メイくんのぼうけん。   作:ばなナイン

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のりもの!!

 

 

 

 

 

事務室を出て格納庫に向かう。やっぱり広い倉庫だねー! さてこの中に例の『アレ』があるのか....俺は『アレ』には詳しくないし、そこは先輩方が優しく教えてくれるのかなー....でもこの演習の参加には『無謀』とか『大泣き』とも言っていたし....

 

「まだ演習まで時間がある。各自用意しとけ!」

「「「「「は〜い!!」」」」」

 

部長さんの真剣度に比べて他の部員さんたちのユルさも感じる....大丈夫かな....とにかく、どんな『アレ』を見せてくれるんだろ?

 

「整備班さーん! ワタシの愛機、出来てるかしら〜?」

「「「はい!! 座羅先輩!!」」」

 

先ずはここにいる背が高くて腰辺りまでの栗色の髪をフワリとさせている『座羅(ザラ)』先輩のアレを

見せてくれるのか。整備班の人たちは男性部員だけどいいのかな? すべて女子だけでメンテナンスするものかと思ってた。そういや秋山さんはアレには乗らないのかな?

 

「わたくし! 管制担当にはなりましたが未だ座羅殿の愛機を拝んだことがありません! 今日こそは拝見出来るのでありますね!!」

 

「そうよ〜! ぜひ見てあげて頂戴〜! わたしの『P40』も喜ぶわ〜!!」

 

「P40! 左様でしたか!! あのイタリアの王国時代に開発されながらも計画通りに生産が進まず紆余曲折を経て『本場!』アンツィオ!! においてあの連合軍側の上陸作戦『シングル作戦』を阻止すべくドイツ軍側の車両として60両投入されたあの『Carro.Armato P26/40!』 通称『P40』! なのですね!! いや〜なつか....いやいや! ぜひホンモノを拝んでみたいものです!

ハイ!!」

 

秋山さん、あいかわらず詳しいですねー。でも管制担当なのか。無線でやり取りするヤツね。ていうかやっぱり....ここはやはり『アレ』に乗る部活なんだねー....『パンツァー』なんて名前の部活だし。俺も恐いけど姉ちゃんはもっと恐がるだろうな....ここもダメかも。

 

「じゃ! このシート、外して頂戴〜!」

「「「イエスっ! マムっ!!」」」

 

整備班によってシートが取り払われた。アレ? これは....飛行機? プロペラの??

 

「アッチャーっ! やられました! コレは一本取られましたねーっ!! ハっハっハっ!」

「んもぉー! ユカリちゃん! わかってたクセに!ウフ!!」

「テヘっ!」

「あのぉ....これ....」

 

アレに乗るつもりだったんだけど....コレなの??

 

「平沢殿! これはカーチス・ライト社の軍用戦闘機、『Curtiss P-40!』 であります! 型番は....」

 

「F型!『P-40F』よ〜!」

 

「そうでした! 通称『ウォーフォーク』! エンジンはロールスロイス製!『マーリン28』搭載のやや後期型ですねー!」

 

ええと....秋山さんてアレだけじゃなくてコレにも詳しいのねー....

 

「そうなの〜! 見て! この無骨なアメリカンスタイル! 垢抜けない南部の田舎みたいなこの色使い! エンジンを掛ると土埃りが立ちそうじゃな〜い!!」

 

えええ....と自慢してるの?ディスってるの?? こんなこと言いながらも座羅さん御自分の愛機に頬を付けて撫でてもいるけど....これも愛情表現なのかなー....

 

「えぇえ〜っ! 『P-40』〜っ!? なに自慢してんのさー! P40なんて南太平洋でゼロ(零戦)オスカー()にコテンコテンにヤられてたくせに!!」

「そうだそうだーーっ!!!」

 

おい! さっきの口喧嘩してた二人組じゃないか! なに気が合ってるのさー!!

