響き渡る雫   作:水甲

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19 部室で甘い一時

部室で残った生徒会の仕事をしていた。みんなは練習やフェスの関係で忙しく今は僕一人だった。

 

「ふぅ」

 

会長職って本当に仕事が多いな。ある程度はせつ菜や三船、詩音、他の生徒会メンバーがやってくれるとはいえ、それでも大変だ。

 

「とは言え、あれを食べるのは…………」

 

僕は机の上に置かれたケーキを見た。練習に行く前のせつ菜から…………

 

『お疲れ様です。良かったらこれ食べてください。疲れたときは甘いものがいいみたいと聞いたので』

 

と笑顔で言われたけど、めっちゃ怖い。せつ菜のケーキって何と言うか独創的なんだよな…………

 

「捨てるわけにはいかないよな…………」

 

「何がいかないんですか?」

 

不意に声を掛けられ、振り向くとしずくがいた。

 

「しずく、いや別に…………練習は?」

 

「休憩です。それに響くんの様子を見に来ました」

 

笑顔でそう言うしずく。しずくは僕の隣に座った。

 

「最近お疲れみたいですね。やっぱり生徒会の仕事、忙しいんですね」

 

「まぁ、慣れるまではな…………」

 

背伸びをしていると、しずくがケーキに目をやった。

 

「これは?」

 

「差し入れのケーキ。食べるかどうか悩んでるんだけど…………」

 

「そうなんですか…………ひと口もらっていいですか?」

 

しずくはそう言ってケーキをひと口食べようとした。あれ?まずくない?

 

「しずく!?ちょっとまっ…………」

 

止めようとしたけど、しずくはもう食べてしまった。大丈夫か?

 

「しずく、大丈夫か?」

 

「…………」

 

「しずく?」

 

「大丈夫ですよ~美味しいですねこれ~」

 

大丈夫そうだけど、何か顔が赤い。と言うか口調がおかしい。

 

「響くん~」

 

しずくは僕に突然抱きついてきた。何これ?

 

「響くん、暖かい~」

 

「ちょっとしずく?」

 

何か嗅ぎなれない臭いがするけど、それにしずくの様子…………もしかしてお酒のケーキなのかこれ?

 

「響くん~好きです。大好きです~響くんは~」

 

「ぼ、僕も好きだよ」

 

「嘘です」

 

「嘘じゃないよ」

 

「嘘じゃないなら証明してください」

 

証明って…………何を?とりあえずキスでいいのかな?

僕はしずくに軽くキスをした。

 

「これで証明にならない?」

 

「えへへ~いいですよ~こんなにドキドキしてますから」

 

そう言いながら、しずくは僕の手を掴み、自分の胸に当てた。鼓動云々じゃなく、胸の柔らかさにドキドキするんだけど…………

 

「響くんはドキドキしてますか?」

 

「し、してるけど…………」

 

「本当ですか~」

 

そう言いながら僕の胸に耳を当ててきた。酔っぱらってるからこんなに積極的になってるけど、理性を保つのが大変なんだけど…………

 

「ドキドキしてますね。響くん、もう一回キスしてもらっていいですか?」

 

「しずく…………」

 

もう一回しようとした瞬間、部室に三船が入ってきた。

 

「会長、こちらに…………」

 

三船は今の僕らの状況を見て、険しい表情をしていた。そして呆れた感じにため息をつき

 

「失礼しましたと言いたいですが、場所等を考えてくれませんか?会長」

 

「ご、誤解…………」

 

「何が誤解なのですか?明らかに誤解ではないかと」

 

どう説明をすればいいのか悩んだけど、ここは正直に言わないと…………

 

「実は…………」

 

僕は三船に全部説明した。すると三船は……

 

「お酒入りのケーキですか…………」

 

三船はケーキを食べた。頼むから食べて酔っぱらってほしくないのだけど…………

 

「美味しいですね」

 

美味しい?三船は舌が変わってるのか?とりあえず僕も食べてみた。

 

あれ?普通に美味しいし、お酒もそんなに強くない。

僕はしずくの方を見るとしずくは笑顔だった

 

「しずく、もしかして…………」

 

「…………演技です。響くん」

 

 

 

 

 

 

「つまり一緒にいられる時間がなかったから…………」

 

「はい、甘えました」

 

だからって酔っ払ったふりは…………

 

「ちょっと悪戯しちゃいました。えへへ」

 

全くしずくは…………

 

「悪かったな。できる限り一緒にいる時間は増やすから、それに演技とかじゃなく、普通に甘えていいからな」

 

「はい」

 

「とりあえず場所を選んでください」

 

僕らは三船に謝り、僕としずくは一緒に練習場所に行くのであった。

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