

 

 月日を重ねるごとに俺の中の惨めさはどんどん大きくなっていった。

 

 そして、一年前。鈴が中国に帰ると、度々そのことを思い出した。

 

 表面上では一夏とは普通に接していたが、中ではどんどん嫌いになっていた。それに伴い、そうやってネチネチと前のことで一夏を憎む自分がどんどん嫌いになり、自分がどんどん惨めになっていった。

 

 俺はだんだんと一夏たちとは距離を置くようになり、たまに顔を合わせたら話をするぐらい。遊びに行くのも別の仲間と行くようになった。進学先も一夏とは別の学校を受験した。

 

 合格。

 

 晴れて合格だ。これで一夏と、惨めさとはお別れだ。

 

 けれど、俺はまだまだ惨めにならなきゃいけないらしい。

 

 一夏を嫌い、自分を嫌い、惨めになる日々を、ここIS学園で。

 

 

 

 

 

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