「弟さん、しず子に負担をかけてませんか?」
ある日の昼休み、部室でしずくとお弁当を食べていた時、かすみからそんなことを言われた。
「負担?しずく、何か負担でもかけてるか?」
「いいえ、特には…………私の方が負担になっていないか不安ですが…………」
しずくが負担になってる?そんなことはないんだけど…………
かすみはため息をつき、僕らが食べているお弁当を指差した。
「しず子が実家から通っているのは知ってますか?」
「うん、知ってるけど」
「毎朝五時に出て、学校まで来てるんですよ。お弁当を作ってもらうだけでもかなり負担になってませんか」
かすみの指摘はもっともだ。朝五時に家を出てるしずく。お弁当を作るには、早い時間に起きていると言うことになっている。
普通ならそこら辺気にすべき事だけど…………
「あのかすみさん、このお弁当は響くんが作ってくれたものです」
「はい?」
しずくの言うように、このお弁当は僕が作ったものだ。
「しずくが朝、大変だからたまに作るようにしたんだよ」
「私は気にしなくていいって言ったんだけど、響くんがどうしてもって…………」
「そう言うわけだから、問題はないと思うけど…………」
かすみに卵焼きを1つ食べさせた。因みに卵焼きのレシピは歩夢姉さん直伝だ。
「何と言うか、弟さんは料理もできるんですね」
「まぁ、ある程度の事は出来るようにしておきたくって…………」
「響くんは勉強家ですから」
「とりあえず負担云々の話は納得できた?」
「はい、弟さんはしず子の事を思っているのは分かりました」
かすみも分かってくれたみたいだな。とりあえずお弁当の続きを…………
「そうでした。かすみさん、私、今日は演劇の練習があるのでこちらには出れません」
「そうですね。先輩も今日から音ノ木坂に行くと言っていたので、暫くは自主練になるから大丈夫ですよ」
姉さんのスクールアイドルに会いに行くのはまだ続いていた。今回はμ'sに会いに行っている。
「僕の方も生徒会の仕事に集中しておくよ。しずくも無理はしないようにな」
「はい」
「…………かすみんも彼氏が欲しいな~」
生徒会室で一人で仕事をする僕。せつ菜は仕事を終わらせ、もう練習に行った。他のメンバーは仕事が終わり、帰っている。
僕の場合は皆の負担を少なくするために、多目に仕事を終わらせている。この件は誰にも言わずに、個人的にやっているだけだ。
そろそろ一息をつこうとしたとき、ノックが聞こえ、しずくが入ってきた。
「しずく?どうした?」
「響くん…………私は……貴方にとって…………」
泣きそうになりながら、必死に何かを伝えようとするしずく。何かあったのか?
「しずく?」
「私は理想のヒロインになっていますか?」