「・・・・ふわあ〜〜〜〜・・・・・・・・・・・・」
「....まあ、貴方、昼食時とはいえ随分リラックスしているのね? 毎日が充実しているのかしら? リア充沢くん?」
「メイメイ! これも食べてもっと充電を充実! するし! はい! ア〜ン!!」
「....あ! ハイっ!! あ〜ん、、、おいし〜! です....!」
「ホント!! えへへへへ・・・・!」
軽音部に入って一週間が過ぎた....部室でのやりとりは初日のあのノリからなんにも変わらず、ただ旧音楽準備室でお茶とお菓子を食べながらワイワイ! 雑談するという居心地のいい日々が続いている。あの三人、ムギちゃん、リツさん、ミオさん....時々山中先生もやって来ては本棟では見せない本物のサワちゃん! ブリを発揮して俺たちを楽しませてくれるし(単に突っ込まれるボケ要員なのかも....)、これといった不満はないんだけど....
「....で? 平沢君、貴方は何を担当する事になったのかしら?」
「へ? えーとぉ....なんでしたっけ??」
「....貴方....軽音部に入部したのでしょう? なら私の言っている意味を理解できると思うのだけれども....?」
「あー! 担当? わかったー!! メイメイ!『ボケ!』!か『ツッコミ!!』! どっちだし!!」
「....由比ヶ浜さん、私達はこの子に『漫才部....』や『落語倶楽部....!』への入部を勧めた訳では
無かったはずよ.... ハア」
「わわわ分かってるし!! メイメイはナニを担当してるし!!」
「....はいっ! ワタシはボケ担当! せんぱいとおなじだし!」
「! わ〜〜〜! やっぱり! わたしのスイリ! があたったしーっ!!」
「ユイユイ先輩! よくデキましたっ!」
「オソマツさまでした〜〜! アハハ〜!!」
「貴方達ったら....気が合うのね....ウフフっ!!」
今日の昼は、ここ奉仕部部室にて雪ノ下、由比ヶ浜両先輩と昼食を食べている。ワタシのお弁当はもちろんウイの手づくり! 昨日の夕食の残りだけじゃなく姉ちゃんとワタシの分の食材をわざわざ朝に調理して弁当箱に詰めてワタシら二人に持たせてくれるんだ! もちろん朝食もルンルン♪♪! こさえた上で....! 憂自身は学校の給食なのに....
「なかなか出来た妹さんなのね。由比ヶ浜さん? 比企谷君の妹さんみたいじゃない?」
「そうだしー! あ! メイメイ! ヒッキーの妹さんの『小町』ちゃん!て子もこの高校の一年なんだよー! どこかで会えるといいね〜!!」
「えー? ハイ」
前々からここで名前のあがる『ヒッキー?』てなんだろ?? まあいいや。
「冗談はアレですけど、『ギター!』を担当することになりそうです。それで、楽器屋まで
みんなと一緒に見にいったんですけど....」
『いっぱいあるんだね〜! このなかから選べばいいの?』
『ああ、でもユイ! はギターは初めてだろ? だからこのぐらいの!《カタ!》安いギターでも
いいと思うんだ』
『ふーん? て、ウワ! 結構重い!』
『なれだぞー! ミオの『ベース!』はこれよりも大きいからな! おかげでウデとコシがふと
《....ボコっ!!》....なんだよ〜! 職業病みたいなもんだろ〜!!』
『ひとこと多いんだ! ....ああ、このギターは『ストラトキャスター!』ていって、初心者にも
扱いやすいし、いろんなジャンルに使われているオーソドックスなギターなんだ』
『なんかカワイー! 色も色々あるし』
『うん! いろもいろいろ〜!! うふふふふ〜〜〜!!!・・・・』
『ムギー....なんかツボったかー....』
『で、これが『テレキャスター!!』音のキレ味が特徴で、ソロもだけどコードやリズムキープをするのに使われることが多いんだ。たとえば....!....! ....!』
『....え〜と....』
『おいミオ〜! ユイがついてけないぞー!』
『....ああ! ゴメン! でも選ぶのはユイだからな! 好きな音のギターを選べばいいよ! デザインで選ぶ人も多いし』
『でも種類もイッパイ!! しばらく観ててもいーい?』
『いいぞ! 私もベースを観てくるから!』
そのままギターのコーナーでなんとなく観てたり眺めたりしてプラプラしてたんだけど、ん?
コレ....
『ん? どおしたーユイ!』
『なんか欲しいギター見つかったの??』
『うん! コレ!!』
床に立て掛けてあったひとつのギターから目がそらせられなくなった。丸みのあるデザインで
ヒョウタンみたいだけどなんかいい! 赤い感じの色彩で木目調だし濃淡のグラデーションも
ある! カワイ〜!!
