ダンジョンで自然軍と邂逅するのは間違っているだろうか   作:ClariSと苺の樹

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2020年最初の投稿となります。今年もよろしくお願いします。

今回から原作突入です。

それと感想をもらった際に自然軍幹部の名前と二つ名の元ネタを教えてほしいとコメントを頂きました。感想をくださった方、少し遅くなりましたが感想ありがとうございました。

前書きに書くと感想では答えさせてもらいましたが、少し長くなってしまったのであとがきにて書かせてもらおうと思います。

それでは、本編をどうぞ。


第3話

「「ヴヴォォォォォオオオッ!!」」

 

「ほぁあああああああああっ!?」

 

 壁は震え、地は響き、ダンジョン内に反響する低く大きな咆哮。

 

 声の主は『ミノタウロス』。その強さと言ったらLv.2モンスターの内でも特に強力とされており、冒険者の単独撃破には実質Lv.3に届く力量が求められる程のモンスターである。

 

 そんな恐ろしい怪物に追われているのは少年、ベル・クラネル。つい半月前までは剣も持ったことのなかった彼は、今ではダンジョンに潜ってモンスターと戦い、このオラリオで立派に生きている冒険者の一人である。

 

 そんな彼だが、今日は思い切って普段から通い詰めているダンジョンの二階層から少し潜って五階層まで足を運んだのであるのだが……。

 

「ヴヴォッ!!」

 

 ブゥン! 

 

「っひゃあ!」

 

「ヴォモオオッ!!」

 

 ドゴオオンッ!! 

 

「はわっ!?」

 

 この有様である。何故か突如現れたミノタウロス()()に追われることとなっていた。

 

「フーッ、フーッ……」

 

(手前の一頭は……上からの振り下ろし!)

 

 ドゴオオンッ!! 

 

(そしてもう一頭は右からの大振り!)

 

「ヴヴォオオ!!」

 

 ブオンッ!! 

 

 二頭のミノタウロスに追われるベルであったが、ただ走って逃げるだけでなくしっかり相手の攻撃を見切って対処するかとが出来ていた。冒険者として彼がダンジョンに潜ることを決めた日に彼は友人へ稽古をつけてもらうことを約束していたのだった。そのおかげでベルは大きな傷もなくミノタウロス達から逃走することが出来たのだった。

 

 しかし相手はLv.2相当のモンスター達である。未だLv.1であるベルにとってその差は大きなものであった。

 

「ヴゥムゥンッ!!」

 

「っ!」

 

 背後から繰り出された一頭のミノタウロスの蹄が直撃こそしなかったもののベルの足場を悉く粉砕した。

 

「うわわわっ!」

 

 足を取られて転がるベル。顔を上げるとそこには彼を見下ろす二頭の怪物が立っていた。

 

 後ずさるベルだったが直ぐにドンッ! とダンジョンの壁まで追い詰められてしまった。

 

(あぁ、僕はここで死んでしまうのか……)

 

 神様、ごめんなさい。ダンジョンに潜って一攫千金ならぬ一攫千美少女なんて邪な考えをもっていたのが間違いでした。やっぱり僕には冒険者なんてものは荷が重かったんです。

 

(——結局、女の子との出会いは訪れなかったなぁ)

 

 そう思ってベルはゆっくりと自分の死が近づくのを見つめていた。

 

 

 瞬間、一頭のミノタウロスの体に一線が走った。

 

「グブゥ!? ヴゥ、ヴゥモオオオオオォォオォ……」

 

「——へ?」

 

 ものすごい勢いで血を吹き出しながら上と下と真っ二つになって崩れ落ちたミノタウロスの先にいたのは、思わず女神と見間違えるほど可憐な少女だった。

 

「……大丈夫?」

 

 そう言ってこちらを見つめる彼女にベルは心当たりがあった。

 

 

 駆け出しの冒険者であるベルも知っている有名人。

 

【ロキ・ファミリア】に所属する第一級冒険者。

 

 冒険者として活動しているヒューマン、いや異種族間の女性の中でも最強の一角と謳われるLv.5。

 

【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタイン

 

 

 

 

 この時、ベルの顔には返り血がべっとりと付着していたが、もし綺麗なままであったとしても彼の顔は真っ赤に染まっていたであろう。

 

 心臓がこの思いを体に刻む様に血液を循環させる。眼は美しいその姿をこの目に焼き付けようと彼女を見つめる。

 

 少しずつ赤みを帯びていく頬。胸に芽吹くは盛大な恋心。

 

 

 

 十四歳、ベル・クラネル。

 

 

 

 彼はダンジョン五階層において生まれて初めて一目惚れしたのであった。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

「うわわあああああっ!!」

 

 そう叫びながら思わずその場から走り去ったベル。

 

 話しかけたのに走って逃げ去られたアイズは少しの間呆然としていたが、

 

「ヴゥ、ヴヴゥモオオオオオォォオオォ!」

 

 もう一頭のミノタウロスの叫び声を聞き、我に返って剣を構えた。

 

 逃がしたミノタウロス二頭を追って仲間たちより先にたどり着いたアイズは同族が倒されて憤っているのか大きな雄叫びを上げているミノタウロスの後ろを見た。

 

 まだ彼らが来る気配はない。そう思って一人ミノタウロスと対峙するアイズだったが、

 

 バチッ!! 

