夜が明けると誰よりも朝が早い隼人の念話石による通信により先生の部屋で一晩を過ごすことになり全く動けない状態になったと優花に連絡して愛子が起きるのを待っていた。
その間というと愛子にどういうことがあったのか説明すると。
「ってことだな。」
『あのね。確かに合理的だとは思うけど、やっていることが犯罪者みたいなんだけど。』
「うっせぇ。自覚はあるから」
だけど眠れないっていうのとあの寝言を聞いたらさすがに部屋に残る選択しかなかったのだ
「う、うぅ。」
と愛子が目が覚ます。そしてキョロキョロと首を振ると寝ぼけているのか隼人をみてボーとしている
「愛ちゃんおはよう。」
「……ふぇ?」
すると少しキョトンとした後
「…あ、あの。隼人くん?なんで?」
「……愛ちゃんの右手を見ればわかると思う。」
すると愛子は右手が隼人の服を掴んでいることを見ると
「あっ。ご、ごめんなさい!!私また。」
「とりあえず離そうな。そういえば朝飯食うか?材料あるし少しくらいなら作れるぞ。」
「えっ?はい?それなら私も手伝います。」
米は昨日のうちに買ってあるし今日の分の弁当も作るのでついでに朝食を作ろうと考えていた。
部屋には小さなキッチンがありそして優花たちにも連絡しながら料理を作るとすると興味深かそうに愛子が隼人を覗き込んでいた。
「……どうした?」
「い、いえ。前にだし巻き隼人くんみたいに作ろうとしたんですが形が崩れてしまって。料理についたら私は隼人くんみたいに上手くいきませんし。」
「あ〜。うん。それなら見ていていいぞ。技能の関係上俺も料理関連は圧倒的にアドバンテージを得ているからな。」
手際よく料理をする男子高校生とそれを見る小さな教師。
普通なら逆だと思うのだろうがこの二人にとってはこれが普通である。
「先生確か砂糖で作った卵焼きが好きだったよな?」
「よく覚えてますね。」
「そりゃ俺からしたら愛ちゃんもお客様であることには違いないしな。」
と軽く鼻歌を歌いながら料理をする隼人。実はかなり機嫌がいいことに違いなかった。
愛子も手伝いながら久しぶりに会えた隼人に話しかけコロコロと表情が変わりながら昨日聞いた重い話をまるで避けるかのように話しかけている
それを汲み取っている隼人もなるべく昨日の話をしないでいる
そして優花やハジメ達が来た時、隼人はともかく見たこともない表情をしている愛子におそらくクラスメイトその場にいた全員が思っていることだろう。
仲よすぎだろ。
「……俺たちもきて安全なのか?」
「安全だとは思うぞ。俺ら全員ステータスがぶっ壊れているから。」
とキャンピングカーに揺られながら隼人たちは北の山脈地帯を目指していた
ついでにいつもの通り愛子が睡魔に負け隼人に凭れながらよだれを垂らして寝息を立てている
「愛ちゃんって隼人と仲いいよね?」
「仲いいっていうよりも俺は愛ちゃんのことを大人で見ているからな。そのせいかな?」
「子供っぽいのに?」
「まぁな。理想と現実が見極められているか分からないけどそれでも俺は愛ちゃんは信用しているぞ。……てかそうでもなければさすがに愛ちゃんの部屋で一泊なんてさすがにしないだろ。」
「いや、それ自体おかしいからね。」
すると苦笑している優花と呆れているハジメ。でもシアはどこか二人を見ながら呟いた
「先生さんと隼人さんって似てますよね。」
「ん?」
「いえ。隼人さんって力があるから先生さんみたいになってませんけど。でも意志の強さや誰かを守る生き方は先生さんに似ているような。」
「……うん。私もそう思う。」
ユエも同じことを思っていたので頷く。奈々も同じことを思っていたので頷くがしかし優花とハジメ、幸利は苦い顔をする。
隼人と愛子は確かに似たように見える。でも
「俺はそんなに善意とかそんなことないんだよ。」
「えっ?」
「言っとくけど俺ってお人好しでもなんでもないんだよ。……ただ俺にあるのは自己満足だけ。…醜く嫌なことから目を逸らし続けているだけ。そこまでできた人間じゃないしそれに元々我儘だからな。」
冷たい声で隼人は否定する。善意や好意で愛ちゃんは動いているのに対し隼人は大切な人を守ると決めたら他の人や他人を切り捨てる。
それはシアの件でも明らかだった。容赦なく大切な人を守るのに力を使う。
それが隼人の生き方であり、愛子とは違いただの自己満足であることだった。
ティオのヒロイン
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隼人
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ハジメ