「クヒヒヒヒ………」
とある日のとある場所で、一人男が笑っていた。その顔は欲望に塗れたゲッスイ表情で、典型的なゲッスイ笑い声をしている。もう「クヒヒヒヒ……」って笑い声自体、あからさまにゲッス過ぎて逆に惚れ惚れするわ!惚れねぇけどな!
「ついに、ついにこの力を使う時が来たんだ!」
ベッドの上で正座をしている男の前には、何か小さい機械が置かれている。見た目的にはスマートフォンにそっくりな機械だった。だが、それは違うのである。なんとその機械、実は世にも恐ろしい、性的な…つまりちょっとおませなお子様でも、だ、め、よ?な作品における典型アイテム、
催眠装置なのだぁァァァァァァァァぁぁぁぁ!!
ウェッ、ゲッホッゲホちょっと待って気管支に空気が詰まった………コホン、君たちは何も見なかった、聞かたなかった、イイネ?
さてさて、こうした典型的なゲッスイ笑い声をする男と、こうしたゲッスイアイテムが揃ったということはつまり!ゲッスイことが起きるってことなのですよ!キャー鬼畜!鬼!悪魔!緑の店員!頭無惨!チンパンジー女神!お辞儀様!
「これで、これで俺の夢が叶うぜぇ……グフフフ」
とうとう笑い声がクヒヒ…………グフフに変わりやがった。というわけで、ゲッスイ野郎によるゲッスイことが起きるぞー!全員、心して準備するのだぁ!
そんでもって何故か現れた時空の渦である。どうして現れたかだって?そんなもん現れたからに決まってるだろうがぁ!はい、というわけで、時空彼方にレッツゴー!
はい、憐れ被害者になったのはこの女の子!美しい黒髪をポニーテールにした、いかにも私剣道やってます♪な見た目の女の子だ!何気に常時木刀を所持しているみたいなので、もうお前は剣道少女と仮名してやるぜ!
さて、こうなった経緯ですが『偶々』道を歩いていたら、『偶々』ばったりと出くわし、『偶々』連れ去ることに成功したというわけです。お前『偶々』が多過ぎるだろ、主人公特権のご都合主義発動させてんじゃねぇよ。
そして今の少女の状態は、これまた典型的な催眠状態を表すハイライトオフの瞳が何ともありきたりですね。いやー、まるで吸い込まれるような漆黒ですね。フフフ………恐い(顔真っ青)。ハイライトオフの瞳って結構恐くね?ヤンデレ特有の瞳でもあるから何とも言えねぇです。
さてさて、まあこうして催眠状態にした男はと言いますと、まあゲッスイ顔をしてるあたり何にも思ってないですね。ゲスは人の心が解らない(BY聖剣ぶっぱ王の臣下)。なんなんだアンタ。おっと、男が機械を動かしてなにやらピッポッパと画面を押してますね。えっと何々、催眠効果の指定?ですか。って、なんでわざわざキーボード式入力なの?馬鹿なの?そこは項目欄作っとけよ!これ作った奴使えねぇな!って、男のキーボード入力が早いんですけど。え、誰でもできるって?さいですか。
「グフフ…これで準備は完了した。あとは……クヒヒ、待ってろよ…」
何やら完了したらしく、男の顔はまーたゲッスイ顔しております。はたして!男の野望は一体何なんでしょうか!?
さてさて、ここはとある学生の学び舎でございます。なにやら不穏な空気が漂っておりますね。これは何か一悶着起きること間違いないですねぇ!
おっと、廊下でゲッスイ男と剣道少女が歩いておりますね。なにやら仲良さげです。おい、てめぇ何しやがった、催眠術してましたねこいつ。互いに朗らかに談笑してますが、皆さん解ってますよね?男は催眠術をしたゲッス犯罪者で剣道少女はその被害者ですよ。騙されないでくださいね。
そうこうしている内に二人が教室にたどり着きましたね。おっと、教室には別の少年がおりましたね。こっちはゲッス野郎とは違ってイケメンです。そのうえ声もイケメンなので10人いたら20人はイケメンと言ってしまうであろうイケメンです。イケメンがゲシュタルト崩壊するぞ子のイケメン。
さて、ゲッス野郎がゲッスイ笑顔で剣道少女の背中を押します。おい、美少女に触れてんじゃねえぞゲス野郎。剣道少女は顔を真っ赤にしながら少年の方へと歩いていきます。少年の方は普通に挨拶をしてます。イケメンボイスの挨拶とか、私は御飯3杯いけますよ!だれか白米をもてぇい!
おっとイケメンボイスの少年が何やら困惑してますね。そりゃそうでしょう、顔真っ赤にした少女とその後ろにいるゲッス野郎ですよ。これは嫌な予感しかしませんよねェ?周りの子たちもなにやら不穏な雰囲気を感じ取ったのか、イケメンと剣道少女に注目してます。
お?剣道少女の口が開きました。
これはあれか?胸糞作品における、某胸糞宣言ですか?え、ここで宣言させるの!?やめろ!その言葉は俺に効くんだ!全員耳を塞げぇぇぇぇぇぇぇ!
