龍の国 日本 作:揚物
アルー国境線に面する場所に展開しているパガンダ国の兵団が突如国境を越え、アルー防衛隊との戦闘が始まった。
ワイバーンと騎士や歩兵の侵攻、ドーソン基地から離陸したマリンとワイバーンの航空戦はすぐに始まった。
1万程度ではあるが軍勢が国境を越えたことは、アルー防衛隊だけではなくムー国軍の出動に繋がった。ムーの永世中立とは無抵抗というわけではない、外交とそして武力をもって国を国民を守るという意思表示でもある。
「導力火炎弾に注意しろ! 当たれば無事ではすまんぞ!!」
ワイバーンとマリンによる航空戦、マリン複葉機は圧倒的にワイバーンよりも空戦力は優れる。しかし木製故に火炎には弱く、まぐれだろうと直撃してしまえば無事では済まない。
ワイバーンにのる竜騎士達は導力火炎弾をワイバーンに命じ、口部に炎を宿し攻撃の体制に入る。
マリンの編隊は上昇を始め、ワイバーンの導力火炎弾は首を曲げた状況では放てないことから攻撃が止まった。ムーにとってワイバーンの欠点などとうに熟知しており、マリンを使用する上での優位な戦法など当然前線の兵士は全て理解している。
そしてマリンは機首を下げ、上昇を始めたワイバーンに向け機銃攻撃を開始、何かできるはずもなく体を撃ち抜かれワイバーンと竜騎士は次々と地面に落ちていく。
陸上ではアルー防衛隊の榴弾砲が次々と火を噴き、雪崩のように突撃してくるパガンダ国の歩兵団相手に奮闘している。
「70mm歩兵砲を撃ち続けろ! 奴らを近付かせるな!!」
パガンダ国の戦術はいまだ旧来の近接歩兵が主体であり、榴弾砲の攻撃と塹壕による銃撃、それだけで突撃してくるパガンダ国の兵団は大損害を負いたった一日でバガンダ国の兵団は壊滅した。
しかしムーも無傷とはいかず、アルー防衛隊の一部は切り込まれたため死傷者が出ており、レイフォルを通じて苦言を伝えるも、レイフォル側はパガンダ国が独断で勝手にやったことだとしらを切り、一切の謝罪や賠償もなく国境線から兵士を引き上げただけであった。
ムー国としても中立故にそれ以上の事は言えず、アルー防衛部隊に関して増強をすること以外手はなかった。
封鎖軍事都市
共通開発区
相変わらず各地区が求める鋼材の製造に苦労しているのだが、新たな工作機械の製造や研究室レベルでの製造は成功するなど、確かに技術は発展していっている。
通信に関して特に発展が進められ、ミリシアル帝国しかなかったカラーでの放送にも成功、無線の品質も向上と共にスクランブルも掛けられるようになった。
陸軍区
M4戦車の完成度を高める作業を進めつつ、ムーの技術者達は休日を使って集まり、ムー製戦車の設計を行っていた。
1.出来る限りムー製大口径砲 イルーレ105mmカノン砲クラスを搭載
2.砲塔は重くなり構造も複雑になる為車体直付け
3.戦闘室は製造しやすく、溶接を容易にするため角形
4.履帯や駆動部を流用する為、重量に耐えられるよう延長
何度も話し合いが行われ、概略図面に起こされ制作したいと小さな模型と設計図で提出されたものは、なぜかイギリス陸軍駆逐戦車 チャーチルガンキャリア と非常に似通った形状をしていた。
むろんムーの技術者たちはその事を知るはずもなく、自らの技術と量産性を考慮し、求める性能を出すために割り出したに過ぎない。
日本としてもムー技術者たちの努力を否定するわけもなく、試作製造する事を了承し新たに駆逐戦車と言うカテゴリーが加えられることになる。
空軍区
隼の完成度を高めるために各部に手を入れつつ、量産する為に必要な手順をまとめるなど進めている。
それでも一定の技術的進歩も見られ、今まで製造していたマリンについての改造案が出るなど順調に技術者育成は進んでいた。
そして陸軍技術者達が自ら新たな戦車を提案した話を聞き、自分達も何か出来るのではないかと時間を作って集まるなど始めた。
海軍区
ムーの海軍技術者達から、太陽神の使いの持つ最新鋭戦艦を一度見てみたいと要望が上がってきた。
ムー技術者の言い分ももちろん理解でき、最新鋭の戦艦をみたいのもわかる。しかし日本には超広域防空艦大和くらいしか、GAに匹敵する戦艦はない。
来年末くらいにはイージス艦の再配備も一息つくことになるが、大和・長門・伊勢・金剛はすでに電磁加速砲のみで戦艦砲はない。
戦艦砲をいまだ搭載している戦艦扶桑はあるが、設計図上の性能はGAよりは劣る事だろう。大改修が行われていると言っても、艦のサイズをそこまで大きくできるものではない。
わざわざ設計製造する理由もなく、とはいえムーやミリシアルに見劣りする現状はあまりよくない。
日本が考えたのは完全防空艦でありながら、見劣りする事のない超大型超広域防空艦の新造案である。戦艦砲など積まず、誘導弾と電磁加速砲にTLSのみとした、とはいえ建造するかと言われれば悩みではあったが。