朝である。今日も窓から日差しが照り付けて、元気にジョジョ立ちで背伸びを決めた朝である。びしぃっ!
悪魔となったらしいので日の光が、グレモリー先輩が言うには弱点らしいのだが、ぶっちゃけ体調に特に異常はない。むしろなにやら栄養素っぽいものが内側に未消化されている感じで、其処だけが若干の不満。まあ気にならないレベルの体調不良なんて前の世界ではよくあるよくある。なあに、返って耐性が付く。俺は念能力バトルでは常時戦力を安定して戦えるタイプなのである。
そんな俺だが、現在生徒会室で正座させられている。解せぬ。
「反省の色が見られませんね。岩を追加しましょうか」
支取会長の命令で匙君が重そうに重りを運び、俺の膝の上に追加する。なあに、返って耐性が付く(震え声)。
どうも先日旧校舎を発破してしまったことが逆鱗に触れたらしい。やべぇぜ、あのメガネさんすっごいプルプルしてたぜ。右京さんに匹敵するレベルで、マジで。
「あ、あの、ソーナ? 私も、まだ正座していなくちゃならないのかしら?」
「リアス? 主である貴女が注意を促していなかったからああなったのよ?」
「……もうしばらく反省しまぁす」
あ、グレモリー先輩?先輩なら俺の隣で正座しているよ? あっちは石抱きは無いけどな。これが女尊男卑の世界か……!そのうち織斑君とかが発見されるのかな。ちなみに俺はオルコッ党。いいよね!金髪チョロイン! ……余談だけど、これ前に部活で呟いたら暫く女子らの接近率が妙に高かった。あらゆる女子が引っ付いてくる一週間。俺のパーソナルスペースが手塚ゾーン化した週間であった。さあ、楽しもう。
一夜明けた今朝の話、学校は一夜にして消失した旧校舎の話題で持ち切りであった。学校というか、街というか。
どうも昨夜の発破は程よいレベルで周囲に知らしめられたらしく、今更悪魔のサイミン=ジツで町中の人間をんほぉぉぉ!と誤魔化すことは不可能と判断されたらしい。そしてそれをやっちまったぜ、な俺はこれこうして反省遂行という殊勝な態度を先ほどからとっているのだが、暇つぶし代わりに浮かぶ俺の思考は生徒会長にはガッツリ測り取られてしまっているらしい。なんというサトラレ。
……ところで、部屋の隅にあるダンボールがなんだか懐かしい気配を感じるのだけど。気のせいか?
「とりあえず、消えてしまった旧校舎をわざわざ再建するのは不自然にもほどがありますので、あそこには部室棟を建てることとします。いいわねリアス?」
「え、えーと、それって私たちもそこに集まる、ということ……?」
「何を言ってるの? あんな不祥事を起こした以上、オカルト部は廃部。決まっているでしょう?」
「そんな!?」
絶望の表情で立ち上がりかけたグレモリー先輩。
しかし生徒会長の絶対零度の視線が座れ、と促している。
大人しく正座し直すグレモリー先輩。
「というか、悪魔の仕事をするのが主な部活内容って普通に認められるわけないでしょう。この学校の予算を算出して先生方に提出しないといけないのは私たち生徒会なのよ? 理事長の娘、という設定を押し通して今までは無理が通ってきたけれど、流石に校舎爆破はどうかと思うわ」
「ば、爆破したわけじゃ……」
「似たような形で消失したら街中の人たちは既にみんなそう思っているわよ。ガス爆発、ということにしておいてあるから、しばらくは大人しくしておきなさい」
どうやら会長はサイミン=ジツを多用するようなお人ではなかったらしい。
ともあれ所属させられるはずだったコミュニティがいきなり消失し、俺はどうやらしばらくワークレスな予感。いや、そもそも『悪魔の仕事』って何よ?という感じだったし。オカルト部の主な業務にかかるのかと思っていたから、細かい作業が苦手な俺としては割と万歳ヤッターな気分。
しばらく暇かな。どうしよ、アーシアでも探しておこうか?
「さて、主犯である兵藤君にはペナルティが課せられます」
ひょうどう……あっ、俺か! しばらく名前でしか呼んでもらえなかったから苗字忘れてた!
それはともあれペナルティとな?
「再建こそしませんがああして消失したことは事実ですし、貴方が主犯だとは外部には洩らしません。言ったところで信じられない話でしょうし」
そこは普通にありがたいです。感謝感激。
「ですが被害額がそれなりにあります。生徒会の予算で建て替えておきますので、兵藤君は在学中にそれを全額支払うこと」
と、突き出されたのは請求書。ご、50万ですか……。もう無理だぁ、お終いだぁ……。
普通の学生にはちょっと出し切れない額で絶望に晒される。
「まあ、普通にやっては返還不可なのは重々承知です。なので、詳しくはリアスに」
「――へっ!?」
……あの、グレモリー先輩が自分に振られるとは思ってみなかった、みたいな顔で驚いているのですがそれは。
「ちょ、ちょっとソーナ? そんな話聞いてなかったわよ!?」
「……ちょっときなさい、リアス」
あ、なんか端の方に連れて行った。なんだろ、なんかぼそぼそと相談中……?
