Fate/Grand Order 創造支配世界トータス 作:クロウド、
赤バーにもならない。
「痛っ…。ここは……何処だ?」
ハジメは壁に埋まった緑光石によるボウっとした光が灯る暗闇で目を覚ました。全身がズキズキと痛み、思考がボ〜っとするが、それでも何があったのか必死に記憶の糸を辿る。
「そうだ……橋が崩れて……」
ハジメは漸くこの場に至る経緯を思い出した。ベヒモスとの戦いで橋が崩れてマシュと共に地下に落ちてきたのだということを。
そして、体の半分が川に浸っており、そのことから恐らく吹き上げてきた地下水に助けられたのだろうと察した。
「っ! そうだ、マシュは……!?」
慌てて、辺りを見回すがその必要はなかった。
ーーー彼の右手の先にはにはスヤスヤと寝息をたてる少女がいたのだから。
その姿に心の底から安堵する。どんな形であれ自分達二人揃っては無事に生き残ることができたのだから。
(それに……今回は離れ離れにならなかった)
無理矢理起こすのは気がひけたが、状況が状況なので頬を軽く叩いて揺さぶる。
「お〜い、マシュ〜、起きろ〜」
「んっ、んんぅ……。せん…ぱい……?」
薄目を開き、視界に写ったハジメを呼ぶマシュ。意識は混濁しているようだが、記憶はしっかりしているらしい。
そして、漸く意識もはっきりしたのか目を大きく見開き、詰め寄る。
「先輩っ! 怪我はありませんかっ!?」
自分の怪我など二の次で真っ先にマスターの心配をするマシュ。サーヴァントとしては正しい在り方だが、そのあまりに必死な様相に思わず口元が緩んでしまった。
「ぷっ、ククク。……ああ、特に目立った外傷もない。マシュの方は?」
笑いながら問いかけるとマシュも自分の状態の確認を始めた。
「私の方も特に問題はありません。バイタルも安定しています」
彼女の体はベヒモスとの戦いで多少、デミ・サーヴァントとしての戦い方になれたらしく令呪を通して安定し始めているのを感じていた。
荒療治ではあるが、ベヒモスとの戦いは決して無駄にはならなかったようだ。
「……まずは状況を確認しようか。何処まで記憶がある?」
「……確か、ベヒモスとの戦いのあとに橋が崩れて……すぐに意識が……。」
「僕とほとんど同じか。多分、地下水脈でも吹き出しんたんだろう、そのお陰で衝撃が緩和されて僕達は助かった……。こうして、手を繋いでるお陰ではぐれることもこともなかったしね」
未だに繋がれている手を見せるように持ち上げると、マシュの顔が一気に蒸気する。
「す、すみませんッ!」
慌てて手を離すマシュ。ぶっちゃけた話、ちょっと惜しかったなぁと思ったのはハジメの胸の中で内緒だ。
「……まあ、ともかく。お互い生きていたの奇跡的だ。だけど、場所が場所である以上あまり喜べないね」
「はい……恐らくここは六十五階層よりも下、つまり……ベヒモスより強い魔物がいるかもしれませんからね」
おまけにこの場には食料もない。ハッキリ言って絶望的な状況であることに変わりはない。
「マシュはサーヴァント化して、魔力供給さえあれば死ぬことはない……だよね?」
「はい……ですが、となると。先輩の食料は」
「魔物……しかないよね?」
今まで目玉だけの怪物、ゲイザーやロシア異聞帯に生息していたクリチャーチという魔物を食ったことがあるのでそこまで抵抗はないがこの世界の魔物は体内に魔石というのを持っている。
そこからわかる通り、トータスと地球の魔物の生態系は全く違う。口にしたとして、身体に毒になるものがないという可能性がないとは言えない。
こんな、迷宮の中に果実や植物などがあるとは思えない。
「取り敢えず、散策してみよう。上に戻る転移陣とかあるかもしれないし」
「そう、ですね」
希望的観測ではあるが、今はそれしか道はない。お互いに所々痛む体を起こして迷宮の奥に進んでいくことになった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
先行していたマシュが後ろを警戒していたハジメを手で制して止めた。そして、口元に手を当てて警戒の合図をする。
ハジメがマシュの隣で壁の影から、その先を除く。そこには、足が異常に発達している兎がいた。そして体に赤い血管のようなものが浮き出していて、それが魔物であるということがすぐにわかった。
(なかなかグロデスクな見た目してるな……。)
(はい……ですが、あの赤い線から見て魔物に間違いないでしょう)
スンスンと鼻を鳴らす、その姿は見たところ兎のようではあるがここはオルクス迷宮の地下深く。間違いなく、ただの魔物なわけがない。
しかし、見たところアレはこの階層でもかなり弱い部類に入るのだろう。辺りを警戒している姿で予想がついた。
(マシュ、僕がガンドで動きを封じる。そこを仕留めよう)
(了解しました)
そして、ハジメの合図で縦を構えたマシュが前に出てその後ろから指先を兎に向ける。
北欧の魔術、『ガンド』。ルーン魔術の一種であるそれは、放たれたそれを喰らったものは病気にする呪術だが、使うものが使えばそれは適を心臓麻痺に陥れる弾丸へと変わる。
ハジメのそれも北欧のワルキューレや、影の国の女王による指導を受け魔物相手だろうと麻痺させる力を持つ。
「ガンドッ!」
指先から放たれた呪術の弾丸が兎に向かっていくが、当たると思われる瞬間その姿が消える。
「――ッ! 何処に!?」
「マスター、上です!」
マシュに言われて上を見ると、そこには
「面倒な能力を持ってるな……。」
「はい……あの速さではガンドを当てるのは難しいでしょう」
しかし、次の瞬間。新たな脅威がそこに現れた。
空中を踏みしめる兎が血を放って落ちてきたのだ。
「「!!?」」
いきなりの光景にハジメ達は目を見開く。そして、そこにズシンという足音が近づいてきた。そこには、凶悪な外見をした熊の魔物がそこにはいた。
魔物は地に落ちた兎をバリバリと貪る。その光景は見慣れたものではあるとはいえ、直視したくはない。
それを食い終えた鋭い爪を持つ熊はハジメに狙いを定め恐ろしい速さで切迫する。
(ヤバいッ……!)
