異世界料理人   作:孤独なバカ

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大好きな先生

洞窟から出た直後急に隼人の神眼がとある映像を捉えた

 

「……っ!やっべ。ついに動き始めたか。」

「どうしたんですか?」

「ハジメ。魔人族が動き始めた。恐らく万は優に超えてくると思う。狙いはやっぱりウルだな」

「なっ!」

 

隼人の言葉にハジメは驚く。今やドローンは隼人の管轄であるので隼人の言葉に嘘ではないことは知っていたのが、愛子はその言葉を信じたくなかった。

 

「とりあえず戻るぞ。あんまり登山でこうしたくないんだけどな。ハジメ重力魔法で全員を運ぶから運転頼んでいいか?」

「あぁ。でも魔力に余裕はあるんじゃないか?」

「いや。後々のことを考えるとユエと俺、優花が主力だろ。単体の攻撃力はティオさんをおそらく使うつもりだったと思うし対応するにはその三人の魔力を温存しておいた方がいい。どうせ数はいても迷宮の魔物よりはだいぶ弱いだろうし範囲魔法で押し切る。弾丸は基本的奥の手として残しておきたい。最悪魔人族が敵だと判断されたときに対応できるように。」

「お前はどうするんだよ。」

「睡眠と高速魔力回復で強制的に回復させる。その分準備とかは俺は参加できなくなるけど。」

「十分だ。それくらいなら俺がやる。」

 

ハジメの言葉に助けるというと隼人は全員を浮かせる。

 

「悪いが話は後だ。……先に戻るぞ。」

「あ、あの。隼人くん?ティオさんは?」

「ティオも用があるのは俺たちなんだろ?せっかくだし八重樫や鈴たちに会いに行くついでにこいつも会わせる。それだけでちゃんとお礼はできるだろ?」

「ふむ。でもお主らの実力ってどれほどなのかの?妾はお主らの実力は知らないのじゃが。」

「俺はお前ぐらいだったら一瞬で殺せるぞ。重力魔法でベッシャンコにしてやれば一瞬で血の海になるだろうし。」

「……うわぁ。えげつな。」

「…よくそんなこと考えつくわね。」

 

と若干引き気味の優花とハジメ。でも隼人にとっての優先順位がある

 

「言っとくけど俺は容赦はしないぞ。敵は敵だからな。大切な人を失うよりはその前に処理する。過程は関係ない。」

「処理ってお前な。」

「……言っとくけど、俺ってそこまでいい人間じゃないぞ。業務的に人を殺すことになったり、人を使う時だってある。魔人族だって既にもう数人殺しているしな。」

 

事実という重たい言葉がのしかかる

 

「……殺しが悪いって答えるなら俺はもう悪だ。でも……この世界に来た時から殺すことはわかっていた。今でも少しためらうことだってある。でも……それよりも大切な誰かがいなくなるよりマシだから。」

 

隼人は既に覚悟を決めていた。既に人を殺すってことも

だから今回もこの世界のやり方で大切な人を守るって決めていた

 

「…それに俺にはちゃんと正しい道に進めるように導いてくれる先生もいるしな。」

「ほへ?」

 

急に振られた愛子はキョトンとしてしまう。

 

「先生はいつも生徒の味方なんだろ?酔っ払った時毎回のように言っているじゃん。それに壊れている俺を修復してくれたのは紛れもなく愛ちゃんなんだから。」

 

クラスメイトはキョトンとしていたが、幸利は少し納得した。

恐らく愛ちゃんに関しての感情は隼人は尊敬などではなく感謝なのだ。

大切な人を守るためならなんでもする隼人。

だけど、中学校に比べて比較的優しくなった。

優花も中学校の時と比べて、高校の時から比較的柔らかい態度をとるようになった。

そして子供っぽい、美穂と話している隼人のような表情を見せることを知っていた

 

「……なんかお前って本当に愛ちゃんのこと好きだよな。」

「まぁ。否定しねぇ。ドジっ子で少し面倒臭いところも愛ちゃんの魅力だからな。それでも。折れない気持ちっていうのは俺は先生から教わったから。それに無理して笑っているって指摘されたのも愛ちゃんが初めて指摘してくれたからな。」

 

隼人にとって恐らく、家族以外で大切な人と答えるなら一二が恐らくハジメと優花は当然として愛子は恐らく3番目に入るだろう。

シア以上に隼人のとって愛子は大切な人間であるのだ

 

「俺は先生には絶対にかなわない。だって俺の弱いところは先生にいつも見られていたし、それがどんなことであれ絶対に受け入れてくれる。だから甘えられるし助けたいって思う。だから俺は愛ちゃんのことは大好きなんだよ。」

 

純粋な言葉。誰もが隼人の真実だと言葉を受け入れる。

優花やシアですら見たことがないような子供っぽいわがままな子供みたいな表情。

須藤隼人の昔の姿と重なって見えたからだ。

 

「……てかさっさと戻ろうぜ。さすがに、やることが多いだろ。こんなところで道草くっている場合じゃないし。」

「そういっているけど照れ隠しを抑えるためだろ?」

「……」

「ちょ、ま、まじで痛いからやめろ!!」

 

ハジメがからかおうとしたところで隼人はハジメに軽く小突く。

しかし隼人の顔が真っ赤になっており、ハジメはさらにニヤニヤしていたのでしばらくの間お遊び程度の喧嘩が治るまで、誰もが隼人のことを微笑ましく思っていたのだった

なお、戻る最中こんな会話が含まれていた

 

「そういや甘えられるって優花やシアさんには甘えないのか?」

 

と空中で幸利が聞いてきたのを隼人が歯切れ悪くする

 

「あ〜。なんというか優花やシアの前だと頼られる存在になりたいって思うつーか。なんというか少しカッコつけたいつーか。」

「……分かる。」

「あ〜。なるほど。」

 

男子一同が納得したようにしている。男子は好きな女子からはカッコつけたいと思うのは男子であれば共感できるものであった。

女性陣はキョトンとしていた。女性にとっては頼られたいと思うのだが。

 

「でも、夜のハジメは甘えん坊。」

「ユエ!?」

「隼人さんは結構男らしいですよね〜。毎回のように。」

「シア、脳天ガンランスでぶっとばされたいか?」

「な、なんでもないです〜!!」

 

と夜の話をしている間に山の麓に降りてきたのであった。

なお、愛子はずっと黙ったまま降りてきたのだったがどこか隼人と目を合わせなかった

ティオのヒロイン

  • 隼人
  • ハジメ

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