Fate/Grand Order 創造支配世界トータス   作:クロウド、

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1−1 異世界召喚

「はぁ……。」

 

「またですか、先輩?」

 

 学校の廊下、カルデアの白い制服とは違い、紺色を基調とした学生服を着たハジメが心底憂鬱そうに溜息を漏らした。

 

 同じ制服を着て隣を歩くマシュが、見慣れた光景に苦笑いを浮かべている。

 

「いやだってさぁ、今更高校レベルの勉強なんて必要か?僕、多分もう大学生くらいの知識は持ってると思うんだけど。マシュだって、カルデアでそれくらいの勉強はしてあるだろ?」

 

「それはそうですが……日本では学歴がかなり重要視されると聞きました。先輩の将来のためにも高校には通ったほうがいいかと」

 

「……もう作家として十分すぎるくらい成功してるしなぁ。今更学歴云々っていっても」

 

 ハジメが新世界で最初にしたこと、それは自分達の旅路を小説にすること。自分の旅路を決して忘れないように、あの戦いが決して幻想ではなかったのだと記録するために。

 

 結果、大ヒット中の少女漫画家である母の後押しもあってか今では母の漫画に負けず劣らずのヒットを叩き出している(勿論、ハジメやマシュの名前や容姿は変えて)。

 

 もうすぐ、父が社長を努めているゲーム会社でゲーム化という話にもなっている。今の人気からしたらかなりの売上を期待できるだろう。

 

 おまけに十年かかっても終わらないくらいのエピソードがある。作家としてやっていのには困らないだろう。

 

「確かにそうですが……」

 

「?」

 

「ーーー私は先輩と一緒にこうやって学校に行くのが嬉しいんです」

 

 ズガァンと雷に打たれたように固まるハジメ。

 

(僕の後輩が可愛すぎる件……!)

 

 若干頬を染めながら言う後輩に悶絶しそうになるのを必死に堪えるハジメ。

 

(……やっぱりあの人にも見せたかった)

 

 ハジメは今朝夢に出てきた彼女の父親と言っても過言ではない男性を思い浮かべる。出来るなら、彼女の晴れ姿を見て……その隣で一緒に笑っていて欲しかった。

 

 彼女はデミ・サーヴァントの力さえ使わなければ、もうただの人間だ。それを引き出すための令呪をハジメは持っているが、二度と使う気はない。

 

 彼女には今度こそ普通の人間として生きてほしいと思っているからだ。本人もそのことを納得している。 

 

 そんなことを考えながら、ハジメは自分の教室の扉を開いた。

 

 瞬間、一斉にクラス中の視線がハジメに集中する。

 

 だが、それは決して嫉妬や敵意といった負の感情の込められたものではなかった。寧ろ好奇の視線といっても過言ではない。

 

「あっ。おはよう、()()()()!」

 

「ああ、おはようかお「おはようございます、香織さん」り」

 

 ハジメに挨拶してきた同級生、白崎香織からの挨拶を返そうとした彼の言葉にマシュが割り込んだ。

 

 さらに、香織に敵意むき出しでハジメの前に立ちはだかる。

 

「おはよう、マシュちゃん。私、ハジメ君と話がしたいんだけど、どいてくれないかな?かな?」

 

「そちらこそ、先輩は今日あまり体調が良くないようなので早く席で休んでもらいたいんです。香織さん、そこをどいてください」

 

 二人の乙女の間に火花が散る。見慣れた朝の光景にハジメは額に手を当てた。

 

 頑張って白崎さん、今日こそ南雲君を落とすのよ! キリエライトさん、正妻の意地を見せてやれ! メカクレ……やはり素晴らしい。

 

 明らかに野次馬根性での歓声が教室に飛び交う。

 

(今、バーソロミュー混じってなかった?)

