龍の国 日本 作:揚物
理由は大したものではなかった。
ムーの輸送船に対して海賊が襲い掛かってきたためムー海軍は通常通り排除したものだが、輸送船を攻撃していた船が海賊船ではあったのだが、その海賊船の中に囚われていた者が居たとして、ムー国に多額の賠償を、レイフォルの属国の一つ、パガンダ国が主張した。
賠償として技術を寄こすように要求、第五列強たるレイフォルを盾に強弁に出ていた。むろんムーとしてその証拠もなく、技術を渡す事は拒否していた。
レイフォルはパガンダ国が一軍をアルーとの国境に差し向ける許可を黙認し、迅速な行動が行われ国境に展開しアルー防衛隊とにらみ合うことになる。
封鎖軍事都市
都市で暮らす住民の中から、技術や戦術に関して才能を発揮し、乾いた大地に水がしみ込むように吸収する天才が現れだした。
マイラス・ルクレール
ラッサン・デヴリン
以上の二名が飛びぬけて理解が良く、今後を期待できる反面、他国に暗殺されないか危惧しなければならない。
共通開発区
ようやく第一歩として高品質の真空管量産が可能となり、真空管コンピュータが作り出された。
この発展によって大いに賑わい、1635年に予定されている第二次帰郷については運び出される一つに加えられる。
他にもレアメタルを使った鋼材の製造も進み、順調に開発は進んでいる。一方で一部では医学に関して早急に広めるべきだとの意見もあり、日本としても軍医の技術向上は戦場での急務として、最新医療器具を用いない範囲ではあるが、ミリシアルとムー国の軍医を受け入れる方針をとる。
そして第一の患者は、兵士の虫歯処置であった。
「ひぃ!」
椅子に座っているムー国の兵士は恐怖に震えていた。ムー国が発展していると言ってももまだ劣っている面もあり、やはり痛さに関しても現代日本に比べるとはるかに強い。
「はい。 じっとしている」
治療器具は最新のものを使うが、それを参考にミリシアルやムーで開発すればよい。
「では、処置の仕方をよく見ていて下さい。 映像でも繰り返しみることにもなりますが、実地には劣りますから」
数人のミリシアルとムーの軍医が見ている中、処置が始まる。
「ぁぁぁぁぁ!!!」
待合室にいる兵士達は聞こえてくる悲鳴に両耳を塞ぐ。
「俺……帰ろうかな」
「お前は歯じゃないだろ……。 俺は骨折だぞ……きっと恐ろしいことに」
恐怖が伝番していく中、不摂生や運悪く怪我をしてしまった人々は震えながら順番を待っていた。しかし医療の向上は兵士の命を救う、今は医療技術の向上に協力してもらう必要があった。
空軍区
隼の完成度を高める作業が続けられる中、次のステップに進むため長くかかるだろうジェットエンジンに取り掛かり始めた。
目指すは ネ20型ジェットエンジン を搭載した 特殊攻撃機 橘花改
ここからは一歩ずつ理解させていかなければ、技術的に酷い歪みが出てしまう。レアメタルを使用した材質の製造など、何段階も困難な道があるため焦らせるわけには行かない。
一年か二年は遅々として進まないだろうことも予想されているがそれは仕方ない事、だからこそブラック労働をさせてまで隼の製造を急がせたのだから。
このままジェットにまで到達しなくとも、隼さえ量産できれば防空はどうにかなる。
海軍区
さすがにいきなりGA級の大型艦を製造するのは難しい、まずは手慣らしとして重巡洋艦を建造することとなった。
むろん機関は現在ムー国で製造されている最新のディーゼル機関を軍事都市で改良したものであり、リベット止めなどさせずにムーとしては初の全面溶接作りとなる。
日本側が提供したのは古鷹型重巡洋艦の設計図、もちろんそれなりに手直しこそされているが、現在ムー国で建造が始められているラ・カサミに劣るようなものではない。
「これはムー海軍の大きな発展の第一歩となる。 各員誇りをもって仕事を行うように!」
現場責任者であるムーの海軍技術大佐は緊張した表情で建造開始を命じた。軍事都市にある船渠で行われる初の建造、みな緊張感と初めての建造に大きな混乱が起こる事を予想していた。
陸軍区
ようやく駆動面での解決が見られ、M4中戦車は完成を見た。まだまだ問題があると言っても、ムー陸軍が装備する如何なる既存の兵器でも破壊する事が出来ず、圧倒的な戦力に陸軍の士官は恐怖とその力に魅せられた。
これからはM4A3E8までの改良と各種歩兵装備の製造が主となる。ここからは技術の積み上げ、一足飛びに行く必要もない。
そしてM4中戦車をベースに対空砲・自走榴弾砲・ロケット砲に人員が分けられバリエーション製作が進められる。
小銃の研究も並行して始められ、M1ガーランドの図面を参考に研究が進められている。対戦車火器はさすがにロケットの研究が完了せず、遅々として進んではない。
その一方で僅かではあるが休日に有志で戦車の研究も進められ、砲塔を持たないかわりに大口径砲を装備する自走駆逐戦車を、ムーは得た知識をもとに新たに設計を始めた。
太陽神、日本の援助なく技術を参考に新たなるムーの戦車を作り出す夢が動き出した。
試験区
「パンジャンこそ始まり」
「つまりパンジャンこそ至高にして究極」
「ぱん殺~」
製造されたのは直径4mはある巨大なローラーに、モーター及び安価なロケット推進を装着。英国技術者たちが作ったように思えるが、これは日本に住む英国面に侵された紳士淑女達の作品である。
大した機能なく、鋼鉄とコンクリートによって作られたローラーが侵攻し、地面を締め固めながら砲撃も銃撃も耐え、そして目標地点で自爆する 対戦車陣地等破壊兵器。
非常に安価に使えるとは言っても、悪ふざけが過ぎるものが増え始めたため、日本国内の開発者に一定の条件を加える事を伝えることになってしまった。
日本も別に世界の警察をしたいわけではないが、自らの技術が原因で紛争になられでもしたら寝覚めが悪すぎる。だからこそ理性ある国家対してのみ限定的に技術を開放している。
パーパルディア皇国に面する魔導都市
実験に過ぎないとはいえ、パーパルディア皇国の魔道技術では大したものは作れず、日本国内で開発している魔道技術の方が遥かに発展している為、得るものは生物情報に限られる。
魔道技術のみによって上下水道の敷設などを行い、生活水準を上げる程度には手を加えたが、パーパルディア皇国内をかく乱する程度にしか使い道はすでになかった。
しかしリンドヴルムについては利用価値が思ったよりも高く、調教次第によっては非常に温厚で、雑食な事から様々な作業にも使えるなど素晴らしい物だった。そして食肉として実に美味く一度に大量に得られる。