響き渡る雫   作:水甲

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04 呼び方

それはまるで幻想的だった。

夕日に照らされながら、彼女は真剣な表情で何かを演じていた。

僕はそんな彼女の姿に見とれていた。

 

彼女の演技が終わり、僕は拍手をしていた。

 

「あっ」

 

拍手に気がつき、彼女は僕に見られていたことを知り、恥ずかしそうにしていた。

 

「凄く良かったよ」

 

「えっと、貴方は…………」

 

「僕は夢咲響」

 

「私は…………」

 

 

 

 

 

 

 

目を覚まし、自分が見ていたのが夢だと気がついた。

 

「何だか懐かしい夢を見たような…………」

 

何年か前に出会った女の子の夢。あの子は……誰かに似てる気が…………

 

考えたけどよく思い出せない。ただ思うのはあの子は僕にとって初恋の女の子だ。

 

朝食を食べていると、チャイムがなった。時間的にはあの人だな

 

「おはよう、響くん」

 

「歩夢さん、おはようございます」

 

上原歩夢。僕と姉さんの幼馴染で、毎朝家に迎えに来てくれる。

 

何故か歩夢さんは不満そうな顔をしている。どうしたんだろう?

 

「あの何か?」

 

「昔みたいにお姉ちゃん呼びしないの?」

 

「ぶふっ!?」

 

飲んでいた牛乳を吹き出しそうになった。何で姉さんと同じ様な事を言うんだよ…………

 

「小さい頃は響くん、歩夢お姉ちゃんって、呼んでたのに…………」

 

「いや、それは…………その……」

 

「昔みたいに呼んで見て」

 

何でこう言うとき、押しが強いんだよ。と言うか断ったら、姉さんに何を言われるか……

 

「あ、歩夢お姉…………ちゃん」

 

「うん」

 

恥ずかしい……フッと視線に気がつき、振り向くと、姉さんがニヤニヤしていた。

 

「何?」

 

「ん~別に~」

 

何なんだ?一体……

 

 

 

 

 

お昼休み

 

学食に行こうとしていると、しずくが声をかけてきた

 

「夢咲くん、学食に行くの?」

 

「うん、そうだよ。しずくは?」

 

「私は……あのそういえば、何だか夢咲くん、疲れてるけど、どうしたの?」

 

「いや、実は……」

 

僕は朝の事を話した。何故か同好会の子達と遭遇することが多く、その度に下の名前で読んでほしいと言われる。

 

「愛さん、果林さん、彼方さん、エマさん、璃奈、かすみ…………何なんだろう…………」

 

「あぁ、それは…………」

 

「しずくは何か知ってるの?」

 

「はい」

 

事情知ってるみたいだな。聞くべきだけど、先ずはお昼を食べないと…………

 

「しずく、一緒にどう」

 

「えっ!?」

 

何故か顔を赤らめるしずく。どうしたんだろう?

 

しずくは顔を背けながら、一緒にお昼を食べることに了承するのであった。

 

 

 

お昼を食べながら、しずくに朝からの出来事を訪ねた

 

「実は、昨日……」

 

昨日?確か僕は用事があって、早めに帰ったんだっけ?

 

「かすみさんが夢咲くんの呼び方について疑問を感じたみたいで」

 

 

 

一日前

 

「弟さんは何で名字呼びなんでしょうか?」

 

「確かに気になるわね。せつ菜としずくは呼び捨てで、歩夢は名前呼びよね」

 

「ゆうっち、そこのところどうなの?」

 

「ん?響は基本的には一歩引くのよね。親しくなれば呼び捨てになるわよ」

 

「でも私はさん付けだよ?」

 

「あれは照れくさいみたいだね。昔みたいにお姉ちゃん呼びできなくって」

 

「確かに生徒会の時も、最初は名字で呼んでましたね。慣れてきて名前呼びしてくれるようになりましたけど」

 

「でも~折角だから名前で呼んでほしいよね~」

 

「うん、一緒にやっていくから、堅苦しいのはちょっと…………」

 

「それじゃ、明日はみんな、響に名前呼びしてもらえるように頼んでみよう。歩夢ちゃんは昔の呼び方でね」

 

「うん」

 

 

 

 

 

「と言うことがあって……」

 

「あの姉…………」

 

要するに姉さんの仕業か…………

確かに自分でもそう言うところがあるのは気がついていた。

気を使われたかな?あれでも?

 

「何でしずくの時は僕、普通に呼び捨てだったんだ?」

 

「えっ!?」

 

「話すようになったのも、頼まれ事したときからだし…………あれ?」

 

どうしてなのか考えてみた。何でだろう?

 

「…………あの、夢咲くん、あのね……」

 

「親しみやすかったからかな?」

 

僕がそう言うと何故かしずくはがっかりしていた。なんだ?どうしたんだ?

 

「夢咲くんがそう思うなら、そうじゃないのかな?」

 

「ん~そうなのかな?まぁいいや」

 

後で考えてみよう。それはそうと…………

 

「しずく、下の名前でいいよ」

 

「下の名前?」

 

「響でいいよ。みんなが名前で呼んでほしかったように、僕も名前で呼んでほしいから、まぁみんな、呼んでくれるし」

 

「…………分かった。ひ、響くん」

 

しずくにそう呼ばれて、何故か夢の女の子の事を思い出した。

どうしてだ?

 

「しずく、僕らって…………」

 

どこかで会ったことがないか聞こうとしたが、チャイムがなり、教室に戻らないと…………

 

「行こう、響くん」

 

「うん」

 

 

 

 

 

 

しずくside

 

彼は覚えているのかな?だからこそ、最初に会ったときに、私の事をしずくって呼んでくれたのかな?

 

でもあの時の事は話せないよ。約束だから…………

 

「演じなきゃ…………」

 

 

 

 

 

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