 

 物凄く聞き覚えのあるフレーズに思わず辺りを見回すが、それらしい人物は見つからない。気のせいかと二人に視線を戻そうとしたとき、一人の同級生がこちらに恨みがましい目を向けているのに気がついた。

 

 その生徒、檜山大介はハジメの視線に気付くと舌打ちをして自分の席に戻っていく。

 

(アホらし)

 

 彼がハジメを目の敵にする理由はだいたい察しがつく。というか今目の前で絶賛繰り広げられている。が、香織に告白する度胸もない奴を相手にする気はないと思っている。

 

「相変わらず大変ね、ハジメ」

 

「そう思うなら、助けてくれ雫」

 

 話しかけてきたのは長い髪をポニーテールにした、香織とはまた違うイメージの美少女、八重樫雫。

 

 ハジメがよく出入りしている八重樫流という剣術道場の娘だ。

 

 出入りしているというのはあくまで門下生としてではなく、体が鈍らないように通うようになっただけだ。門下生にならなかったのはハジメの剣は既に様々な剣士の英雄に教え込まれた末の我流。今更、他の流派に属する気はなかったからでもある。

 

 香織の親友ということもあってか、ハジメはかなり気にかけてもらってる。

 

「香織、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな」

 

 割り込んできた声にハジメは露骨に顔をしかめた。

 

「何か用か、天之河。僕はないんだが」

 

 鋭い視線でその同級生、天之河光輝を睨む。

 

「何か用か、じゃないだろ?南雲、お前は香織に甘え過ぎだ。いつも始業のチャイムギリギリでだらしない」

 

「別に遅刻はしてない、それに、香織に関しても頼んじゃいない。お前がとやかく言うのは筋違いだろう?」

 

 雫が友人と幼馴染の会話に割って入ろうとするが、とてもそんな雰囲気ではない。

 

 ハジメはこの天之河光輝という同級生が本質的に嫌いだった。

 

 まるで自分が行っていることが全て正しく、それこそが正義だとでも言うその態度が感に触った。

 

 カルデアで一人の正義の味方の背中を、生き様を見てきたハジメからしたら彼の言うそれはどう見ても周りの人間の心を勘定に入れていない。

 

 それを説明したところで理解できないと考えているので、ハジメは面倒くさそうに息を吐いて一言、

 

「誰が誰に関わるのかなんて、その人の意志の自由だ。それをお前がとやかく言う資格はない。マシュ、行こう」

 

「あっ、先輩!」

 

「おい、南雲!まだ話は……!」

 

「ないね。聞く価値のない説教は聞く意味がない」

 

 冷たい声音でそれだけ言うと、マシュを引っ張って自分の席についた。

 

 場面は飛んで、昼休み。

 

 ハジメの席の周りを数人の男女が取り囲んでいた。

 

「なぁ、南雲。お前、今回のテストどうだったよ?」

 

「オール満点、それが?」

 

「相変わらずだなぁ、おい」

 

 ハジメの向かいでパンを食べていた前髪が目元まである少年、遠藤浩介はハジメのさらっとした答えにさして驚いた様子もなくパンを齧る。

 

「キリエライトさんは?」

 

「私は英語のテストでスペルミスしてしまいました……。でも、それ以外は先輩と同じです」

 

「マシュちゃん、流石ね。それにしても南雲って、いつもテスト満点だけどいつ勉強してるのよ?作家としての仕事も忙しいんでしょ?」

 

 素直な疑問を問いかけてくる少女は園部優香。ハジメが住む街で洋食レストランを営んでいる夫婦の娘でハジメとマシュは偶にそこへ行く繋がりで仲良くなった。

 

「昔、熱心な教育者の知り合いにこれくらいの知識は持っておいたほうがいいって叩き込まれたんだよ。」

 

「へぇ、凄いわね」

 

「それにしてもすげぇよなぁ、南雲。この歳でこんなに複雑な設定を考えられるなんてさ」

 

 浩介が文庫本、『Fate/Grand Order』5巻の表紙を見ながらそう呟いた。

 

 ーーー当たり前だ、実話なんだから。

 

「だよね。私も最初はよくわからなかったけど、段々わかってきた。そういう説明の文章も上手いよね、南雲は」

 

 ーーーアンデルセンやシェイクスピアに比べればまだまだだ。

 

 浩介と優香の言葉に、そう言いたい言葉を飲み込んでハジメは苦笑しながら、軽く流した。

 

 と、そこへ、

 

「ハジメ君、マシュちゃん、優香ちゃん、私達もご飯一緒にいいかな?」

 

「私もいいかしら、ハジメ?」

 

 香織と雫がお弁当箱を持って現れた。

 

「別にいいけど、天之河の奴の方に行かなくていいのか?」

 

