憑依學園剣風帖(東京魔人学園剣風帖×クトゥルフ神話)   作:アズマケイ

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憑依學園剣風帖36

 

「えっ、私もですか?」

 

「あったりまえでしょーッ!せっかく龍麻君が招集かけたんだから」

 

「でもアン子ちゃん、如月君が先約ですし」

 

「僕のことなら気にしないでくれ。どの道動くのは夕暮れで、遅かれ早かれ下水道に潜入することになるのだから。また会うだろう、討伐対象は同じわけだからな」

 

「でも......」

 

「僕と来るなら、やつらのアジトを突き止めるまではどのみち戦闘にはならないさ。むしろ、《鬼道》にかかった人達を戻したいなら、緋勇君たちといった方がいい」

 

如月は私たちが調べてきた資料を手にする。

 

「君たちのおかげで迅速に動けそうだ。時間に余裕が出来たんだ。深きものに変えられてしまった人々のことを考えるなら、緋勇君たちとだろう?大丈夫、ヘマはしないさ」

 

「それは心配してませんが......」

 

「な~んだッ、如月君はこないのね。残念」

 

「僕はまだやるべきことがあるからな。深きものたちの儀式を行うアジトでまた会うことになるだろう。この借りは必ず返すよ。ありがとう」

 

如月は去っていった。

 

「プールかァ......学校の水着しか持ってないんですが......」

 

「..................」

 

「京一君?」

 

「よし、如月のやつはいなくなったなッ。槙乃、槙乃、ちょっといいか?」

 

「なんですか、京一君」

 

「お前、前は男に憑依してたっていってたよな?」

 

「え?ああ、はい、まあ」

 

「それも20くらいの男にさ」

 

「そうですね」

 

「性別は違っても長いことその体だと男になっちまうともいってた」

 

「いいましたね、たしかに」

 

「ならッ!ならさァッ!お前にも男のロマンっつーのが手に取るようにわかった時期もあったんじゃねーのかよッ!!高校生にもなってスク水はねーだろ、スク水はッ!しかも芝プール行くのに学校指定の水着で行くやつがあるかァッ!!!」

 

「え、ダメですか」

 

「ダメに決まってんだろうがッ!10年間18歳しててそんなこともわかんねーのかよッ!校長先生過保護すぎんだろーッ!?」

 

「そんなこと言われましても......。私初めからプールに行く気はなかったんですが......」

 

「でも行くってなったんだから買いに行こうぜ」

 

「は、はあ.....」

 

「こ~ら、京一ッ!!槙乃になにいってんの、セクハラよセクハラッ!こんなバカはほっといて~、朝イチで槙乃、一緒に買いに行きましょッ!付き合ってあげるわ!」

 

「あ、はい、わかりました」

 

「てめーだって着せ替え人形にする気満々じゃねーかッ」

 

「やあねぇ、男がいうのと女がいうのは違うのよ、そもそもの話。明日集合だとしてよ?こーいうとき、いっつも遅れてくる癖になにを偉そうに......」

 

「うっ」

 

「遅刻魔は黙っててよねッ!」

 

「あはは......」

 

「ということは、待ち合わせの時間決めないといけないな。他のみんなは現地集合として、俺たちはまとまっていった方がいいだろ」

 

「明日は日曜日ですよね?葵ちゃんはたしか礼拝が10時半くらいに終わるはずですよ」

 

「なら、11時半くらいか。港区の駅前に集合だな。如月がいうように、深きものが現れるのはいつも夕方頃か......蟲といい、夜が好きだな、あいつらは」

 

「はい。芝プールは必ず行方不明者が出るので、きっと同じ時間帯に現れるはずです。それまではのんびりできるはずですよ」

 

「と言われてのんびりできるかって言われるとうーん。だけど、いつ現れるかわかんないもんね」

 

「そうなんですよ。プールの排水溝からなのか、術による転移なのかがわからなくて困ります。それを調べるだけでもだいぶ絞り込むことができますから、みなさん、無理して追いかけないでくださいね」

 

「プールいって、夜は青山霊園で肝試しかァ......普通だったら楽しくて仕方ねぇんだけどなー」

 

「首を突っ込むっていったのは俺たちだからな」

 

「そーだなッ、半魚人どもに綺麗なおネエちゃん奪われてたまるかってんだ!」

 

「それじゃあ、みんなに連絡をいれるとして。今日は解散しようか」

 

 

 

 

 

 

 

