龍の国 日本 作:揚物
海中に沈むパルキマイラとパルカオン、水竜との交渉もようやく終えたことでサルベージが完了し日本で解析が進められていた。
その中でももっとも有望視されていたのが、バリア装置となる。引きはがして解析していたのだが。
「大気を固めているようですが、これ効率が悪いですね」
「液体魔石を大量に喰いますし、そもそも対艦誘導弾程度で壊れるのでは意味が薄いかと」
「これを日本の軍用にするには手間がかかりそうだ」
超常現象的なものかと思ったのだが、科学的に一応の説明が付く機能であり、日本に住む各国の技術者たちはある種の落胆を覚えていた。
地球でも魔道技術に関してある程度発展が行われたとはいえ、超高レベルの物はある種の超科学的なものを考えていたのだが、わりと現実的であったためだ。
「まずは効率の強化を目指しましょう」
「魔術回路は思ったよりも単純ですから、無駄を省いていきましょうか」
一方でパルキマイラの飛行理由については不明な点が多く、破損しているパルキマイラでは解析が難航すると予想されていた。
ムー国
たった200人、それが軍事技術開発都市から帰郷してきた。
しかしもたらされる知識と技術はとんでもないもので、軽・重工業は急激に発展しあらゆるものの価格が落ち、品質が向上している。
製造業界が混乱しても無理はないのだが、製品によっては現行品が突然二世代以上旧式に変わり、腕時計など巨大な腕輪から手首におさまる程度まで小型化してしまった。
急激な価格の下落についていけない企業は潰れ、国内は商工業は大いに乱れた。むろん第一次産業でさえ、新しい知識によって効率が上がり、インフラ設備も更新が可能となったからだ。
「一体どうしたものか……」
ムーの経済を担う大臣や役人達は集まり、対策を考えても国民の自主開発及び製造を止められるわけもなく、国政としてある程度の企業の保護を行う事しかできなかった。
「技術はかなり発展しています」
「報告では数年は飛躍的に向上し、各部門では製品の世代交代が進んでおります。 注目すべきは重工業であり、製品の品質向上と低価格化が顕著で」
「医学についても、新しい薬品や治療方法など」
うれしい情報である。少々怪しんでいた封鎖軍事都市であるが、一年で戻ってきた国民は誰もが高度で進んだ知識を習得しており、あらゆる面でムーを急速に発展させている。ただし。
「それで、ですが各部門からは従来の製品からの切り替え予算の増大と、倒産企業の保証について案が」
「軍務省からは予算の増額願いが」
「医薬品について高度な研究機関設立の提案がなされ」
急速な発展に国や企業が耐えられるかどうかという所まで来ていた。
得られた知識や技術によってムーは発展しているが、実践するには資源や金銭が膨大に掛かる。
「それで、税収はおよそ昨年の300%を超えるかと」
「しかし、これはバブル景気と言うもので、あるラインを越えた時に」
経済学を学んだ者もいるため、これがどのような状況を生み出すか理解していた。ムーは急激な発展に対して難しいかじ取りを強いられることになる。
レイフォルはムー国発展の情報を聞き、静かに軍の力を蓄え始めた。その一部でも簒奪する為に。
魔道都市
日本の技術を一切使用しない、パーパルディア皇国で得られた技術だけで発展した都市。日本としては特に何も優れた物ではなく、日本に昔あったものを魔道で再現したに過ぎない。
それでもなお、パーパルディア皇国よりも発展しているという事実は変わらず、皇族の別荘には常に誰かが滞在しているようになっていた。
特に日本が意図して魔道都市に広めている美容技術、これを受けられるのは魔道都市の特定の店のみであり、パーパルディア皇国の権力も及ばないため、魔道都市に居るしか受ける方法がないのも理由であった。