私は自分の気持ちをどうすればいいのか分からなかった。好きな人の前に立つと、どうしても喧嘩腰になってしまうし、情けない姿に我慢できず、つい言葉を荒げてしまった。
情けないなぁ
こうして溜息を吐いてしまう自分が何とも悲しくなる。日曜日ということで、こうして一人、デパートで買い物に出かけたのだが、何を買うのかもいまいち定まっていなかった。
「珍しい所で会いましたね」
突然の声に我に返ると、そこにいたのはクラスの同級生だった。首に黒いマフラーを巻き、赤茶色のコートをしっかりと前ボタンを締め、黒いズボンと黒い靴を履いていた。マフラーが口元を隠すように巻かれ、青みがかった黒髪が腰まで伸びている。一見女の子に見えるが、れっきとした男の子である。
「ところで、何か買い物ですか?」
彼の質問に対し、私はただ気晴らしに歩いていたことを伝えた。
「そーですか」
私の言葉に何を思ったのか、目の前の少年はしばらく私の顔を見つめると、不意に私の右手を掴んだ。
「だったら私の買い物に付き合ってくれませんか?ここであったのも何かしらの縁ってことで」
一見穏やかな表情と口調だが、そこには有無を言わせない怖さがあった。ただ頷くしかなかった私は悪くないと思う。そうして、とんとん拍子に彼の買い物に付き合わされ、気が付いたら彼の部屋でお茶を飲んでいた。
「さて、話して貰いましょうか」
テーブルの上にカップを置き、彼は私を見据えた。何の話だ、とはぐらかそうとするも、彼はただじっと私を見つめてくる。結局のところ、私は根負けしてしまい、情けない自分の心を話してしまった。
「ならこういうのはどうですか?」
そういって彼が取りだしたのは、スマートフォンだった。曰く、ちょっとしたお呪いがあるんだとか。なんでも、写真をとり、そこに自分の願い事を書くと願いが叶うとか。私自身、そう言った類いを信用していないのだが、彼が強く進めてきたので、取りあえず写真を撮ってもらった。一瞬光で目がくらんだが、別に気にはしなかった。その後、色々と相談に乗って貰い、気付けば自分の心がとても軽く感じていた。
気付けば私は好きな人に正直になれるようになっていった。厳しい言葉遣いも小言も少なくなり、恥ずかしかった肌の触れ合いも、なんとか出来るようになった。彼の心臓の鼓動を感じて顔を真っ赤にしてしまうが、それよりも幸せであることの方が大きかった。こうして月日が経ち、彼に告白しようと決心した。
廊下を歩きながら、彼が「大丈夫!きっと大丈夫だよ!」と励ましてくれる。
教室に入ると、真っ先に彼が目に入った。どきんと心臓の鼓動が高鳴る。後ろに下がろうとするが、ぽんと背中を押された。ひりかえれば、ニンマリと笑い、口で「ガンバ」という彼の顔。気恥ずかしさで顔を真っ赤にしながらも、一歩一歩足を踏み出す。そして私は告白するのだった。
「グフフ、上手く行きましたね」
とある部屋で、男はいつも通りゲッスイ笑顔をしていた。剣道少女と少年のことの結末を自身の目に焼き付け、男の顔は満足だった。あの後、少年は半ば放心状態のまま動けず、剣道少女が笑顔で男の下へと歩いていった。
「ありがとう」
この言葉で男は昇天しかけたのである。なお天へと至る門番に蹴り飛ばされて帰ってきたのだ。ゲッスにはお似合いである。
「グフフフ、これでまずは最初の目的が叶ったぜ」
思い出すだけで笑ってしまう。あの少年の放心した顔を見た時、まさにしてやったりと心の中で踊り狂った。男は正座をしながら、目の前にある本を見てニンマリと笑う。その本の表紙には、未来写真集と書かれていた。そして男は、そこに一枚の写真を入れた。そこには『私たち結婚しました』という文字が書かれた写真で、そこには二人の男女が笑顔で写っていた。
男、
りとねは今入れた写真の下に『織斑一夏・織斑箒』という名前を書いた。
写真をよぉく見れば、そこには多くの結婚写真や夫婦の写真が貼られており、その下の名前が全て違っている。なお不思議なのは、それぞれが同じ日時で同じ場所の写真なのに、男の方が同じで女性の方が違うという点だ。
「くふ、一夏×箒カップルは良かったなぁ。やっぱり箒ちゃんは暴力とかを抑えれば十分いけると思うんだよ」
写真を見ながら、りとねは自身の口元が歪むのを抑えられない。
「やはり原作主人公とヒロインのカップリングは最高すぎ、マジ最高。ハーレムも別にいいけど、それだと主人公が干からびちまうからな」
それはあまりに酷いと思うのです。一夫多妻制はまじで男の甲斐性だからな。
「さて、次は誰にしようかなぁ」
ベッドの下に散らばっている様々なペーパーブックを見下しながら、りとねは己の夢を叶える為にゲッスイ顔になるのだった。