異世界料理人   作:孤独なバカ

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ライセン大迷宮3

「よしあった。ハジメここだ。」

 

シアが一人でストレス発散というなのゴーレムの蹂躙をしているとき隼人とユエが迷宮の空洞を探して壁を叩いていた時隼人が音が違うところを見つけたところだった。

 

「了解。ちょっと離れてろ。」

 

とありったけの力を振り絞り錬成で穴を開けるハジメ。すると開いた瞬間になだれ込む隼人達。今までの部屋であれば敵は追うことなくそのばで止まるのがこの迷宮の特徴だと思っていたからだ。

 

「はっ?」

「なっ!!」

「どうなっているの?」

「えっちょ。」

 

と様々な反応を見せる隼人達。というのもゴーレム騎士達も扉をくぐって追いかけてきたからだ。しかも……

 

「なっ!? 天井を走ってるだと!?」

「……びっくり」

「重力さん仕事してくださぁ~い!」

「そういう問題じゃないでしょ!!」

「というよりなんで魔法が使えるんだよ!!」

 

 そう、追いかけてきたゴーレム騎士達は、まるで重力など知らんとばかり壁やら天井やらをガシャンガシャンと重そうな全身甲冑の音を響かせながら走っているのである。これには、流石のハジメ達も度肝を抜かれた。ハジメと隼人は、咄嗟に通路に対して鑑定系技能を使うが、材質は既知のものばかり。重力を中和したり、吸着の性質を持った鉱物等は一切検知できなかった。

それどころか魔力感知で隼人は重力の原因が魔法だと暴いていた。それに隼人は突っ込んだのである

 

 天井を走っていたゴーレム騎士の一体が、走りながらピョンとジャンプすると、まるで砲弾のように凄まじい勢いで頭を進行方向に向けたまま宙を飛んできたのである。

「んなっ!? くそったれ!」

 

ハジメは驚愕の声を漏らしながらドンナーを連続して発砲する。放たれた弾丸は閃光となって飛んできたゴーレム騎士の兜と肩を破壊した。ゴーレム騎士は頭部と胴体が別れ、更に大剣と盾を手放す。しかし、それらは地面に落ちることなく、そのままハジメ達に向かって突っ込んできた。

 

「よっと。」

「隼人ナイス!!」

 

ガンランスを宝物庫から出し防御専念に回る。ゴーレム騎士の頭部、胴体、大剣、盾を屈んだり跳躍したりして躱すか隼人が防いでいく。隼人達を通り過ぎたゴーレム騎士の残骸は、そのまま勢いを減じることなく壁や天井、床に激突しながら前方へと転がっていった。

 

「おいおい、あれじゃまるで……」

「ん……〝落ちた〟みたい」

「重力さんが適当な仕事してるのですね、わかります」

 

 まさしくユエやシアの言葉が一番しっくりくる表現だった。どうやらゴーレム騎士達は重力を操作できるらしい。なぜ、前回は使わなかったのかはわからないが、もしかすると部屋から先の、この通路以降でなければならなかったのかもしれない

 

「あ〜面倒くさいわね。全部ぶっとばすから耳塞いで。」

「了解」

「ん。」

「ほれ。」

「えぇ~何ですかそれ!?」

 

優花に宝物庫から手元に十二連式の回転弾倉が取り付けられた長方形型のロケット&ミサイルランチャー:オルカンを渡す。ロケット弾は長さ三十センチ近くあり、その分破壊力は通常の手榴弾より高くなっている。弾頭には生成魔法で〝纏雷〟を付与した鉱石が設置されており、この石は常に静電気を帯びているので、着弾時弾頭が破壊されることで燃焼粉に着火する仕組みらしい。

初めて見るオルカンの異様にシアが目を見張る。ハジメと隼人、ユエとは、走りながら人差し指を耳に突っ込んだ。

シアのウサミミはピンッと立ったままだが、お構いなしに優花はオルカンの引き金を引いた。

 

バシュウウ!

 そんな音と共に、後方に火花の尾を引きながらロケット弾が発射され、狙い違わず隊列を組んで待ち構えるゴーレム騎士に直撃した。

次の瞬間、轟音、そして大爆発が発生する。通路全体を激震させながら大量に圧縮された燃焼粉が凄絶な衝撃を撒き散らした。ゴーレム騎士達は、直撃を受けた場所を中心に両サイドの壁や天井に激しく叩きつけられ、原型をとどめないほどに破壊されている。再構築にもしばらく時間がかかるだろう。

隼人達は一気にゴーレム騎士達の残骸を飛び越えて行く。

 

「ウサミミがぁ~、私のウサミミがぁ~!!」

「耳を塞げって言ったでしょ!!」

 

併走しながら、ウサミミをペタンと折りたたみ両手で押さえながら涙目になって悶えているシア。兎人族……それは亜人族で一番聴覚に優れた種族である。

 

「ええ? 何ですか? 聞こえないですよぉ」

「……ホント、残念ウサギ……」

「否定できねぇ。」

 

 再び落ちて来たゴーレム騎士達に対処しながら、駆け抜けること五分。遂に、通路の終わりが見えた。通路の先は巨大な空間が広がっているようだ。道自体は途切れており、十メートルほど先に正方形の足場が見える。

「全員飛ぶぞ!」

 

 ハジメの掛け声に頷く隼人たち。背後からは依然、ゴーレム騎士達が落下してくる。それらを迎撃し、躱しながら通路端から勢いよく飛び出した。

 身体強化された隼人達の跳躍力はオリンピック選手のそれを遥かに凌ぐ。世界記録を軽々と超えて眼下の正方形に飛び移ろうとした。

 が、思った通りにいかないのがこの大迷宮の特徴。何と、放物線を描いて跳んだ目の前で正方形のブロックがスィーと移動し始めたのだ。

 