 

「それは初期型の方ですねー! 『P-40』も後期の型番になるにつれて機体の細かい処の改良や

エンジンの提供先を換えることなどで性能を向上させてきたのですよ! 一時は後発でありながらもその後塵を拝さざるをえなかったあの『North American P-51 マスタング!』の性能にまで匹敵しようとしてたのですから!!」

 

ふ〜ん! 一口に同じ型の飛行機といってもいろいろと改良を重ねてくるんだねー。

 

「でも『P-51』て〜性能もデザインも洗練され過ぎて高性能スポーツカーて感じじゃなーい? それもいいんだけどやっぱりわ・た・し〜! 故障ばかりで燃費も悪いし無駄に馬鹿デカいんだけど〜どこか憎めない古き良き時代のア・メ・車! のようなこの『P-40!』 ....から離れられないのよ〜っ!!! ウフフ〜!!」

 

....ああ....なんかこの座羅さん? て先輩、飛行機を撫で回す仕草も語り口も凄くナヤマシイ....それでいて『ダメんず』とかいうのにも引っかかりやすいタイプのヒトなのかも....それにこの先輩....制服の上からでもわかるけど....さっきの部長さんよりもまた....見事すぎるんじゃありません....? 本当に高校生なのかなー....??

 

「あら、『P-40F』も『P-51B』も、元はと言えばイギリス製のエンジンを積んで居らっしゃるのよね? だったら最初からイギリスの飛行機を操縦なさったら宜しいのに、二度手間ですわね。

フン」

 

あらあら、なんか鼻....誇りの高そうな方が口を挟みにきましたよ。金髪ロングの(この高校って金髪が多いねー....)何処かしらのお嬢様の風貌を持つ先輩で御座いますか。先程の賑やかな二人組に比べて挑発が洗練されてますの。で? 貴女はどのようなお飛行機に御乗車で?

 

「私シのですの? まあ、紹介するのも吝かではありませんわ....! 貴方方! 今直ぐ私シの愛機の

カバーをお取りなって下さらない?」

 

「「「畏まりました。恵摩(エマ)お嬢様」」」

 

なんてまあこのお嬢様、言葉遣いは丁寧でも態度は高飛車ですねー。それにここの整備の男子部員って女子のパイロット一人ひとりに違う掛声で呼んでんの?? 飼い馴らされてるのかなー、美人揃いだし。

 

「おお! これは美しい!! 英国の誇る『Supermarine・スピットファイア』ではありませんか!! でも型番までは、えーとお....」

 

「『Mk.Ⅴ』、ですわ。エンジンも勿論ロールスロイス製!あの『バトル・オブ・ブリテン!』における英国本土防衛の要となった名機ですの。あのドイツの『Messerschumitt・Bf109』と互角に渡り合って最終的にはお蹴散らしなされた真の『英国紳士!』ですのよ! ドイツのエースパイロットでさへ『わが部隊の戦闘機を総てスピット・ファイアにして頂きたい』とまで言わせた最高のレシプロ機なのです!! どこかの植民地上がりの成り上がり国家の田舎戦闘機と一所になされるなんて思い上がりもいい処ですわ。オホホホホ!」

 

うわ〜! マンガに出てきそうなお嬢様だ! 観た目も一応ね。でもそれ程までのお嬢様が何で部活で戦闘機なんて乗って居りますのです? 紳士淑女の嗜みですの?

 

「え〜エマ〜! あんたイギリス生れ〜? 地元生れじゃん! アンタわたしらと一緒にこの辺でガキ大将やってたじゃんねー! 今さらお嬢様ブったって全部お見通しだからー!! ヒヒヒっ!!」

 

「!! ....チカ黙りなさいっ! 世が世なら私シも財閥華族の一令嬢としてこんな地元の高校などに通ってなど居りませんわ! 今頃ケンブリッジかオックスフォードで本場の『放課後ティータイム!』を学友と一緒に愉しんで居る処です!! フンっ!!」

 

没落貴族の末裔さんだったのかなー....拗らせてもいるんですねー....

 

「でも恵摩〜! これだって南方では『隼!』にパタパタ落とされてたじゃん!

ヤッパ『隼』サイコーっ!!」

「あ! キリエず〜る〜いーっ!! 『ゼロ!』だってブチのめしてたんだから〜っ!!」

「ふたりともだまりなさいっ!! あれは整備不良からです! それに赤道近くの気候条件では英国本土で出せていた本来の実力を発揮出来なかったからです!!」

 

ああ....ついてけなくなった。後は仲良し? 三人で仲良くやっててもらって俺は何をすればいいの?

 

「平沢殿! ついて来て下さい! 平沢殿にはコレに乗って貰うことになっております!!

整備班殿! 取って下さーい!!」

「「「わかりやしたー! 秋山殿ー!!」」」

「これは....二人乗り?」

 

秋山さんに連れられてとある飛行機を見せられた。これなんて飛行機?