「(悪魔の仕事とか爵位とか立場とか、一応教えたのよね?)」
「(え、ええ、あの後で昨夜の内に……。でもあの子そういうのは気にしないと、私の眷属として生きる覚悟を決めたみたいな答えを返してくれたわよ?)」
「(それじゃあ駄目なのよ。私の憶測だけど、完全にそれはその場のノリというか、よく考えないで決めた節があるわ。ああいう子は後になって別に興味がわくことがあったら、すぐそっちへ靡いてしまうものよ。要するに飽きたらポイ捨てされるわ、味の無くなったチューインガムみたいにね)」
「(な、なんだか表現が酷くないかしら? それに、そうなったら私がしっかりと制裁を……)」
「(……神器の発動であの広範囲を吹き飛ばせる子よ? 潜在魔力だけで上級悪魔相当を軽く凌駕するような子に、貴女が滅びの魔力で対抗したとして、効果があると思う?)」
「(…………や、やってみなけりゃわからないじゃない!)」
「(はいアウトー。そうやって想定上で確実じゃない以上、それを覆されるだけだわ)」
「(そ、それじゃあどうすれば……)」
「(だから、そのための枷なのよ)」
……長いなぁ。もう正座解いていいのかなぁ。
「(幸い、あの子は普通の子よ。極端な悪人でもなければ、人の仕事を矯正しようという善人でもない。最低限の常識は備わっている普通の子。だからこそ、こういう借金は“借りたら返す”というものだと認識できているはずだわ)」
「(つ、つまり……?)」
「(力で従えられないなら契約で縛る。私たち悪魔の手法よ。借金の返済という名目で下積みをさせて、その実績を材料に魔王様に上級悪魔への昇格願いを提出しておきなさい。爵位という飴を与えて、仲間意識を促すのよ)」
「(なるほど! 流石ソーナね! じゃあその調子で私たちの部活の問題も解決する代案を挙げて……!)」
「(いえ、そこはさっきの通りだから。覆さないわよ?)」
「(´・ω・`)」
……ふんふっふーふんふっふー、あ、終わった?
暇つぶしに軽い運動をしていたら今まで見たことないような顔で驚かれていた。解せぬ。
☆ ★ ☆ ★ ☆
燃焼系運動で匙君と岩とを三個お手玉していたのがそんなに駄目だったのか、夜中にデリバリーのお仕事である。なんでも呼ばれた場所へ赴いて、呼んだ人のお願いを叶える代わりに対価を貰えとか。そこはかとないエッチな語感。ああでも、前の世界でそういえばそんなことがあった気がする。思い出すのは……、筋肉……、魔法少女……、ダブルバイセップス……うっ、頭が……!
普通はチラシを配ったり、部室にあったはずの召喚陣とやらからボソンジャンプさせるらしい。が、両方とも新しく用意するには一日二日では時間が足りないらしい。その間に呼ばれたら応じないわけにはいかないので、俺もそれに今夜から駆り出されているという次第である。
借金をしても執事にはなれない。そんな俺は綾崎くんバリのチート性能を所持していないので、一体何ができるんだ。と戦々恐々。途中のコンビニで購入した揚げ鶏を頬張りつつ、お客様の待つという廃工場へと赴いた。
……あの、此処人の気配が無いんですけど……。
時刻は午前0時過ぎ。そろそろカゲロウな日々がループを自覚しても可笑しくない時間帯である。バーッと通ったトラックががが。
まあ逆に人が居すぎても、今から自殺開始しまーす、とかって魔女の口づけなサークル活動が始まる恐れもあるし。若しくはマスクに人差し指と見開き眼球マークで覆面した“友達”が空中浮遊を見せつけたり。
想像するだに面白おかしいとは決して言えない残念な想像力を発揮するも束の間、視界の隅に金髪の少女がちらりと見えた。
思わず振り向いて驚愕に目を見開く。お、お前は……っ!
「アーシアちゃんだと思った!? 残念! ミッテルトちゃんでした!」
誰だよ。
イッセーの前に現れた金髪ゴスロリ系堕天使ミッテルト
彼女の目的とは果たして何なのか
そして今更過ぎる強くてニューゲーム(この作品)の行く末は何処へ向かっているのか
次回、原作じゃ描写なんてないのになんで人気になったのかねこの娘
小出しな投稿でサービスサービスぅ!