部室で残った生徒会の仕事をしていた。みんなは練習やフェスの関係で忙しく今は僕一人だった。
「ふぅ」
会長職って本当に仕事が多いな。ある程度はせつ菜や三船、詩音、他の生徒会メンバーがやってくれるとはいえ、それでも大変だ。
「とは言え、あれを食べるのは…………」
僕は机の上に置かれたケーキを見た。練習に行く前のせつ菜から…………
『お疲れ様です。良かったらこれ食べてください。疲れたときは甘いものがいいみたいと聞いたので』
と笑顔で言われたけど、めっちゃ怖い。せつ菜のケーキって何と言うか独創的なんだよな…………
「捨てるわけにはいかないよな…………」
「何がいかないんですか?」
不意に声を掛けられ、振り向くとしずくがいた。
「しずく、いや別に…………練習は?」
「休憩です。それに響くんの様子を見に来ました」
笑顔でそう言うしずく。しずくは僕の隣に座った。
「最近お疲れみたいですね。やっぱり生徒会の仕事、忙しいんですね」
「まぁ、慣れるまではな…………」
背伸びをしていると、しずくがケーキに目をやった。
「これは?」
「差し入れのケーキ。食べるかどうか悩んでるんだけど…………」
「そうなんですか…………ひと口もらっていいですか?」
しずくはそう言ってケーキをひと口食べようとした。あれ?まずくない?
「しずく!?ちょっとまっ…………」
止めようとしたけど、しずくはもう食べてしまった。大丈夫か?
「しずく、大丈夫か?」
「…………」
「しずく?」
「大丈夫ですよ~美味しいですねこれ~」
大丈夫そうだけど、何か顔が赤い。と言うか口調がおかしい。
「響くん~」
しずくは僕に突然抱きついてきた。何これ?
「響くん、暖かい~」
「ちょっとしずく?」
何か嗅ぎなれない臭いがするけど、それにしずくの様子…………もしかしてお酒のケーキなのかこれ?
「響くん~好きです。大好きです~響くんは~」
「ぼ、僕も好きだよ」
「嘘です」
「嘘じゃないよ」
「嘘じゃないなら証明してください」
証明って…………何を?とりあえずキスでいいのかな?
僕はしずくに軽くキスをした。
「これで証明にならない?」
「えへへ~いいですよ~こんなにドキドキしてますから」
そう言いながら、しずくは僕の手を掴み、自分の胸に当てた。鼓動云々じゃなく、胸の柔らかさにドキドキするんだけど…………
「響くんはドキドキしてますか?」
「し、してるけど…………」
「本当ですか~」
そう言いながら僕の胸に耳を当ててきた。酔っぱらってるからこんなに積極的になってるけど、理性を保つのが大変なんだけど…………
「ドキドキしてますね。響くん、もう一回キスしてもらっていいですか?」
「しずく…………」
もう一回しようとした瞬間、部室に三船が入ってきた。
「会長、こちらに…………」
三船は今の僕らの状況を見て、険しい表情をしていた。そして呆れた感じにため息をつき
「失礼しましたと言いたいですが、場所等を考えてくれませんか?会長」
「ご、誤解…………」
「何が誤解なのですか?明らかに誤解ではないかと」
どう説明をすればいいのか悩んだけど、ここは正直に言わないと…………
「実は…………」
僕は三船に全部説明した。すると三船は……
「お酒入りのケーキですか…………」
三船はケーキを食べた。頼むから食べて酔っぱらってほしくないのだけど…………
「美味しいですね」
美味しい?三船は舌が変わってるのか?とりあえず僕も食べてみた。
あれ?普通に美味しいし、お酒もそんなに強くない。
僕はしずくの方を見るとしずくは笑顔だった
「しずく、もしかして…………」
「…………演技です。響くん」
「つまり一緒にいられる時間がなかったから…………」
「はい、甘えました」
だからって酔っ払ったふりは…………
「ちょっと悪戯しちゃいました。えへへ」
全くしずくは…………
「悪かったな。できる限り一緒にいる時間は増やすから、それに演技とかじゃなく、普通に甘えていいからな」
「はい」
「とりあえず場所を選んでください」
僕らは三船に謝り、僕としずくは一緒に練習場所に行くのであった。