〈ルベンリ中央管区 ライヒ空軍基地〉
ルベンリという街は余りにも大きく、小国に匹敵する程の領土を有する。
その為、街は占領した新国家軍によって東西南北と中央に管区を設けられ、それぞれの指揮官がそこにいる全部隊の指揮権を持っていた。
爆撃隊の標的になっていたのが中央管区にある『ライヒ空軍基地』だった。
ライヒというのは新国家軍の総司令官が名付けたのだが、その規模は正に空軍基地と呼ぶに相応しい。
しっかりとアスファルトで整備された滑走路に、沢山の格納庫やパイロット達の宿舎、それに多くの参謀将校の集まる大きな司令部の建物に充実した対空兵器。
新国家軍の総司令部もその中央管区に存在したため、そこが狙われるのは必然的であった。
まぁ、そこを焼け野原にする筈の爆撃隊は現在火炙りにされているが。
空軍基地の滑走路脇には他の対空砲と比べて明らかに大きい固定砲台とそれを運用する兵士、そして一人の軍服を身に纏った男とその隣に立つやけに奇抜なスーツを着た男がその赤熱した砲身を眺めていた。
その砲台が他の対空砲と違う点を三つ挙げるとするならば、まず一つ目に、口径が大き過ぎる。
20mmは兎も角、88mm、それどころか恐らく150mmを遥かに超える口径をその砲は持っていた。
二つ目に、発射方式が普通の砲と異なるという事だ。
この砲は『多薬室砲』に分類される。
詳しい原理は省くが、簡単に言えば複数の薬室を用いて弾頭を連続で加速させ、高初速で撃ち出すという物だ。
三つ目に、この砲に使用されている砲弾は只の砲弾ではない。
この砲に使用されている砲弾……それは『核弾頭』。
「これは……確かに……驚異的だ……」
派手なスーツを着た若い男が口に手を当てながら先程まで爆撃隊がいた筈の場所を見つめていた。
「言っただろう?アイツらと俺たちじゃあ、質の差が違うんだよ」
その隣にいた軍服の男が自慢気に口角を上げながら答える。
「『ヒュージキャノン』……本当は対空兵器ではないんだが、あの威力を見れば、航空機相手にも通用すると分かっただろう」
爆煙の漂う空を一瞥し、ヒュージキャノンの方へと視線を移す。
「オーバードウェポンは他にもある。 戦争が激化すればいつかお披露目する事もあるだろうな」
「こんな兵器があったら、僕達も勝てたんだろうけどなぁ〜」
スーツの男も、残念そうな顔でヒュージキャノンを眺めている。
「後悔先に立たず、だ。 まだ残党がいるみたいだし、残党狩りとしよう」
「了解」
滑走路にてアイドリング中の戦闘機へと向かっていく男の背中をスーツ男は追っかけていった。
「さぁ、この世に秩序を取り戻すとしよう。 『イサオ』」
「分かってるさ。 全ては救済の為、だろ?
『メルツェル』」
一話一話は基本短めなのでゆるして。
それとACを登場させるかさせないか、感想にて意見が欲しい所です。