沼津に来て数日が経った。今はサマーフェスティバルに向けて、準備を手伝っていたけど
「響、お客さん」
「客?」
沼津に知りあいはいないはずだけど、誰だろう?
「響くん、久しぶりでいいのかな?」
僕を訪ねてきたのはしずくだった。何でここに?
「あれ?しずくちゃん、どうしたの?」
姉さんはしずくがいることに驚いていた。てっきり姉さんが呼んだのかと思ったよ。
「えっと…………何と言いますか……その……」
しずくは僕の方をチラチラ見ていた。
「なるほどね~」
「まぁ、初々しいと言うかですね」
姉さんと奏が笑っている。何だ?どういう理由だ?
「千歌さんたちには言っておくから、響はしずくちゃんと一緒に観光でもしておきなさい」
「こっちは大丈夫だから」
二人に進められるまま、僕はしずくと一緒に近くを見て回ることになった。
「海が綺麗ですね」
「うん、しずくと見れて良かったよ」
「響くん、自然にそう言えるのは凄いことですけど、その……」
顔を赤らめるしずく。変なことを言ったかな?
「ここには水族館が3つあるけど、見ていく?」
「ううん、今日はいいです。ただ響くんと一緒に歩いているだけで、私は充分です」
しずく…………
僕はそっとしずくの手を繋いだ。
しずくは手を繋いだ瞬間、少し体をビクつかせていた。
僕は咄嗟に放してしまった。
「ごめん、急に手を握って」
「…………もう一度手を握ってくれませんか?」
しずくはこっちを見ずに、そう言っていた。きっと恥ずかしくて見れないのかもしれない。
僕はしずくの言う通りに手を繋ぐとしずくは握り返してた。
水門の展望台に来た僕ら。展望台は夕日に照らされ、真っ赤に染まっていた。
「今日、実は演じているつもりでした」
「演じていた?何を?」
「本当の自分を隠す女の子をです」
本当の自分を隠す…………しずくは何を隠していたんだ?
「大好きな人に会いに来たと思わせたくないように…………」
「しずく…………」
夕日に照らされたしずく。目を潤ませていた。
「でも駄目ですね、私…………好きな人に手を握られたら、演技なんて忘れちゃいました」
「別に演じなくてもいいのに…………」
「だって恥ずかしくって…………」
「しずく、出来たら僕の前では演じなくてもいいよ。恥ずかしくても、好きな人がしてほしいことを言ってほしいから」
「響くん…………」
お互い見つめ合う僕ら。しずくは僕の頬に触れ
「目を瞑って下さい」
「うん」
目を瞑ると柔らかい感触を感じた。僕は目をあけ、
「しずく…………もう一回してもいい」
「でも…………」
「嫌?」
「嫌じゃないです」
もう一度キスをした僕ら、さっきのキスは短かったけど、今度のは長めにキスをした
「…………しずく」
「響くん…………大好き」
「僕も…………」
しずくを駅まで送る僕。まだ離れたくないけど…………
「それじゃまたな。しずく」
「またね。響くん」
そう言うと、携帯にメッセージが入った。
「姉さんから?」
『こっちは大丈夫だから、そのまま家に帰ってよし。しずくちゃんもお泊まりするなら今日は大丈夫だよ。お母さんたち、いないから』
何て言うメッセージを…………
「響くん、その、泊まってもいいのかな?」
「いや、それはその、泊まって欲しいけど、色々とその」
「え、エッチなことは駄目ですからね。その…………それ以外のことなら…………」
「しずくの親の方は大丈夫なのか?」
流石に無断外泊は駄目だと思うけど…………
「大丈夫です。両親には泊まりがけと言ってありますから」
「それじゃ…………泊まっていく?」
「はい」
こうしてしずくが僕の家に泊まることになった。エッチなことは駄目と言うけど、僕の理性は持つのか…………
次回はお泊まり回となります