とあるオタク女の受難(インフィニット・ストラトス編)。   作:SUN'S

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第12話(篠ノ之箒)

私は「先輩、聞いてください!!」と叫びながら2年3組の教室へと入るなり、窓際の席で『塩ゆでパスタ料理』という書物を読み耽っている灰色のような白髪の女性に話し掛ける。

 

「どうした、昼食には早いだろ?」

 

「凰のヤツが、先輩のために作ってきたパスタ弁当を食べたんだ!!絶妙な塩加減だったのに…ッ」

 

私の話を聞きつつ、先輩は栞を差しながら本を閉じた。そして、私の言った「絶妙な塩加減」パスタとやらに興味津々というか。また、作ってくれるよな?的な目を向けてくるのが傍から見ても分かるだろう。

 

ハッキリと言えば怖い。

 

いつも不機嫌そうに眉間に皺を寄せる先輩が満面の笑みを浮かべているのだ。一夏や千冬さんが見れば「だれ?」と言うだろう。この偏食家先輩の胃袋を掴めば一夏と二人っきりで修行する時間を増やすことができる。

 

「ほうきさぁん?抜け駆けはいけませんわよぉ?」

 

「……抜け駆けでは…ないぞ……先輩への…日頃の…」

 

くっ、あと少しで先輩を味方にすることが出来たというのに。いや、待てよ?オルコットの料理は私より見た目は良いが、人の食べるものとは思えぬほど不味い!!

 

「オルコット、お前も来ていたのか…」

 

「はい!先輩に味見をお願いしたくて」

 

モジモジするな。お前だと、その、あれだ、少女漫画のヒロインみたいではないか。ちょっとだけ羨ましいと思えてしまうではないか。

 

もう一度だけ先輩の座っていた窓際の席を見ようとした瞬間、窓の外で吹き飛ばされる姉さんとタイガーマスクを被ったダークスーツ姿の女性が見えたような気がする。

 

いや、あれは姉さんでも千冬さんでもない。なにより人間の身体能力では六階まで飛び上がることは不可能なはずだ。

 

なにより千冬さんは足で首を絞めながら身動きすら取れない人間を脳天から地面に叩き付けるような残虐非道なことはしない、はずだ。

 

「篠ノ之、ボーッとしてる暇は無さそうだが…」

 

「おほほほっ、お先に失礼しますわ…!」

 

「しまっ、それでは失礼致しました!!」

 

くそっ、変なものを見たせいで先輩からアドバイスを貰えなかった!だが、それよりもチャイムが鳴る前に帰らなくては出席簿で脳天を本当にカチ割られる程の力で殴られかねない!!

 

「(凰の酢豚を食べてやるからなあぁぁ!!)」

 

我ながらみみっちい仕返しを考えながら教室へと辿り着いたとき、オルコットが出席簿を叩き込まれる瞬間を見てしまった。

 

ふっ、こんなところで終わるとはな。

 

「篠ノ之、オルコット、遅れてきた理由は放課後…聞かせてもらうとしてだ。織斑が天井に突き刺さっているのは何故なんだ?」

 

「ハッ、織斑一夏から『姉弟子、稽古をつけてくれ』と頼まれたので技を仕掛けたら抜けなくなりました!!」

 

「そうか、織斑、お前は、そのまま授業を受けろ」

 

千冬さん、一夏が動かないですけど。

 

いや、あの、私の席の真上なんですけど。

 

えっ、このまま授業を始めるんですか?

 

 

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