異世界料理人   作:孤独なバカ

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動揺

「……本当によかったです。三人が生きていてくれて。」

「そっちもな。先生も元気そうだな。」

「……本当によかったわ。愛ちゃんも何よりで。」

 

と二人がほっとしていたんだけど隼人だけは違った

 

「愛ちゃん。何日寝てない?」

「「へ?」」

「何を言っているんですか?私は何も。」

「……ちゃんと答えてくれないか?」

 

その言葉に愛ちゃんは少し目を逸らす。

 

「……4日です。私も清水くんの力になりたいと思って。」

「……先生いつの間に?」

「ギルドの捜索依頼も愛ちゃんが出したことは知っているんだよ。元々愛ちゃんは先生ってだけあって生徒第一主義だからな。……普通に無理をするんだよ。この人。」

 

ジト目で隼人が愛子の方を見ると、優花とシアがこれまたジト目で隼人の方を見る。

 

「えっと。なんで知っているの?」

「先生酒に酔うと基本的に生徒の自慢話と自分が生徒のために何をしているかを語り出すんだよ。俺の家居酒屋だし。」

「あ〜。そういえば中村が先生が家に泊まったって言っていたけど。」

「酔っ払って眠った愛ちゃんの介抱しているんだよ。愛ちゃんが酔うってこと自体が珍しいけど疲れている時は特に回りやすいからな。特に体育祭や文化祭の時は本当に大変だった。俺のことを名前呼びするわ。俺の背中で吐いてそのまま俺のベットで寝るわで。翌日が日曜日だったからよかったものの」

「ちょ、は、隼人くん!!」

 

顔を真っ赤にして愛子が隼人の口を押さえる。こういった時愛子をいじる隼人は生き生きしている。

 

「……愛ちゃん何してるの。」

「それに先生さん普通に隼人くんって言ってますよ。」

「この人プライベートでは名前呼びだぞ。てか俺を須藤って呼ぶ先生の方が少ないだろ。」

 

愛ちゃんは学校では普通に苗字で呼ぶが基本的に先生も居酒屋の関係上名前呼びされる人の方が多い。

すると地球組の二人は納得したらしい。

 

「そういえばその二人は?」

「兎人族のシアと吸血鬼族のユエ。今は。」

「「ハジメ(隼人さん)の女(ですぅ〜)。」」

「お、女?」

 

 愛子が若干どもりながら「えっ? えっ?」とハジメと隼人、優花と二人の美少女を交互に見る。上手く情報を処理出来ていないらしい。ついでに話題作りの時に隼人と優花と恋人同士なのは三人には話していた。

 

「言っとくけどこっちの世界じゃ重婚できるらしいからな。俺はこっちの世界にも顔出すつもりだしこっちでも籍は作る予定だからな。」

「…トータスにですか?」

「あぁ。色々したい事とか色々あるし。それに……色々思うことがあるんだよ。それならこっちでも活動しておいた方がいいと思うし。縁を大事にしたいんだよ。こっちの世界で獣人族とも少しは仲は良くなったと思うしな。」

 

と隼人は少し笑う。ブルッグの街でも獣人族ともこれから先縁を途切れさせたくはないと考えていた。

 

「……隼人らしいな。なんかこうやって交友関係を広げるのは。」

「まぁ。交友関係は広い方がいいだろ?シアも今までは差別はなく旅を続けられている訳だし。」

「てか奴隷紋ってあぁ。これフェイクか。」

「そういうこと。ちょっと樹海に行ってきたのもあるし。」

「獣人族についての話は聞きたいなエルフ族とかもいたんだろ?」

「まぁおいおい話すつーかいつか合わせてやるよ。差別とかはするなよ。」

「てかお前目はどうしたんだよ?」

 

と幸利と隼人が何気ない会話で盛り上がっていく。

と思ったやさき

 

「そういえば隼人くん遺書なんですけど。」

「……遺書?」

「……あっ。そういえば書いてたな。すっかり忘れていたし。」

「お前そんなの書いてたのか?」

「あぁ。正直俺がこの世界で生き残れるなんて思ってもなかったからな。多分誰かが危険に陥ったとき自分を犠牲にしても多分助けるだろうし。……ぶっちゃけると迷宮内で誰かが死ぬと思っていたんだよ。」

「……えっ?」

 

その言葉に隼人と幸利以外の全員が絶句するが幸利は予想はでき、

 

「あぁ。俺も同感だな。あの時は緊張感がなさすぎた。」

「俺も同感。もし死ななかったら俺がわざと犠牲になろうとしてたんだよ。一応転移の魔法陣を使って危機感を植え付けようとしてた。ハジメと一緒に逃げるためにな。ハジメと恵里、後はメルド団長に頼んでいたしあの人も普通に生徒思いだからって八重樫の遺書にネタバレしておいたんでけど、あいつ読んでないの?」

「……そうなの?」

「あぁ。白崎に伝えるために八重樫と、あと優花にはネタバレとして手紙に書いてあったのとリリィにも事情は話していたんだけど。」

 

と隼人は先の事を考えてそういう判断を効かせていたのだが全く気づかなかったらしい

 

「……一応愛ちゃんか鈴辺りには知らせようと思ったけど。さすがに多くの人に知らせるのは危険だったからな。書いてある内容がすでに危険だったし。」

「は、はい。教会は危険だとか色々書いてありましたから。えっと八重樫さんは……ちょっと色々あって。」

「色々?」

「部屋にこもりっぱなしで泣いていたんだよ。隼人が死んだことをずっと信じられなかったのがあいつだから。」

「……八重樫って俺死んだとされてからどれだけ部屋にこもりっぱなしだった?」

 

