Fate/Grand Order 創造支配世界トータス   作:クロウド、

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2−2 奈落

「さて、そろそろいいかな?」

 

「先輩、もし違和感を感じたらすぐに吐き出してください」

 

「わかってるよ、マシュ」

 

 今二人の目の前にある焼かれた肉。これはこのオルクス大迷宮の地下深く通称『奈落』で最初の獲物。雷を纏う、二本の尾を持つ狼の魔物。ハジメの錬成による落とし穴で罠にはめ、マシュが盾でトドメを指したものだ。

 

「それに万が一のときは神水があるから大丈夫だよ」

 

 そう言ってハジメが取り出したのは奈落の鉱石で作った簡易試験管。その中に入っているのはあの鋭い爪を持つ熊の魔物から逃げる際、拠点となる洞窟を作る際偶然見つけた鉱石、そこから湧いて出た液体。それを口にした瞬間、二人の傷は完治した。

 

 ハジメはこの液体に心当たりがあった。この世界の伝説上に現れる霊薬、『神水』。コレを口に含むだけであらゆる傷や病を治し、これを飲み続ける限り決して死ぬことはないとすら言われた幻の回復薬だ。

 

 ハジメはそろそろいいかと血の滴る肉を手に取る。皮剥は経験のおかげでなんとかなったが、血抜きに関してはあまり得意ではなかった。だが、こんな状況……選り好みをしている暇はない。

 

「それじゃ、いくよ」

 

「はい」

 

 意を決し、肉にかぶりついた。

 

「うっ……!」

 

(まっずい……。)

 

 今まで口にしてきたもののどれよりも酷い味。強烈な獣臭さ硬い筋肉のせいで噛み切って口にふくむのも一苦労だ。こんな場所に調味料などあるわけもなく焼く以外に調理法がない以上仕方がないが……。

 

 肉のまずさを必死にこらえ、無理矢理口に押し込み飲み干す。

 

 瞬間、ハジメの体に異変が生じた。

 

「がっ!あぁあぁぁぁぁっぁあぁぁ!!」

 

「先輩ッ!?」

 

 全身に感じる激痛、体内からあふれる魔力に肉体が崩壊を始めたのだ。即座に神水を飲み、回復。そして、その直後再び崩壊が始まる。その地獄のような苦しみが本人にとっては永遠とも言える時間続く。

 

「あぁぁぁあぁぁぁぁあああああ!!!」

 

 確実に近づいてくる己の死。

 

 ーーーその時、彼の頭に浮かんだのはカルデアでの記憶。とある英霊との記憶だった。

 

『あのさ、エミヤ……』

 

『なんだね、マスター?』

 

『エミヤは、『正義の味方』になりたかったの?』

 

『……私の夢を見たのか』

 

『う、うん……ゴメン』

 

 一瞬驚いた表情を浮かべたアーチャーは事情を悟ったのか、ハァとため息を吐く。その様子に苛立ったと感じたハジメは即座に謝罪を口にする。それに対して、エミヤはさして気にした様子もなくハジメに微笑みかける。

 

『気にすることはない。君がサーヴァントの夢を見やすい体質だということは承知しているからな。それで、どこまで見たのか聞いてもいいかな?』

 

『えっと……』

 

 そこからハジメは夢で見た彼の記録を口にする。そして、その記録は彼の生前ではなく英霊となってからの記録。『抑止の守護者』として、アラヤに己が志す『正義の味方』とはかけ離れた、百を救うために一を切り捨てる、そんな掃除屋のような役目を押し付けられた彼は、幼いころ義父から受け継いだ『正義の味方』という夢は間違えていたと思っていた。

 

 そんな中訪れた奇跡的なチャンス。過去に自分が体験した聖杯戦争にサーヴァントとして召喚された記録。

 

 過去の己を殺し、自分という存在を消し去るためのチャンス。あらゆるものを切り捨て、過去の自分を消し去るためにマスターすら裏切った。

 

 だが、過去の自分。己の過ちの原点だと思っていた男に言われた。

 

『誰もが幸せであって欲しいと。その感情は、きっと誰もが想う理想だ。だから引き返すなんてしない。何故ならこの夢は、けっして・・・決して、間違いなんかじゃないんだから・・・・・!』

 

 その一言で、彼はようやく自分がやってきたことが間違っていないという答えを得ることができた。

 

『情けない話だ。自分が散々未熟者と嘲っていた自分に探し求めていた答えを突きつけられたのだからな』

 

 そう言って苦笑いを浮かべる彼の笑顔は何処か酷く印象的な笑みだった。そう、記憶に現れた赤銅色の紙を持つ少年のような……。

 

(そうだ、エミヤの記憶……あの中にあった言葉……!!)

 

『ーーー想像するのは常に最強の自分だ』

 

 アレは彼の宝具の在り方を意味する言葉。だが、この一瞬。ハジメにとってはそれは別の意味の言葉として彼に力を与える。

 

(創造するんだ……!この痛みを乗り越えた先にいる、最強の自分を!)

 

 肉体の再構築はとどまることを知らない。破壊の勢いに再生が追いつかなければハジメの命はここで尽きる。ならは、その痛みすら乗り越え力と変えた最強の自分を創造するしかない。

 

(なによりっ!僕はまだ彼のように()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!!)

 

 すぐそばに肉薄する己の死。その時、走馬灯のように頭に浮かぶのは数々の異聞帯で自分達が消えるという現実をわかっていながら、それでも未来を自分達に託してくれた()()

 

 ーーー強いだけの世界に負けることは許さないと言ってくれた男がいた。

 

 ーーー誰もが大人になれる、そんな世界はきっと素敵だと言ってくれた少女がいた。

 

 ーーー己に討ち勝った自分に人類の未来を託すと言ってくれた皇帝がいた。

 

 ーーー彼女が生きる世界を破壊したというのに、間違った輪廻を壊してくれてありがとうと言ってくれた少女がいた。

 

 ーーー自分達の旅を支えられて幸せだと言って逝った女剣士がいた。

 

 ーーー昨日とは違う明日を勝ち取ってくれてありがとうと言ってくれた姉弟がいた。

 

 ーーーそして、考えの違いから敵対することになったが、自分達を、自分達の旅の行く末を信じてくれたクリプターがいた。

 

(だからッ……!)

 

 ーーーここでは死ねない! 

 

 ーーーここでっ、死ぬわけには行かないっ!!

 

 ーーー彼らに胸を張って、答えを言えるようになれるまで、絶対に……死ぬわけにはいかない!!!!

 

 その生への執念が奇跡を起こした。

マンドリカルドのクラスはどちらにしようか?スキルは特に変わりません、ステータスは上がります。

  • デュランダルを持った状態のセイバー
  • cmがカッコよかったライダー
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