RE.チートから始める異世界生活 RE.MAKE   作:灰鳥

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第八話 侵入者

「…結構時間あるな」

「そうですね、まだあと二時間ほどでしょうか」

「こういう時間がなにすればいいか分かんねぇんだよな…、ラムはどっか行っちまうし」

「姉様はロズワール様のお手伝いに向かわれたので当分は戻らないと思いますよ?」

「そっか…、暇だなー」

あれから、特に何かすることがある訳でもない。何か手伝うことはないかと聞いたが、客人を働かせる訳にはいかないらしい。どうも周りの人間が仕事をしているのに自分が仕事してないと気分がイマイチだ。

「寝るか…暇だし、朝早かったし」

「時間が来たら起こしますし、安心して寝てください」

「ごめん、レム、少し横になるわ」

そう言って俺は横長ソファで横になった、レムが自然な形で膝を貸してくれた。レムは少し微笑みながら俺の髪を撫でて、愛おしそうにこちらを見つめている。レムは多分気づいて居ないだろうけど、なんだかその表情はとても安らかで、俺はその顔を見て、とても安心した。慣れない王都に来て不安だった気持ちが一気に晴れた気がした。

「…レム?」

「なんですか?」

「少し…くすぐったいんだけど」

「すみません、でも今はツバキくんの髪を撫でていたいので」

「…お、おう」

「そう言えばツバキくん、吸血はまだ大丈夫ですか?」

「え、あ…そういや、いやまだ大丈夫」

「そうですか、あまり無理しないで下さいね」

「そっか…それじゃ俺は寝るわ」

「はい、ゆっくりお休みになってください」

「ありがと…レム」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ツバキくん、起きてください、時間です」

「分かった…、よし」

目を開けると、そこには笑みを浮かべたレムの姿があった。どうやらご機嫌がかなりいいようだ。

「どうした?かなり機嫌いいようだけど?」

「いえ、ツバキくんの寝顔が思いの外可愛かったものでずっと眺めていました」

「あ…そう」

俺は起き上がり、ぐっと体を伸ばすとすこぶる体の調子がいい。どうやら寝たのは正解であったようだ。

「行きますかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ツバキくん」

「なんだ?」

「ロズワール様はおひとりで大丈夫でしょうか、少しこちらと離れすぎているように見えます」

現在、俺たち三人の眼前では王戦候補がエミリアともう一人は代理を立てたが、その他の2人は揃っていた。一人は女性でふわふわ系な毛布の服装が目立つ、でもさっき「やなぁ」とか「せやなぁ」とか言ってたのはなんだ。そしてもう1人いかにも凛々しい、風格とオーラが出まくっている女性、彼女がどうやら今回の王戦候補の本命らしい。

納得ではある、風格が違う。

「大丈夫よ、ロズワール様は一人でも、ラム達の役目はここにいる人間を誰一人死なせないことよ」

「見たところ、候補の人たちもそれなりに護衛は連れてるみたいだな…」

それも…恐らく腕利きの。

ふわふわな人が連れているのはこれまたふわふわな毛をお持ちの…ウルフ。いや人型ウルフだ、先程から狼顔でせやなとか言ってるからあの辺は全員関西弁なのだろうか。だが腕利きなのには違いない、背中にぶら下げている大剣を振りかざし暴れ回ることだろう。

そして凛々しい人が連れているのは二人、一人は見た目はおじいちゃんだが腰には六本の剣を携え、周囲に最大限の警戒を量っている。歴戦の勇士所ではない、見ているものに絶対的な畏怖を与える迫力。そしてもう一人は猫耳のついた可愛い子、うん、可愛い。

すると、こちらの視線に気づいたのかウルフの男がこちらへ歩みよる。いや気づくことがおかしい、ロズワールの魔術的な仕掛けが施してあるコートを身につけていて、ラムもレムもそれと同じ効果を持つローブを身につけているのだから。俺はラムとレムの前に立ち、フードをとり、ウルフ男を見上げる。

「よう兄ちゃん」

「…なんだよ」

「そう連れない顔すなって、ワイらは一応まだ敵やない、王戦が本格的には始まるまでは同じ国の戦士や、それに…目的は同じやろ?」

「…知ってんのか」

「おう、傭兵の情報網舐めたらあかんで」

「なるほど…じゃあ、あっちも当然知ってる訳か」

「ワイはリカードや、いざとなったら協力しようや」

「俺はツバキ、そうなったら頼む」

そして、リカードは主のところへ戻っていく。

恐らく雇われ傭兵の類いだろうが、その領域を逸脱した強さと貫禄をかんじた。

「信用していいのかしら、今の男」

「多分大丈夫だと思う、何となくだけど」

「ツバキくんがそう言うんでしたら…」

ビュッ!

