死神は非番の日何をしてるんだろう、鍛錬に勤しんでいるのかな、なんて思っている時代が私にもあった。
しかしまぁ、死神になってからの非番と言えば鍛錬に勤しむわけでもなく、私の場合は仲のいい友人に愚痴を吐き出す日になっている。
「そしたら鳬梅隊長なんて言ったと思う?」
「んー…さぁ…」
「『私は今から穴を掘ります』だよ!?それでホントに掘り始めたの!隊舎の庭に!」
「ふふふ、十四番隊は毎日が楽しそうでいいわね」
「そういうなら代わってあげてもいいんだけど???」
「遠慮しとくわ」
甘味処で私の前に座っているのは十三番隊第三席志波都。
同じ三席であり、諏宮副隊長が海燕副隊長と仲がいいのでそこから私達も繋がり始めたのだ。
「はぁーあ、海燕さんが羨ましいわー」
「どうして?」
「こーんな素敵な奥さんがいて、しかも十三番隊て!私と代わってほしすぎる……」
これは私の切実な思いだ。
いやまぁ本気で十三番隊になりたいかと問われると少し迷ってしまうが。
「んだとオメー」
「いた、いたたたた!!」
いつの間に来ていたのか海燕さんが私の頭を両手でグリグリとした。これ本気で痛いんだよなぁ……
どかっと都の隣に座った海燕さんはそのまま店員に茶を注文した。
「ったく、人の嫁連れてどこいったかと思えば……」
「す、すみません…」
「まぁまぁ、それで聞き忘れてたんだけど、霊術院から生徒を1人無理やり引き抜いたって本当なの?」
都の言葉に、それが……、と私はあの時を思い返す。
隊長が無理やり連れてきた霊術院の二回生である永戸恵子は、虚討伐は実習以外でしたことがないと言う。
いきなり現場に連れてこられて、連れてきた当人は「戦ってきなさい」の一言しか言わない。
めちゃくちゃだこの人、と思いつつも、彼女に怪我を負わせるわけにはいかないと思い、副隊長の諏宮さんと彼女を守りながら虚と戦うことにした。
しかし、驚いたことにその任務中に永戸恵子は斬魄刀を解放し始解を習得したのだ。
「まぁ、任務中に始解を習得?院生なのに?凄いじゃない」
「私と副隊長は拍子抜けだよ、あ、その時一緒に討伐行ってたのが五番隊なんだけど…ただでさえ隊長が院生を連れてきただけでも目立ってたのにその子が始解習得しちゃうもんだから更に目立っちゃって……」
「それでその子は今どこに?」
「それが…隊長も私達もてっきりその子はそのまま十四番隊に入隊すると思ってたんだけど、その後の隊首会で却下されちゃったらしくて……」
私はお茶を1口飲む。
そして続けた
「しかも隊長の自由すぎる行動に処罰が下って隊長は謹慎。最悪だよほんと」
私がそう言えば海燕さんは吹き出すように笑った。
失礼ですよと都が言うものの笑いは静まらない。
「もー!笑い事じゃないんです!仕事は相変わらず副隊長が走り回ってやってるし……他の隊士も隊長が謹慎食らったからって好き放題、十一番隊じゃないんだから……」
はぁ、とため息をついた。
◇
「____くしゅんっ!誰かが私の噂をしてるのかしら……」
一方、謹慎を食らっている鳬梅は自室の襖を開けて外を見た。
「まさか謹慎を食らうとは思って無かったわ……あぁ、あの子は何か運命を感じたのになぁ、惜しいことをした」
あの子、というのは永戸恵子の事だ。
以前の討伐任務で無理やり連れ出したのはわるかったとはおもうが、おかげで始解を習得させることには成功した。
「椿梅がやけにあの子を気にしているのも気になるし……」
顎に手を当て考え、意識は考え事に飛んでいた。
不意にぺし、と頭を紙で叩かれる
「何を考え込んでいるんだ?」
「あら、あなた……って私に何か用かしら」
頭を軽く叩いたのは十三番隊隊長浮竹十四郎。
京楽、浮竹、鳬梅は3人とも同期である。
そして鳬梅と浮竹は夫婦であり、椿梅の両親だ。
「書類を渡しに来たんだ。さっき諏宮くんとすれ違ったが、どうも君が謹慎してから忙しいみたいでね、だから直接渡しに来たってわけだ」
「それは御足労ありがとうございます」
「なぁ鳬梅、君は十四番隊をどうするつもりなんだ?」
「どうする、とは?」
質問の意味が分からない、と言ったような聞き返しをする。
「"彼"が死んでから少し十四番隊も荒れた。君が何をしようとしているのかは知らないが、……"残される方"の事も考えてくれよ」
「……」
十四番隊の隊員、そして娘と夫。誰も鳬梅の考えていることなど知らない分からないが、浮竹にはこの先近いうちに彼女が消えてしまうのではないかという事ばかりが頭をよぎっていた。
「まぁいい、そうだ、これから少し出かけないか?」
「出かけるって……貴方そう言えば身体は平気なの??」
「あぁ、今日は薬も飲んで調子がいいんだ!鳬梅もずっと部屋に籠るのはつまらないだろう?」
「私はいいけど、仕事があるんじゃ」
「俺だってたまにサボりたくもなるさ」
浮竹はそう言えば強引に鳬梅の腕を引っ張り瀞霊廷の店街へと繰り出した。
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「一度屋敷に寄って椿梅も連れてこよう」
「ちゃんと御屋敷にいればいいのだけれど」
「いなかったら探しに行かないとな」