「……隼人くん」
今はウルの街に戻って来ており隼人は回復に専念しているためずっと睡眠をとっており、今は優花たちが色々と準備をしている中で愛子と隼人だけは水妖精の宿に戻ってきていた。愛子は仕事を終わらせてからであるが隼人はまず休むことが仕事であry
「……」
「寝顔見るのも久しぶりのような気がします。」
いつも隼人が起きることが早すぎることもあり愛子自身、隼人の寝顔を見るのは久しぶりであった。
でも膝枕をされている隼人は本当に大きな子供みたいに安心して寝ている。
「…ふふ。大好きな先生ですか。」
少し浮かれてしまう愛子。だってそのはず
愛子自身は気づかない振りをしているが隼人を特別視していたからだ。
他の生徒よりも距離感が近く、何かと頼る生徒。
その関係はどこか先生と生徒というよりも姉弟と答えるのが正解であろう
そんな生徒に大好きな先生と言われたのなら愛子にとって先生としては最高の賛辞である
そしてちょうど三時間後
「ふぁ〜。」
「起きましたか?」
「……ん?」
寝ぼけ眼をこする隼人
「……あれ愛ちゃん?」
「あの、隼人くん。毎回思うんですけど愛ちゃんっていうのはやめてくれませんか?」
「ダメだ。愛ちゃんは〝愛ちゃん〟だから、愛ちゃんでなければダメ。これは生徒の総意です」
「ど、どうしよう、意味がわからない。しかも生徒達の共通認識?これが、ゆとり世代の思考なの?頑張れ私ぃ、威厳と頼りがいのある教師になるための試練よ!」
「……愛ちゃんは威厳のある先生ってタイプじゃないだろ。どちらかというなら親しみやすい、クラスと一緒に成長していくタイプだと思うんだけど。」
寝ぼけているのか直球すぎる隼人。威厳のある先生というよりクラス全員で盛り上がる先生と思っているのでつい本音が出てしまう
「先生になってまだ新人だろ?確かに威厳がある先生になるのが先生の夢っていうなら止めないけど俺は先生はみんなの支えになるってこと。馴染みやすい方が相談だってされやすいと思う。頼りやすいっていうのはそういう先生でもあるんだよ。」
「……。」
「なんだ?」
「それは隼人くんもですか?」
愛子は少し不安そうに答えた後、少し後悔する。
なんで隼人の意見を聴きたくなったのか
ふと気になったのだ。隼人がどう思っているのか。
だから声に出してしまった。隼人も特別視していることは愛子になっても認めたくないことだ。
先生なのに特別な生徒がいるっていうのは生徒の味方になるという先生の方針と異なる。
「ん〜。まぁ、俺は今の愛ちゃんが好きだしなぁ。少しドジで面倒くさいところもあるけど先生としてちゃんと俺を見てくれるのは愛ちゃんくらいだと思うし。正直近寄りにくい先生だっていることはいるしな。そういう愛ちゃんだからこそこんなに気を許しているんだと思う。」
「あの、それって貶しているんですか?」
「まぁな。でも完璧な人間なんていないんだよ。それに多少弱点があった方が俺は安心するかな。まぁもう少し理想と現実を見てほしいけど。」
「うぅ。南雲くんにも言われました。」
「だろうな。」
隼人は少し苦笑していると右目の神眼からの情報を少しだけ見る
まだ襲撃までの時間はありそうだと思うと膝枕の状態から立ち上がり座るとベットの隣に座り込む。
本当はもっと話したいと思ってしまう。
だけどもう時間はない。
愛ちゃんを狙ったということは次に狙うのは恐らくクラスメイトであると隼人は考えていた
だから思う存分愛ちゃんと話す
でもたった二ヶ月後二人の関係は大きく動くことになるとは思いもしてなかった
「へぇ。立派な外壁じゃん。」
「つーか人使い悪すぎるだろ。」
「別にいいだろ。今まで交渉とか色々やっていたんだから休養を加えて。それに魔力が半分使っていたからな。」
町の住人達には、既に数万単位の魔物の大群が迫っている事が伝えられている。魔物の移動速度を考えると、夕方になる前くらいには先陣が到着するだろうと。当然、住人はパニックになった。
だが、愛子が事情説明を受けた護衛騎士達を従えて、高台から声を張り上げる〝豊穣の女神〟。恐れるものなどないと言わんばかりの凛とした姿と、元から高かった知名度により、人々は一先ずの冷静さを取り戻した。