 

「ヴヴォッ!?」

 

「!?」

 

 一瞬のうちに目の前のミノタウロスは黒焦げになり、

 

「ゴメンね、遅くなっちゃって」

 

「……エレカさん」

 

 雷を主とする精霊(スピリット)であるエレカがそこに立っていた。

 

 彼らは今日、このダンジョンに合同の遠征に来ていた。というのも【ロキ・ファミリア】と【ナチュレ・ファミリア】は探索系ファミリアの中でもトップを争う実力のあるファミリアであり、今回はまだ見ぬ新しい階層の探索として力を合わせてダンジョンの攻略へ足を踏み入れていた。

 

 しかし、未探索階層である51階層を探索していた彼らだったが、未知のモンスターに遭遇し止むを得ず安全地帯である五十階層へと撤退。さらにそこでもモンスターが現れ、【ロキ・ファミリア】の団長のフィンが部隊に地上への撤退を命じたのだった。

 

 こうして地上へと撤退している最中に、ミノタウロス二頭に追われているベルを発見、彼を助けることとなったのだ。

 

「いやー、それにしてもあのモンスターは一体何だったんだろうね。私だって長いこと生きてきたけどさ、あんな化け物『天冥戦争』の時でも見かけなかったよ」

 

「……エレカさんでも知らないなんてそんなことあるんですね」

 

「そりゃもちろん私だって全知全能ってわけじゃないし、何よりこのダンジョンはすべてが未知の存在(アンノウン)。ウチの神様だって解らないかもね」

 

 二人並んで歩くアイズとエレカ。ダンジョンで共闘することや同じ女性という事もあり、彼女等の中はとても良好である。アイズにとってもエレカにとっても違うファミリアの同性は貴重な存在なのだ。

 

「……」

 

「どうしたのアイズ。さっきからずっと元気なさそうだけど」

 

「いや、別に……」

 

「あ、もしかしてさっきの少年の事? それなら大丈夫。あの子はブラピの数少ない友人だからね。何か彼に伝えておく?」

 

「ん、大丈夫」

 

 そう言って一歩前に出て歩くアイズだったが、その後ろ姿は何処か寂しげな空気を醸し出していた。




前書きに書いたようにここでは名前の元ネタについて書かせてもらいます。

別に知らなくてもいいという方は本編には関係のないことですので見なくても構いません。



剛腕(テーセウス)】ロッカ・スピリット

“テーセウス”とはギリシア神話における英雄の一人で、大岩を持ち上げるほどの怪力を誇ります。
名前の“スピリット”はロッカは岩に精霊が宿って生まれたとの事なので採用しました。


静寂(シニス)】アロン・バータル

“シニス”もギリシア神話から取りました。怪力な盗賊として知られていますが、彼は旅人にひどい乱暴をしたとされています。いつもは冷静沈着、人当たりの良いバロンにもそのような残虐性が隠れている……という意味を込めて【静寂】につけさせてもらいました。
“バータル”は残忍という意味の『Brutal』を少しもじった形となりました。


電光(シュガール)】エレカ・マグネクト

バスク神話における男性神“シュガール”は雷神、嵐の神とされていて、一目でこれだ!と、思い二つ名としました。
また“マグネクト”は彼女の身に着けている電磁マフラーから、『electromagnetic』を縮めたものだったりします。


不羈(イカロス)】ブラックピット・リセブランス

原作ではナチュレから自然軍幹部であるといわれていたブラピですが他の3人(人?)と比べ、二つ名らしきものがなかったため自由を追い求めている彼らしい『不羈』という言葉を採用しました。
“イカロス”は皆さんもご存じのとおり蠟でできた翼を用いて空を飛ぼうとした自由の象徴です。自分の中ではこの二つ名が一番のお気に入りでしたね。
そして名前の“リセブランス”は酷似という意味の『resemblance』からきています。やはり彼はピットのコピーですから。




やっぱり感想をもらったり評価を付けてくださると本当にうれしい気持ちで一杯になりますね。

構想が固まったら話を書いていくスタイルですので亀投稿ではありますがこれからも頑張っていこうと思っておりますのでよろしくお願いします。
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