設定をまとめるのにちょっと苦労しました。
愛子は部屋に戻るとフゥと息を吐いた。
「……よかった。生きていたんですね。三人とも。」
と一つ胸を下ろしベットに座り込む愛子。
愛子は、今日の出来事に思いを馳せ、ソファーに深く身を預けながら火の入っていない暖炉を何となしに見つめる。
考えねばならないこと、考えたいこと、これからのこと、ぐるぐると回る頭は一向に建設的な意見を出してはくれない。大切な教え子が生きていたと知ったときの事を思い出し頬が緩むも、とある言葉と表情で全てを狂わされた
人を殺した
その時の表情は隼人自身恐らく初めて見せた恐怖の表情。
愛子自身隼人から話されたことがあったので分かっていた。戦争っていうのは人を殺す覚悟がいることを
隼人がクラスメイトのために行動しているのは愛子自身分かっていた。隼人に任せていたことも事実だ。
愛子は隼人をかなり評価している先生の一人で隼人に頼ってそして結果を出し続けていた。
しかしあの表情を見て分かってしまった
隼人自身恐怖と戦っていたのだ。ずっと奈落に落ちてからもずっと。
「……」
愛子はベッドに寝転がる。
「隼人くんは強いですね。」
小さな声で呟くと愛子は少し胸がズキッと痛むのが感じる。
何故なら一番早くSOSを表していたのに愛子はそれを全くっていうほど気づかなかったのだ。
「……すいません。隼人くん。気づいてあげられませんでした。」
愛子自身よくよく考えたらこの世界に来て最初に愛子の部屋に隼人が潜り込んで来たのだが、理由がわかってしまった。先生を甘やかし、その初日夜遅くまで話寝落ちした隼人。あれこれ言い訳をしていたが本心では怖かったのだと愛子は悟ってしまう。
そしてよくよく考えたらおかしいのだ。隼人は約二週間で多くのものを街や私たちに有利になるようにしてくれていた。
でも何でそんな時間があったのだろうか?
屋台を開き、料理のレシピや保存食の開発、また遺書をほぼ全員分作りさらにはハジメと武器や機械の開発や愛子や雫の怖がっている人を裏で立て直せるようにフォローをしていた時間。明らかに二週間でできる量ではない
それならどうやって時間を作ったのか。
答えは簡単だ。寝る時間を削ったのだ。いや眠れなかったという言葉が恐らくあっているだろう。
隼人の両親から隼人のことを頼まれていたにも関わらず何もできない自分が愛子はとても嫌いだった。
隼人の両親から元々隼人は今みたいなリーダーシップをとるということは昔はなかったということを聞いていた。
中学一年くらいの時は大人しく少し子供っぽい性格であったのだ。笑ってどちらかと言えば感情が豊かな鈴の性格に近かったのだろう
しかしそれは隼人の妹である美穂が自殺未遂をしたということがきっかけですっかり変わった。
自殺未遂をした時、隼人の妹である美穂が最後に話したのは隼人だったらしい。
それは美穂が隼人の好きなオムライスを朝食で一緒に食べた時だった
隼人の好きな料理。あれは元々病弱であった美穂が唯一作れる料理だったからだ。恵里に一度だけ一番好きな料理を聞かれたことがある。ブラコンって言われるかもしれないけど隼人が今でも一番好きな料理と答えるのならば不恰好で味付けもバラバラだけど美穂が作ったオムライスと答えている。
朝早くから隼人に最後の料理になるだろうオムライスを食べたのだ。普通ならおかしいって思うのが普通だろう
しかし最後に食べたオムライス。恐らく隼人が二度と自分では作れないと思うくらいに美味しかったのだ。
あの時の味は忘れられない。
あれ以上美味しい料理には隼人は未だに出会っていない
だからその時の自然に笑顔が溢れた。料理とは不思議なもので美味しいと自然と笑顔になるのだ。
その時の美穂も満面な笑みで隼人に応えたのだと
自殺未遂をしたと隼人に連絡がされた時隼人はただ無表情になっていたらしい。
いやどういう感情を向けたらいけないのかわからないというより、そのこと真実だとは信じたくなかった。
だから手術室のランプがつけられたとき。意識が美穂を見た時崩れ落ちたと両親は愛子に告げていた、
