桜内さんの案内された場所は、旅館だった。ここが高海さんが住んでる場所なのか…………
「あっ、奏くん」
「ん、梨子さん、どうしたんですか?」
桜内さんは玄関の前で掃除をしていた従業員さんに声をかけていた。僕とそう変わらない歳の子だけど、バイトかな?
「この人たちはもしかして宿泊で?ご予約は?」
「あの私たち、宿泊じゃなくて…………」
「梨子ちゃ~ん‼」
玄関から一人の少女が出てきて、桜内さんに駆け寄ってきた。
「千歌ちゃん。どうしたの?」
「今度のイベントで歌う曲で思い付いたことがあるの」
「千歌姉、お客さんの前だよ」
「いや、お客じゃなくって…………」
「とりあえず中に入ろうか」
高海さんの部屋に招かれた僕ら。高海さんの部屋にはもう一人女の子がいた。名前は渡邊曜さん。どうやら遊びに来てたみたいだ。
姉さんは内浦に来た理由であるAqoursの魅力について、教えてもらおうとしていたが、高海さん達も分からないらしい。
「せっかくだから明日、皆に会おう。こうして会えたのも何かの縁だからね」
「ありがとう。千歌ちゃん。それじゃ私たちは宿を……」
「宿なら家でいいじゃん~お安くしておきますよ~」
「良いの?それじゃ…………」
「いや、僕も泊まることになってるの?」
「当たり前でしょ。最後まで付き合ってもらうからね」
どう頑張っても泊まることになりそうだし…………諦めるか。
フッと誰かに肩を叩かれ、振り向くと奏がこっちを見て…………
『お前も苦労してるな』
『奏も…………大変だね』
目だけで通じあえたのだった。
高海さん…………もとい千歌さんの家、旅館十千万に泊まることになり、用意された部屋で僕はしずくと電話していた。
『そっか、泊まっていくんだね』
「うん、悪いな。出来ればその、デートとか…………」
『う、うん。その…………帰ってきてからしよう』
「うん、しずく」
『何?』
「大好き」
『私も』
電話を切るが、なんと言うかどうしようもなくしずくに会いたくなった。何とかこの感情を抑えようとしていると、不意に気配を感じた。
「仲いいわね~今度しずくちゃんに、いつでもお姉ちゃんって呼んでいいよって言っておくわ」
ニヤニヤ笑いながら言う姉さんと
「響くん、彼女、いるだね。やり取りも奏くんと梨子ちゃんと同じだ~」
顔を赤らめる千歌さんがいた。
「旅館なのにプライバシーはないのか…………」
「私はお風呂上がりで、千歌ちゃんは夕食だからって呼びに来たの」
これ以上、何か言われる前に夕食を食べに行くのであった。
「姉としてはやっぱり、いい人とお付き合いしてほしいよね」
「分かる、分かるよ。友里ちゃん。友達なら割りと安心だよね」
「うんうん」
僕らの部屋で何故か始まる弟談義。僕と奏はなんとも言えない顔をしていた。
「奏は桜内さんと付き合ってるの?」
「うん、お互いに意識するようになって…………Aqoursの人たちに祝福もされたよ」
「僕も同じかな」
「まぁ、からかわれるのは苦労するけど…………」
「分かる」
お互いの苦労話をしつつ、僕はあることを訪ねた
「奏は手伝いをしてるんだよね。どんな手伝いをしてるの?」
「僕?まぁ、トレーニングメニューを考えたり、千歌姉の手伝いや梨子さんの手伝いをしたりしてるよ。響は?」
「僕は…………姉さんの手伝いくらい…………僕にも何か出来ることがあるかもしれないけど、何をすればいいか分からない」
「それはゆっくり考えればいいよ。僕の知り合いは、出来ることを探すのは悪いことじゃないって」
「ゆっくりか…………頑張って探してみるよ」
何だか励まされたな。にしても…………
「姉もののエロ本がないか心配になるわね」
「分かるよ。私も心配で…………探しちゃうよね」
頼むからいい加減、この弟談義はやめさせた方がいいかな
しずくともう少しイチャイチャさせたかった