集合時間ギリギリについた私たちは、桜井からみんな似たようなタイミングだといわれた。そして、こっそりみんなで示し合わせて時間を調節し、美里と緋勇をわざと二人きりにしたのだと教えてもらった。どうやら昨日の電話の段取り通りに上手くいったらしい。蓬莱寺が遅刻ギリギリできたのはいつものことだが、遠野になじられたからか、遅れてはこなかった。

 

そして。

 

今私は紐を首の後ろで留め、前はクロスしているタイプの真っ白な水着とビキニだった。

 

「ほんとはスカートタイプがよかったのに......」

 

「なにいってんのよ。槙乃が選んだタイプだとフリルで全部隠れちゃうじゃない。隙あらばワンピースに逃げようとするんだからもー」

 

「そういうアン子ちゃんは控えめなのに......」

 

「あたしはいいの。槙乃がメインよ、槙乃が。これで売り上げに貢献してちょうだいね」

 

「まさか隠し撮り売りさばくつもりですか、アン子ちゃんッ!?やめてくださいよ、スリーサイズまでバレてるんですからッ!」

 

「あっはっは、あたしと水着選んだ時点でわかってたことでしょ~?今更よ、今更。ほら、いくわよ、槙乃」

 

ぐいぐい背中を押されて私はプールに落とされた。

 

「なにするんですかァッ!」

 

「ざーんねん、ポロリはなかったか~。解けやすいの選んだのに~」

 

「やっぱりッ!嫌な予感はしてたんですよッ!」

 

騒いでいると声を聞き付けたのか緋勇たちがやってきた。話を聞けば、私たちが1番最後らしい。

 

「ごめんごめん、槙乃があんまり嫌がるもんだから引っ張ってきたのよ」

 

「そのまま落としたじゃないですかァッ!」

 

「あはは、ごめんごめん」

 

どうやら逆ナンにきた藤咲や看護士仲間と遊びに来た紗夜と高見沢、深きものにワクワクしている裏密、マリア先生と遊びに来た天野さんと一通り巡り会ったらしい。舞園さやかの撮影会を見ることが出来たようで蓬莱寺は既にご機嫌だった。

 

美里と桜井が水着姿を見せていたところだったようだ。美里が少し頬を染め、恥ずかしそうに微笑んでいる。緋勇に褒められたらしい。桜井も醍醐に褒められて満更でもなさそうだ。みんな、プールに飛び込んできた。

 

「へえ~、大人っぽい水着選んだね、アン子」

 

「似合ってるでしょー?槙乃ったらワンピースとかフリル多めのパンツとかに逃げようとするから押し切るの大変だったんだからね」

 

「だからって、こんな際どいラインのセット選ばなくても......」

 

「うふふ、よく似合ってるわ、槙乃ちゃん」

 

「あ、ありがとうございます......」

 

私はプールに沈もうとしたが紐を引っ張られてしまう。解けそうになり、たまらず胸をおさえて遠野をにらんだ。

 

「なに隠してるのよ、ほら槙乃が1番最後なんだから。お披露目よ、お披露目」

 

「お披露目って、もう濡れてますけど......」

 

おずおずと立ち上がった私に蓬莱寺は無言のまま親指をあげ、緋勇は無難によく似合ってると笑い、醍醐は似合うんじゃないか?と若干どもりながらいった。

 

いつもの私だったら絶対に買わない水着だ。ありがとうございます、と笑った私はたぶん顔がひきつっている。

 

そこからはもう遠野に対する報復しかない。遠野に全力で水をかける。それに便乗して桜井が追撃し、逃げ回る遠野に縦にされてしまった美里は困ったように笑う。桜井は嬌声をあげている。

 

「おい、龍麻ッ!お前にも貸してやるから、醍醐を押さえろッ!!みんなで沈めてやろうぜ!」

 

蓬莱寺が醍醐に背中から飛びつきながら、近づいてくる緋勇の腕を掴み、引っ張る。

 

「ほら、手伝えッ!」

 

「よーし、醍醐は何人乗っても大丈夫かな~?」

 

「ばッ、馬鹿ッ!!やめろ、お前らッ!!」

 

「いいぞッ、京一、龍麻クン!!」

 

更に桜井が参戦して、大騒ぎになった。さすがに3人がかりでは190の巨体でも重いのか、醍醐がうめき声をあげてぐらつく。遠野が水飛沫をあびせて、私も美里もつられて笑った。そのうち醍醐が限界を迎えて4人まとめて後ろにひっくり返ってしまう。

 

大きな音を立て、水飛沫が上がる。

 

まだ太陽は高いままだ。

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