「…っ、なんだ?」

「どうかされましたか?」

「なんか風切り音が聞こえた気が…」

「…っ!伏せなさい!」

「ぐぉ!?」

「姉様!?」

伏せた瞬間、突然大きな衝撃が襲った。俺は急いでレムとラムに覆い被さるようにして、落ちる瓦礫から守る盾となる。強烈な熱を持った何かが建物に直撃し、建物を崩壊させた、大半の者は混乱はしたものの、結界や自衛の手段を持ち合わせていた為、大半のものは無事だ。

凛々しい人もその近辺の2人も、リカードどその主もどうやら無事なようだ。

「どこから…!」

「これほど大きな威力なら次の一発までは時間があるわ、多分その間に」

すると、瓦礫の陰から明らかにここのものでは無い者の姿がでてきたそれも複数。

「リカード!、聞こえるか!」

「おう!聞こえとるで!」

「いざとなったら…今がその時だ!」

「おう!分かった、兄ちゃんもはよ出て来いや!」

「分かってる、ロズワール!」

「無事だーよ」

「ほかの連中の避難は任せていいか、あとラムも」

「任せたまえーよ」

「分かったわ」

「レムは俺と一緒に、あいつらを片付けるのを手伝ってくれ」

「分かりました」

俺とレムは瓦礫の山から飛び降り、戦ってる最中の場へと降り立つ。

「誰だテメェら!」

「こっちのセリフだわ」

敵は多分かなり多い、どうやってここまで侵入されたかは後で考えるとしてとりあえずは数を減らさないと。見たところ治癒術を使うやつはいないと見える。

一人の敵がこちらへと向かってくる。動きは乱雑でまださっきの賊の方が強かった。すると。

「ぐほぉっ!?」

「うげ…」

隣にいたレムが思いっきり腹を蹴っ飛ばした、敵は蹲って泡を吹いて倒れた。

ちょっと同情する。

「ツバキくんに触らないでください」

そう言ってレムは戦闘態勢に入る、辺りのマナがレムに集まって氷を形成していた。やがてその氷はひとつの巨大な氷柱となり、レムの頭上に定点する。レムが手をかざすとそれは敵集団の方へと向きを変えた。

「行きます!アル・ヒューマ!」

手を振り下ろすと氷柱は物凄いスピードで敵集団へと直撃した。

「さて…」

俺はレムにその場を任せ、奥でこの戦局を見据える一人の男にターゲットを絞る。何人かの兵士が立ち向かうが全て返り討ちにあっている。

短剣を抜いて、両足に魔力を込める。

走り出し、思いっきり跳躍をした。俺は戦局を飛び越え、敵の親玉の所へと辿り着いた。

「なに…!?」

「悪いな、計画通りにさせる訳にはいかねんだわ」

俺は短剣を握りしめ、その男を見すえる。全身に最大限の魔力を込める。頭痛がするがそれは今はいい。

「…行くぜ」

「くっ…」

男は腰からナイフを取り出しこちらへ飛び掛ってきた、左右へ激しく動きながらこちらへと向かってくるのはまるでピンボールのような動きだった。俺はこちらへ斬り掛かる隙に男の腕を掴み、壁になげとばす。

だが、瞬時に切り返し、もう一度今度は直線的に真っ直ぐ猛スピードで飛び掛ってきた。俺はそれを真正面から短剣で受け止める。

ビシッと短剣にヒビが入った、俺は何かを察して、体をねじって蹴りを入れて距離をとる。

短剣は刀身を半ば残して砕けた。

「終わりだァ!!」

「…てめぇ」

俺は腰に据えた柄を手に取り、イメージをする。目の前に飛び掛ってきた男をねじ伏せる形を。先を円の半分に変形させ、タイミングを図って相手の胴体に叩きつける。

「がっ!?…う、動けねぇ…!」

「うらぁ!」

「ごぁ!?」

俺は変形させた形、もといさすまたを押し付けて気絶させる。

「使えるもんだな…」

「て、てめぇ!よくも!」

「こっちのセリフだよ、お気にの短剣を…」

迫り来る子分のひとりを、回し蹴りで粉砕する。

「弁償しろ、…ったく」

「くっ…くそぉぉ!!」

「っ…!」

気がつくと3人ほどに囲まれていて、それぞれ3人が両腕と片足に鎖を巻き付ける。

「ぐっ…!」

「よし、引け!」

「行けるぞ!」

「…調子に乗るなよ」

俺は全範囲に魔力を放出し、3人を鎖ごと吹き飛ばす。のけぞった3人を手早く倒し、鎖を取る。

「おーう、兄ちゃん、片付いたでー!」

「こっちもだ」

「ツバキくん、こちらも完了しました」

「了解、…にしても、なんだったんだ今の」

「あちらの方も大丈夫そうですね」

レムの視線のほうへ向くとそこには、頬に浴びた返り血をハンカチで拭う老人の姿があった。どうやら相当の手練のようだ。

「…っぐ!?」

「おい兄ちゃん?」

「ツバキくん!」

猛烈な頭痛に襲われ、倒れそうになったところを、レムが何とか支えてくれた。まずい…血が足りない。

「すみません、レム達はこれで」

「お、おう…、兄ちゃんお大事にな」

「…あぁ」

俺はレムに肩を貸してもらいながらその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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