多分隼人が一番悔しいんだと思う。一番近くで美穂を止められたはずなのに。家族なのに気づいていられなかったのが悔しいかったんだって。
あれから優しいのは変わらない。容赦はしなくなった。
いじめていた生徒に隼人何か何もしなかった。何も言わなかった。だから余計に少年たちは気分が重くなっていった。本当に許さないと目が訴えかけていたからだ。それがプレッシャーになることを隼人は知っていたから何もしないことがバツになった。
一度性的暴行DVってことで、恵里の両親が隼人によって警察に連行されたと聞いた愛子は知っている。
隼人は敵に関しては容赦はしない。大切な人たちのためなら何でもする
でも本質は違う。隼人の本質はリーダーシップを貼っている隼人ではない。
未だに子供っぽさを見せる時がある。それが本当の隼人なのだと。
恐らく本当の死と向き合ったのであろう隼人。
人を殺したという重さは隼人が一番知っているはずだ。
妹が自殺しかけて恵里という自殺をしようとした女の子を救った男の子。
だからこそその重みを一生背負い続けているのだろう
命の重さをしっているから。
私に何ができるんでしょうか
愛子は少しボーとしながら考えていたら
「……愛ちゃん聞いてますか?」
「えっ?」
「はぁやっと気づいた。てか気づくの遅すぎるでしょ。」
とそこにいたのはパジャマ姿の隼人であった。
「えっ?は、隼人くん?」
「言っとくけどノックもしたし何度も声かけたけど。ちょっと色々あってドアを施錠させたけどまぁ無事だったし適当におつまみ作ってきたから少し飲まないって思って。」
「…お酒ですか?」
隼人が持ってきたのはアルコール度数が低い愛子も王宮で飲んだことのあるお酒であった
「あぁ。俺以外酒弱いんだよ。俺のパーティー。ハジメは毒耐性持っているしどうせ今頃盛っているだろうからな。俺は毒耐性持っていてもほろ酔い程度になることは可能だし。」
「あの。園部さんとシアさんは?」
「寝てる。一応愛ちゃんのところに話にいくことは伝えてあったしな。一応俺が今回ウルに来た理由とかを話しておこうと思ってな。……それと先生が危険になるかもしれないけどこの世界の正体と元の世界に戻る方法も伝えておこうと思ってな。」
「えっ?」
そして隼人がお酒を継ぎおつまみがわりの塩エリゲン豆をつまみ話始める。
そしてまずこの世界の真実と俺たちが神を倒さないといけない理由について説明する。
この世界の真実を聞かされ呆然とする愛子。どう受け止めていいか分からないようだ。情報を咀嚼し、自らの考えを持つに至るには、まだ時間が掛かりそうである。
「これが俺たちが知っていることかな。一応帰る方法は本に記されていた神代魔法のその先にある魔法が怪しいと思っている。」
「……なるほど。」
コクリとうたた寝をし始める愛子。寝不足なのもありアルコールをとったらすぐに回ってきたのであろう
しかし会話をしばらく会話をしていたのだが愛子はついにスースーと寝息を立て始める。
「たく。」
と少し苦笑し隼人は愛子を持ち上げベットに運ぶ
さすがに寝不足でボーとしているよりもちゃんと寝させて元気な愛子でいた方がいいと考えたのだ。
そして帰ろうとした時に隼人の手が掴まれる
「……お母さん。」
そんな声が後ろから聞こえる
「……たく。少しは弱音くらい吐けよ。」
と隼人はベットの近くで座り込む
元々護衛ってことでステルスを使って守るつもりだったんだが
隼人は座りこむ
「ありがとうな。生きていると信じてくれて。」
聞こえないと思うが顔を見て話すのが恥ずかしいのでこのタイミングで感謝の気持ちを告げる
そしていつのまにか隼人も自然に寝息を立て始めたのであった
まるで家族であるような近い距離で二人はよく朝まで一度も目を覚まさなかった
ティオのヒロイン
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隼人
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ハジメ