「なにぃ!?」

「皆捕まって。」

 

優花が紐付きのクナイを投げ必中と一緒に投げつけ隼人がその勢い綱を身体強化を使いよじ登り

 

「よっと。」

 

隼人がそのロープを引き上げる。言葉にはしないが阿吽の呼吸で全員を引き上げることに成功する

 

「くそっ、こいつら、重力操作かなんか知らんが動きがどんどん巧みになってきてるぞ」

「……たぶん、原因はここ?」

「あはは、常識って何でしょうね。全部浮いてますよ?」

 

シアの言う通り、周囲の全ては浮遊していた。

この場所は超巨大な球状の空間だった。直径二キロメートル以上ありそうである。そんな空間には、様々な形、大きさの鉱石で出来たブロックが浮遊して不規則に移動をしているのだ。完全に重力を無視した空間である。だが、隼人達はしっかりと重力を感じている。おそらく、この部屋の特定の物質だけが重力の制限を受けないのだろう。

 

「それがここの神代魔法で間違いはないでしょうね。」

「そうだな。『重力魔法』この迷宮の手に入れられる魔法で間違いないな。」

 

隼人と優花は神代魔法を予想している。というよりも確信しているのだが

節しているのか、方向転換が急激である。生物なら凄まじいGで死んでいてもおかしくないだろう。この空間に近づくにつれて細やかな動きが可能になっていった事を考えると、おそらく……

「ここに、ゴーレムを操っているヤツがいるってことかな?」

 ハジメの推測に全員が賛同するように表情を引き締めた。ゴーレム騎士達は何故か、ハジメ達の周囲を旋回するだけで襲っては来ない。取り敢えず、何処かに横道でもないかと周囲を見渡す。ここが終着点なのか、まだ続きがあるのか分からない。だが、間違いなく深奥に近い場所ではあるはずだ。ゴーレム騎士達の能力上昇と、この特異な空間がその推測に説得力を持たせる。

隼人が〝遠見〟で、この巨大な球状空間を調べようと目を凝らした。と、次の瞬間、シアの焦燥に満ちた声が響く。

 

「逃げてぇ!」

「「「「!?」」」」

 

全員が反応よりも体が反応しシアの警告に瞬時に飛び退いた。運良く、ちょうど数メートル先に他のブロックが通りかかったので、それを目指して現在立っているブロックを離脱する。

直後、

 

ズゥガガガン!!

 

 隕石が落下してきたのかと錯覚するような衝撃が今の今までハジメ達がいたブロックを直撃し木っ端微塵に爆砕した。隕石というのはあながち間違った表現ではないだろう。赤熱化する巨大な何かが落下してきて、ブロックを破壊すると勢いそのままに通り過ぎていったのだ。

 

「さすがにシャレになってねぇぞ。」

 

隼人達は冷や汗が垂れる。シアの警告がなければ恐らく即死だったであろう。感知出来なかったわけではなかった。シアが警告をした直後、確かに気配を感じた。だが、落下速度が早すぎて感知してからの回避が間に合ったとは思えなかったのである。

 

「助かったシア。ありがとよ。」

「……ん、お手柄。」

「えへへ、〝未来視〟が発動して良かったです。代わりに魔力をごっそり持って行かれましたけど……」

「それでも死ぬよりはマシよ。」

「そうだな。ちょっとマジで難易度高いぞ。この迷宮。」

 

この中で一番感知能力が高い隼人の感知より早く気がついたのはシアの固有魔法〝未来視〟が発動したからのようだ。〝未来視〟は、シア自身が任意に発動する場合、シアが仮定した選択の結果としての未来が見えるというものだが、もう一つ、自動発動する場合がある。今回のように死を伴うような大きな危険に対しては直接・間接を問わず見えるのだ。

 つまり、直撃を受けていれば少なくともシアは死んでいた可能性があるということだ。改めて戦慄を感じながら、隼人とハジメは通過していった隕石モドキの方を見やった。ブロックの淵から下を覗く。と、下の方で何かが動いたかと思うと猛烈な勢いで上昇してきた。それは瞬く間にハジメ達の頭上に出ると、その場に留まりギンッと光る眼光をもって隼人達を睥睨した。


「おいおい、マジかよ」

「……すごく……大きい」

「お、親玉って感じですね」

「……まぁラスボスで間違いはないだろうな。……ちょっとステータスが気になるところではあるけど。」

「隼人、どうしたのよ。そんな複雑そうにして。」

 

目の前に現れたのは、宙に浮く超巨大なゴーレム騎士だった。全身甲冑はそのままだが、全長が二十メートル弱はある。右手はヒートナックルとでも言うのか赤熱化しており、先ほどブロックを爆砕したのはこれが原因かもしれない。左手には鎖がジャラジャラと巻きついていて、フレイル型のモーニングスターを装備している。

巨体ゴーレムに身構えていると、周囲のゴーレム騎士達がヒュンヒュンと音を立てながら飛来し、隼人達の周囲を囲むように並びだした。整列したゴーレム騎士達は胸の前で大剣を立てて構える。

すっかり包囲され緊張感が高まる。辺りに静寂が満ち、まさに一触即発の状況。そんな予感をさせるほど張り詰めた空気を破ったのは……

……巨体ゴーレムのふざけた挨拶だった。

「やほ~、はじめまして~、みんな大好きミレディ・ライセンだよぉ~」

「「「「……は?」」」」

 

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