嫌な予感がした。いや。それでも聞かなければならなかった。

息を呑む隼人に愛子が答える

 

「……八重樫さんは隼人くんが落ちてから迷宮を脱出するまでは白崎さんのこともあって持っていたそうですが王都に戻ってからは寝込んではいなかったのですが……一週間は部屋に閉じこもっていました。」

「……っ!」

 

珍しく隼人が動揺を隠せなかった。雫はてっきり香織がいればてっきり大丈夫だと勘違いをしていたのだ。

いや。香織も何かが起こったのだろう。雫を復活させられるのは香織しかいないだろうと推測する。

 

「……やっぱりお前八重樫関係で何かやっていたんだな。」

「あぁ。……つーか奈落に落ちたことは予想外だったし八重樫が弱い女の子ってことはわかっていたんだけど。俺自身予想外だったんだよ。奈落に落とされるっていうのは。……はぁ。完全に俺のせいだな。」

「落とされる?やっぱり檜山くんが三人を落としたの?」

「……へ?」

 

またおかしな顔をする隼人。これにはハジメも優花も同じような表情をとっていた

 

「なんで知っているの?」

「檜山あの後王都から追放されたんだよ。一応教会側は庇っていたけど白崎が許さなかったんだよ。」

「白崎が?」

「あぁ。あいつ八重樫が精神的に弱いって分かってからはまるでお前のように八重樫を扱っているからな。八重樫がついタイミングが悪く天之河ともめたばかりだったから我慢できなくなったんだろ。所構わず泣きじゃくってな。全く前とは違って今は八重樫が白崎に頼るってことの方が多いんじゃないか。」

「……予想できねぇ〜。」

 

と隼人は少し笑顔を作ろうとして、それは誰もが作り笑いって分かるような笑顔だった。

動揺が恐らく隠せないのだろう。八重樫に少し頼ってしまったのが少しばかり悔やまれる

それ状況が分かったのだろう。隼人が少しため息を吐き少し俯いてしまう

……悪いお前の気持ち考えてなかった。

と少し反省していると

 

「……やっぱり気になるのか?」

「……流石にな。というよりも……少し檜山を放ったのが心配なんだよ。」

「檜山が?」

「白崎の妬みで俺を殺すような奴だぞ。少しどころか俺たちが生きていると知れたなら。」

「……あ〜殺しにきそうだね。」

「それに八重樫もかなり危険だろ。白崎が八重樫のせいで追い出されたとしたら。……八重樫にも危険が及ぶだろうし。最悪あいつなら魔人族と組んでもおかしくはないだろ。」

 

とぶっきら棒にハジメと隼人が言うとシアやユエが首を傾げる

 

「でもハジメさんと隼人さんなら返り討ちできるんじゃ。」

「そりゃ多分な。……でも殺しちゃうだろ?」

「……ん?」

「へ?」

「いや。生徒を殺したらさすがに愛ちゃんが自殺するかも知れないだろ?言っとくけどあいつなんてどうでもいい。結果的に奈落に落ちたわけだけどそれで俺にとって大切な人が傷つけられる可能性だってある。言っとくけど敵なら容赦はしないぞ。クラスメイトでも王様でも神でも殺す。」

 

隼人がそういうと全員が絶句する。

殺気が漏れ少し奈々が驚いたようにしていたが悪い悪いと殺気を閉じる隼人。

 

「……もしかして人を殺したことが。」

「ある。……シアとシアの家族たちを助けるために数十人ほど殺した。」

 

愛ちゃんの答えに隼人はキチンと答える。

 

「……愛ちゃんには言っていただろ?八重樫に構っていたのも体調を崩していたこともそこなんだ。俺はこの世界に来た時から人を殺すっていう覚悟はしていたんだよ。……戦争について理解してたのは数少ないだろうけど、魔人族も獣人族も、まぁ魔物も一つの命だ。それを奪うっていう重さは変わらない。……俺もあの後全く食入らなかったし。」

「……あっ。」

 

と優花とハジメ、ユエは恐らく初めてであろう隼人の弱みに気づいた。あの後料理を作っていたのは隼人だ。しかしその料理を口にするどころかその日隼人は何も口にしていなかったことに気づかなかった。

それどころではない。よく考えたら隼人はそれ以降誰も殺してはいないのだ。イラついたり愚痴をこぼしたりはしていたけどそれでも隼人は何があっても弱さを見せなかった。

 

「……お前。」

「言っとくけど人を殺せないって訳ではない。ただ出来る限りはあんまりな。……魔法でシアを守るためとはいえ殺人は殺人だ。……一応優花は殺してないだろ?……ちょっと俺自身怖いんだよ。地球に戻った時の反応とか。……家族の反応とか。というよりも八重樫の件も優花にしろ俺の本心と基本的に同じなんだよ。怖いや不安が当たり前。俺だってそうなんだから。」

 

すると隼人の心の本心からの言葉であることを優花も幸利も気づいていた。

 

「愛ちゃんもそうだろ?俺も先生もみんなのために戦っている。俺の仕掛けた罠に教会はうまくはまってくれたしな。」

「全てはお前の思い通りってことか?」

「そんな訳あるか。もうちょっと期間があれば完全に教会の権力をなくすことができたのに。」

「「「……」」」

 

この時隼人以外の誰もが思った

隼人には絶対に逆らってはいけないと




なんかどんどん隼人がドSになってきているのでここでアンケートをとります。
ティオの扱いをアンケートで決めます。
なおティオが外れた方のヒロインにエルフのアルテナが加わるだけです

ティオのヒロイン

  • 隼人
  • ハジメ
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