『おお! 『レスポール!!』ユイ! シブいギターを選んだな! これもいいぞ! 名だたるロック
ギタリストが愛用する名品だし!でも初心者には....重いしネックは太いしユイにはまだ....』
『でもユイちゃん、これがいいの?』
『うん....でももう少しほかを観てから....』
『おーいみんなー! ここにアクセサリー! の安売りコーナーがあるぞー! スティックとかー
ベースの弦とかー!!』
『リツ! 少しは空気をよめ!!』
「....『レスポール』ね、うん....」
「ゆきのん? どおしたの?」
「ただ....値段が....25万くらいするんです」
「....え〜〜〜っ! 二十五まん〜っ!? それっていったい何百まんえんだし!!」
「....由比ヶ浜さん、桁が増えているのだけど」
「そうなんです! だからすぐ諦めるつもりだったんですけど....」
「どうするつもりなのかしら?」
「なんか諦められないというか....だから、バイトすることに決めたんです! なんかみんなも
協力してくれるみたいで!」
「わ〜バイト〜!! わたしもメイメイと一緒にバイトするし!!」
「....貴女は、連休中は私と勉強でしょ? あの男とキャンパスライフ! を共にするために、
ではなくて?」
「わ〜〜っ! ゆきのんここでは〜!! ヒッキーといっしょにキャンバス! にはいるつもり
ないし!!」
「あはは〜!! ・・・・」
「平沢君? 貴方はいい部活の仲間に恵まれたようね。よかったわね」
「はい!」
「あ〜〜あ!! わたしもあと二年! メイメイといっしょにいたいな〜!!!」
「別に、貴女だけこの高校に残ってもいいのよ? 留年ヶ浜さん?」
「....わたしだけなんだ! ユキノンひど〜いっ!」
そして連休! とある街で三日のあいだ泊りがけでアルバイトをすることになりました!
ムギちゃんの斡旋で! 部員全員で! でも....
「・・・・ スっゲ〜なー! この車!」
「....ああ、普通のバン! て聞いてたけど....」
「内装がスゴいっ! ムギちゃん! これキャンピングカーてゆうんじゃない!? ソファーに
キッチンまで!!」
「そうなの〜? じゃ! お茶が入ったわよ〜! どうぞ! ウフフ!」
「「「おおお〜〜〜! 淹れたてだーーー!!!」」」
ムギちゃんちの自家用車でバイト先の街まで送ってくれることになったんだけど....これってもう走る家! じゃん!! この車を普段使いにしてるわけ??
「え〜と? これは長距離移動のときかしら〜? 普段は家族全員それぞれの車で運転手さんの運転で通勤しているんだけど〜??」
まあいいや....このムギちゃん、ただの育ちのいいお嬢さん、て訳じゃあなかったんだねー....
「見えてきたわよ〜! ほら、アレ!!」
「うおーーーっ!!!」
「きれーーいっ!!!」
「ああ! まるで西洋の古都のようだな!!」
ムギちゃんちの車にゆられて数時間、車窓からまるでおとぎの国のような街並みが見えてきた!
おとぎの国、ていってもあの『デイスティニーランド!』じゃあないよっ! 念のため。
「この街って車は入れないんだねー」
「うん! 登録された車しか走っちゃいけないんだって!」
「でっも広いよなー! このなか全部歩き! というのは....はあ」
「リツ! しっかりしろ! でもここは市電もあるし自転車ならOKなんだろ?」
「そう! でも街の中を歩いていると時間も距離もわすれちゃう〜! ほんとヨーロッパ!
みた〜い!!」
ムギちゃんちの車から降りて、この街の入口の門から中へ入った。うわ〜! 洋風の木組みの
たてもの! 石畳み!! こりゃほんとヨーロッパだあ!!
「これがテーマパークなんて、にわかには信じられないな! お店の店員も一般人なんだろ?」
「そうなの! この街は観光と居住を一体化させた所だから普通にひとがくらしてるの〜!」
「ホントー? じゃあわたし達がここで暮らすこともできるんだー!」
「うん、でもここの空き家の競争率はいつも高いから、だれかがここから引っ越してもすぐ
だれかがその家に入っちゃうの〜! 数千件待ちなんだって!」
「うわー、じゃここに引っ越すのはムリだわー!」
「ん? じゃ、ここからわたしはこっちの道ね! ユイちゃんとミオちゃんはこのまままっすぐ、
リッちゃんはそこの角を左ね! じゃあ!!」
「じゃあな! ムギ! また後で!」
「ムギちゃんまたね〜!」
「おい....わたしもひとりでそこを曲がるのかよー....」
「ジャンケンだ。かみさまの言うとおりだ」
「リっあんどんまい!!」
わたし達のバイト先は一カ所じゃあないのさっ! 三軒のお店をそれぞれシャッフル! して訪問
先を決めたのだ! いま別れたムギちゃんは和風喫茶店に、リっあんはそこを曲がってハーブ
専門店に、ワタシとミオはなんか動物喫茶みたいなところらしいけど、ムギちゃんがおもしろ
がって詳しいことを教えてくれてない。でも、店の名前ですぐわかっちゃうけどねー。
「ここだな....」
「『RABBIT HOUSE』....ウサギ喫茶だー!!」
「....じゃ、ユイ....はいるぞ....はいるぞぉ....はいるぞー....!!!」
《カランカランっ!!》「こーんにーちわーっ! おーりまーすかーっ!!」
「おいユイっ!! ....あああ、私も入っちゃった....」