「え?なんで、光輝君にことわる必要があるの?」

 

 香織が可愛らしく子首を傾げる。そこで、雫がハジメに耳打ちで伝えた。

 

「あっちは龍太郎と鈴に任せてあるから大丈夫よ」

 

「なら、いいけど……ナチュラルに浩介をスルーするのはやめてやれ」

 

「え?あっ、遠藤君いたんだ!」

 

「はうっ!」

 

 浩介が胸を抑えた。

 

 彼は少々、いやかなり影が薄いことを気にしている。ハジメと初めてあったときもデパートの自動ドアが開かないという割と珍しい場面だった。

 

「あっ、遠藤君それハジメ君が書いてる小説だよね?」

 

「あっ、ああ、うん。そうだけど」

 

「今どのあたりまで進んでるんだっけ?」

 

「確か、第三章のラストあたりじゃなかったかしら?」

 

「雫も読んでるんだ?」

 

「香織に進められてね、面白いから今じゃ普通にファンよ?」

 

「それはどうも。第四章の話は来週出ることになってる」

 

「日本、フランス、ローマ、オケアノスと来て……次の舞台は何処なの?」

 

「ロンドン、魔術関係じゃかなり深いからな」

 

 そんな簡単な談笑、魔術の世界に踏み込みすぎたハジメにとってもう二度と訪れることはずのなかった何気ない日常。

 

 例え、世界を救っても時計塔の監視下に置かれることはほぼ確定していた。そして、マシュとの別れも……。

 

 

 

 

 だが、ハジメには例えこの日常を捨ててでも叶えたい願いがある。

 

 ーーーもう一度、カルデアの皆と会いたい。

 

 最前線で戦っていた自分達は空想樹の消滅とともに、こちらの世界にやってきていた。シャドウボーダーに乗っていた、レオナルド・ダ・ヴィンチ、シャーロック・ホームズ、ゴルドルフ・ムジークやシオン、ネモ、その他のカルデアスタッフの安否はわかっていない。

 

 それに、彼らに会えばサーヴァント達ともまた会えるかもしれない。過去の英雄に個人的な理由だけで会いたいと言うなんて傲慢なことだろうとは思っている。

 

 だが、ハジメにとって自分の道を気付かせてくれた彼らは、その道を貫かせてくれた彼らは仲間であり、師であり、友でもあった。

 

 だからこそ、せめて別れの言葉くらいは告げたい。

 

 しかし、これは夢ではなく願い。自分の力では決して叶うことのない願い。それは理解している。だから、早く諦めたほうがいいとこのニ年ずっと頭に言い聞かせてきた、それでも、

 

(あの人達のせいですっかり諦めが悪くなったな、僕も)

 

 ハジメが見てきた英雄の共通点、それはたった一つ。

 

『諦めなかったこと』だ。

 

 だから、ハジメは今も諦めてはいない。方法も何もわかっていなくてもいつか会えるとひたすらに信じることだけはしている。

 

 なんたって、ハジメが魔術に踏み込んだのだって突拍子もない出来事だったのだ。突拍子もない方法で彼らが目の前に現れてもおかしくはないのだから。

 

 

 

 

「……んぱい!先輩!」

 

 一人で思考にふけこんでいたハジメの思考はマシュの呼びかけで正気に戻った。

 

 だが、その呼びかけが答える前に異常が起きた。

 

 遠くで龍太郎達と昼食を食べていた光輝の足元に幾何学的な模様、所謂魔法陣が現れ段々と広がって自分達の足元にまで届く。

 

(これは……魔術ッ!?そんな馬鹿な、この世界に魔術があるわけが……!)

 

「先輩ッ!」

 

「!全員、今すぐ教室から……」

 

 マシュの叫びで正気に戻ったハジメが叫ぼうとしたが、その前に彼らの視界は白い光に覆い尽くされた。




アトランティスやりました?
コルデーちゃん尊い!マンドリカルド、俺もあんな親友が欲しかった!
この二人はこの作品でちょっと優遇しちゃっていいかな!?

マンドリカルドのクラスはどちらにしようか?スキルは特に変わりません、ステータスは上がります。

  • デュランダルを持った状態のセイバー
  • cmがカッコよかったライダー
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