「十四番隊は、完全引抜き制の特殊な隊」
再び霊術院で古森さんと会った時、漸く聞きたかったことが聞けたものの、十四番隊のことについてあまり理解ができず首を傾げた。
「えーと、古森さんは引き抜かれたということですか?」
「そう。……でも、僕は十四番隊に入りたかったから、入るまで卒業出来なかった」
途切れ途切れではあるが、古森さんはちゃんと言葉にして伝えてくれる。
つまり、古森さんが一年で卒業できるのを三年まで引き伸ばしたのは十四番隊にスカウトされるのを待っていたということだ。
天才の彼がそこまでして入りたがる隊。一体どんな所なのだろうか。
「でも十四番隊ってあまり知られてませんよね、護廷十三隊にも数えられてませんし……」
「十四番隊は、元十三番隊副隊長の
新しいから誰も知らない。護廷十三隊に数えられないということか。いや、それにしてもおかしい。新しい隊が出来たならすぐに知れ渡るはずなのに。
「……十四番隊は、多分、護廷十三隊の中で一番優秀」
「え」
「……」
ーー1番優秀だって?
古森さんは眉一つ動かさずに話を続けた。
「気になる?」
「まぁ、はい……」
「なら、十四番隊に入れるように頑張って」
はァ?と思わず声が出そうになった。
古森さんはこれ以上十四番隊について話す気はないらしい。
いやいや、というか私は十三番隊に入りたいんだって。
つくづくこの人はよく分からない先輩だ。
◇
"戦いにはね、二つあるの。
一つは、何かを守るための戦い。
二つは、自分の為にしなくてはならない戦い。
私はこの二つを理由にしているの。
貴方の戦う理由は、何?"
ーー不思議な女の子に出会った。
授業が終わり、休憩時間になんとなく中庭に寄るとひたすら草を抜いている女の子を見つけてしまった。
「こんにちはお嬢さん、こんなところで何してるのかな?」
真央霊術院にこんな女の子が、と最初は思ったけど声をかけたあとでもしかしたら生徒なのかもしれないと気づいた。
しかし、服は制服ではないし、無邪気に草をむしり続ける様子からそれはないなとも思った。
女の子は私の方を向くとにっこりと笑い、そしてまた草をむしり始める。
「えっと……お名前は?」
「椿梅」
「つばめちゃん?どうしてこんなとこにいるのかな」
椿梅と名乗った女の子はえっとね、と暫く考えこんでから思い出したように声を上げ、むしっていた草をパッとばらまいた。
「お母さんを待ってたの」
「お母さんと来たの?」
「うん。でも、もう行かなくちゃ」
「行くってどこ___」
どこに、と聞く前にはもう視界から椿梅は消えていて、代わりに草が前を舞っていた。
全く見えなかった。早すぎる瞬歩に私は目を丸くする。
「……あの子は一体」
どこにもいない椿梅を探すように辺りを見渡して、暫くそこに座り込んだ。
真央霊術院にやってきた理由は知らないが、恐らく母親が関係している。それにしても只者じゃない。
「おーい
パタパタと朝長が探したぞ、と駆け寄ってきて私は立ち上がった。
何かあったのかと聞かれるも、上手く説明出来ず結局何も無いと誤魔化す。朝長はそれ以上聞かなかったが、この出会いが後に私の運命を変えることは揺るがない事実だった。