咄嗟に指先を向け、ガンドを放とうとするが爪熊はそれよりも速くハジメの眼前に近づき、その腕を振り下ろした。
ーーーしかし、その攻撃は彼の目の前に展開された
「ッ!!?」
(これは、マシュの……!)
驚愕する爪熊を他所にハジメがマシュの方を見ると、彼女が持つ盾が淡い光を放っていた。
ーーーサーヴァントはそれぞれ、自身の伝承を象徴する"宝具"と"スキル"を持っている。
宝具とはその英雄を象徴するもの。
スキルとはその英雄の活躍や所持した技術をなぞらえた再現。
そして、マシュに与えられたスキルの一つ、『時に煙る白亜の盾』は堅牢な城壁を任意の場所に展開し、味方を守護するスキル。
(危なかった……マシュがスキルを発動してくれなかったら、間違いなく腕を切り落とされていた)
自分の腕が斬り飛ばされていた未来を幻視し、一歩後退るが直ぐにこの状況における最善策を導き出そうと思考を切り替える。
「マシュッ! 一分、いや、三十秒でいい! そいつを抑えておいてくれ!!」
「了解しました、マスターッ!」
アイコンタクトでマスターの考えを汲み取ったマシュは盾を構え直し、爪熊を盾で殴り飛ばす。
「錬成!」
その間にハジメは背後の壁に錬成魔法で穴を開けていく。武器をほぼ数秒で錬成できるハジメにとってただの空洞を作るのに三十秒あれば釣りが出る。
ここでハジメ達がとるべき選択、それは撤退だ。
いくら、マシュが力の一部を取り戻したとはいえ現状、それがどこまで保つか測れない。さらには、目の前の魔物の危険度も不明な上、下手をすれば更に強い魔物が現れる恐れがある、馬鹿正直に戦うメリットなど存在しないのだから。
その分析をしながら、ハジメは壁に空いた人二人分が入れるくらいの空洞を完成させる。
マシュの方を向くと、再び爪熊が腕を振り上げていた。
そこへ、
「マシュッ、カチ上げろ!」
「――ッ! ハアァァァァァァ!!!」
ハジメの指示を受けて、マシュは地面にこすつけながら威力をました盾の曲面でそのまま下段から振り上げた。
あの爪は確かに凄まじい鋭さだ。だが、それも使われなければ意味がない。ならば、それを利用して隙を作ればいい。アーチャー、ダビデ王やランサー、宝蔵院胤舜も使っていた戦法だ。
そして、その一瞬でハジメの指先に光が収束する、
「ガンドォ!!」
弾丸の如き速さで放たれた呪術が爪熊に直撃した。そして、ガンドによる麻痺で一時的ではあるが、動きを止めることに成功した。
「マシュ、戻ってくれ!」
ハジメの指示に答え、穴の中に入ったハジメの元まで戻るマシュ。そして、彼女が戻ると再び錬成でその穴を塞ごうとするが爪熊はガンドによる麻痺を振り払いハジメ達に再び襲いかかろうと迫ってくる。
マシュは盾を構えるがその爪が辿りつくぎりぎりで壁は閉ざされた。
空洞の中に壁の向こう側から爪熊が壁を切り裂こうとする音が響いた。
「一応、もう少し奥まで行こう。壁が砕かれたら逃げられないからね」
「そうですね」
――前途多難な『奈落』での初遭遇はこれから先、かなり波乱に満ちることになるとハジメはその時に思った。
最近、色々アイディアが浮かんで一発ネタばかりが思いつく。書きたいけど続けていける自身がない……。
例えば、最近思いついたのは虞美人と項羽様の間に子がいて記憶を消しながら(周りの人の記憶を操作して)普通の人間として生きてとても長い時間を生き続けてカルデアにスカウトされて母親と再会する的なのをやってみたいけどかけない!
誰か書いてもらえないかなぁ……。
感想、評価くださいな
マンドリカルドのクラスはどちらにしようか?スキルは特に変わりません、ステータスは上がります。
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デュランダルを持った状態のセイバー
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cmがカッコよかったライダー