さすが愛ちゃんだと優花が胸を張るほどに
冷静さを取り戻した人々は、二つに分かれた。すなわち、故郷は捨てられない、場合によっては町と運命を共にするという居残り組と、当初の予定通り、救援が駆けつけるまで逃げ延びる避難組だ。
まぁどっちにしろ問題はないだろうが隼人が本気でやるということにユエや、優花、ハジメは固まった。あれだけ魔法を連発していたにも関わらず魔力の半分も消費してない隼人の本気。二次災害が起こるんじゃないかと一瞬困惑していたが魔力の制御をミスると思うかという言葉で全員が納得した。
「でもいい街だと思わないか?結局俺たちと戦いたい。この街の為になんとかしたいっていう人がこの街の希望者が半分以上いるんだぞ?」
「あぁ。俺もここまで残るとは思っていなかったけどな。女性や子供を含めたら7割以上いたんだろ?」
「愛ちゃんがそう言っていたな。……まぁここまでやってもらったらあとは俺の仕事をやるだけだ。」
魔力の光を見せつける隼人。
「……まぁ。その心配はしてないけどな。自分のできないことはお前はしないから。」
「その信用がプレッシャーなんだけどな。」
「プレッシャーなんて跳ね返すのがお前だろ?」
「いや。さすがに緊張するって。街の命運が掛かっているんだぞ?」
少しだけ苦笑している隼人にハジメは呆れたようにしている。隼人は優花やハジメでさえステータス上はそこまで変わらない。だけど明らかに強い。
世界最強は恐らく隼人であると二人は信じていて、そして隼人にできないことは仕方ないって思っているくらいだ。
「まぁ一応撃ち漏らしだけ準備してくれると助かる。って噂をすれば。」
とすると息を呑む町の住人
「……状況は?」
「敵総勢三万弱ってとこだな。それも、魔人族が総勢500人近く。」
「500人?つまり。」
「それほど本気ってことだ。……まぁ精鋭ってことではないだろうな。数あれば生産職の一人くらい倒せると思っているんだろうな。」
そりゃ狙う相手が悪かったなとハジメは相手に同情をしてしまう
「そういえば次の狙いが白崎たちって本当か?」
「あぁ。確実にな。恐らく本気で潰しにきている。」
「……波状攻撃というわけか?」
「あぁ。一人一人が力があるのだったら分散させて強いところを狙うのが基本的だ。最初に強者を潰すことに敵の士気があがるしな。まぁそれはおまけみたいなものだろ。……こっちが恐らく本命か。それ以上の仕掛けを仕掛けるための陽動かのどちらかだな。」
「天之河たちが本命ってことはないのか?」
「絶対にない。」
言い切ることができた隼人。理由は単純にそれならば戦力を介入する必要性がない。
「個々の力が強いだけ。それに確実に落とせる駒を落とせないで何になる?俺なら囮を一人勇者側に引きつける。殺されてもいいやつか、それとも本当に最強格の一人を使ってな。時間稼ぎが目的だな。もう少し人間側に勇者がいた方が潰しやすい。」
「潰すことは確定かよ。」
「あぁ。確かにステータス上はかなり成長しているだろうさ。でもそれだけ。実戦が足りてない以上はそこらの兵士の方が役立つさ」
「辛辣だな。」
「事実だろ?」
そう答えると隼人はため息をつく。
「……まぁさっさと報告にいきますか。正直全体殺せばいいだけだからな。」
「本当に物騒だな。」
「生憎敵には俺には優しさってものが皆無だからな。」
「自分でいうか?」
「敵は敵って認識しておかなければ後悔するからな。もう後には引けないし。」
「あぁ。……少し飲んでろ。気分はそっちの方が楽になるだろ?」
とハジメは隼人お気に入りのワインを一つ宝物庫から取り出す。
時々ハジメと飲むのお酒は男子の楽しみになっていた
「ん。サンキュー。」
「お前は強いからいいけど他の奴に飲ませるなよ。面倒なことになるから。」
「あいさ。それなら扇動よろしくな。」
と言いながら隼人はボトルを開ける
愛子防衛戦まで後のこり30分
この物語も終わろうとしていた
ティオのヒロイン
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隼人
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ハジメ