響き渡る雫   作:水甲

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14 しずくとの演劇

しずくから何があったのか話を聞くことになった。

 

「劇で今度ヒロイン役をやることになったんです」

 

「ヒロイン役を?おめでとう」

 

「ありがとうございます。でも練習していくうちに分からなくなってきたんです。どう演じればって…………」

 

役作りに苦戦しているって事か?でもしずくほどの役者なら…………

 

「好きな人といると言う事を演じる事が出来ないんです」

 

「演じるって事が出来ない?」

 

「はい、響くんと一緒にいるときの気持ちでやっても、どうしても演じきれないんです。私は役者失格でしょうか?」

 

どう答えればいいのかわからない。

しずくは好きと言う気持ちを演じる事が出来ない。

 

「なぁ、試しにやってみてくれないか」

 

「えっと…………」

 

「練習に付き合うよ」

 

実際にどんな感じなのか見てみたいし、見て、何か分かるかもしれない。

 

とは言え演劇は素人だから、上手くアドバイスが出来るかどうかだけど…………

 

「分かりました。響くんはじっと立っていて下さい」

 

しずくはゆっくり息を吐く。

 

「先輩、私は…………」

 

目を潤ませ、ゆっくり僕に身を寄せる。

 

「好きです。先輩の事が好きです」

 

目を閉じた。僕はそのまましずくにキスをした。

 

「ん」

 

唇を離すと、しずくは恥ずかしそうにしていた

 

「じっとしていてくださいと言ったのに」

 

「ごめん。でもしずく、うまいと思うよ」

 

「響くんとの前ですから、演じるのではなく、自然体のままでやったので」

 

だとしても演じるのは難しいのか。

 

「でも、もしかしたら何とかできるかもしれません」

 

何か掴めたのかな?だとしたらよかった

 

「応援してるから、頑張って」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

次の日、生徒会室でのんびりと作業していると、一人の女生徒が訪ねてきた。

 

「失礼します。私は演劇部部長の麻野です」

 

「夢咲です。えっと…………」

 

「ちょっとお願いしたいことがあるの。いいかしら?」

 

お願いしたいこと?何だろう?とりあえず付いていくことにした。

 

 

 

 

 

「と言うわけで、新しくヒロインの相手役の夢咲響くんを連れてきたわ」

 

「「はい?」」

 

演劇部の人が拍手を送る中、僕としずくは意味がわからないでいた。

 

「桜坂さんに話を聞いたら、それだったら彼を相手役にした方がいいと思ってね。協力してね」

 

「しずく、この人、押しが強いんだけど…………」

 

「一度決めたら、最後まで走り抜ける人ですから…………」

 

「生徒会として、協力してね。会長には頼んであるから」

 

いつの間に…………

ここで断ってもいいけど、しずくやせつ菜に迷惑がかかるから引き受けた方がいいかな

 

「分かりました。引き受けます」

 

「ありがとうね。これ台本だからしっかりね」

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