 

「これは八九....いや!『九十九式艦上爆撃機』略して『九九艦爆』の『二二型』ですよ! 今手持ちの飛行機の中では複座式はこれしかないのでこれに乗って頂きます!」

 

これが爆撃機なの? ずいぶん小さいけど。普通の戦闘機と変らん大きさみたい。

 

「まあ〜、これは250kgの爆弾一つと60kgの爆弾二つを着けて飛ぶものですからねー! 空母から飛び出すための小型化仕様なのです。はい」

 

はあ....もおいいや。乗るだけなら....そういや事務室でも仲良く喧嘩してたあの二人の飛行機は?

 

「ああ、あの二人ですか! 背の高くておかっぱの方の『桐絵』殿のは『一式戦闘機・隼! 一型』ですね。もう一人の背はソコソコで自分より髪モジャで両側を軽く纏めている『千華』殿は『零式艦上戦闘機! 二一型』あの『ゼロ戦!!』ですよ!!」

 

おお!『ゼロ』!! それなら俺でも知ってる!! 超有名だし!! あとで見せてもらお〜っと! 《ブォ〜〜〜・・・・ン・・・・!!!》あれ? エンジンの音? 外から聴こえてくるんだけど?

 

「あの音は....! 景都(ケイト)殿ですね! 事務室でも淡々と話をしていた銀髪ロング! の人が居たで

しょう? 黙々とされながらも仕事が早い!流石は才女!! 」

「ええ....エンジンの音でわかるんですか....」

「はい! しばらくすれば平沢殿も区別がつく様になりますよ! 『景都』殿の愛機は

『FFVS-J22』、スウェーデン製だそうです!」

 

いやエンジンの区別が付くまでここにいるつもりはないんですが....でもスウェーデンの飛行機!

初めて聞いた! スウェーデンて飛行機造ってたの??

 

「いや〜自分は飛行機に『ついて』はあまり詳しい方では無いので自分も驚きました!

でも現代でも『JAS39』通称『Gripen(グリペン!)』という有名な小型ジェット戦闘機もあるので昔から

航空産業には力を入れていたのでしょう!」

 

いや素人に比べたら十分詳しいですよ....

 

 

「みんな用意出来たか! これより演習を始める! 私は自分の機体が修理中なので『九九』で出るつもりだが平沢! 用意はいいか!」

 

「は、はい!! ゴーグルも貸してもらいましたしいつで....」

 

「ちょっと玲於奈〜! そ、の、ま、え、に〜! わたしからのプレゼント!! これを見て頂戴?」

 

「ん? 何だ座羅?」

 

いよいよ出撃....いや演習だから出動かなー? こんな制服のままで大丈夫なのかなー....寒くないのかな....? 俺の乗る飛行機の操縦は部長さんがするのか。厳しいけど堅実そうだし一安....ん?

 

「コレよコレ! さっ! 取って頂戴〜!」

「「「ヘイ姉御!」」」

 

「これは....」

 

「おおおっ!! これは!『究極のレシプロ機!』と呼び声も高い『Focke-Wulf Ta152!』ですよっ!!すごいモノが手に入りましたねー!!」

 

「そう! 高々度H型じゃなくてレアな標準C型よ〜! エンジンもダイムラー・ベンツ製! 『DB603』!」

「うわ〜っ観た目も中身もいかにもドイツ製〜!って感じだよね〜っ! ザラ〜! よく手に入れたねー!!」

「昔のツテをチョッと、ね? ウフ!!」

「ね〜桐絵〜! コレってそんなにスゴいモノなの〜??」

「カタログスペック上ではその様ですわね? ただ実戦上のデータも不明瞭で初期不良も酷い代物との呼び声も高いですわ。看板倒れもいい処ではなくて? フフっ!」

「そこは整備班の方々の腕前を信じて、ですね!」

「「「お任せ下さい! 隊長!!」」」

「私は....今日、これに乗るのか....?」

 

もう新参者? にはついていない状況だけど....パイロットが代わるってことなの? もう誰でもいいや....あの騒がしい二人組とお嬢以外なら....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上の航空機と車両のデータは殆んど『Wikipedia』からの情報です。ここでの執筆においての省略の折、何か勘違いした内容を記述しているかもしれません。もしその様であったら申し訳ありません。あと、航空機と車両のデザインの描写は省かせていただきました....筆者の能力不足からです。

 

 

 

 

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