龍の国 日本 作:揚物
1634年9月
日本でもっとも長射程かつ巨砲、それは超広域防空艦大和の艦載型電磁加速砲となる。しかし技術は常に開発が進められ、いくつかの指標が決められていた。
1.広域防空向け高出力化
2.近距離防空向け速射化
3.車両搭載向け小型化
1及び2は順調に開発が進められていたのだが、3が問題となった。
試作品として異なるタイプが2基完成したのだが、10式改及びレオパルド3A5J、そして無人戦車群には搭載不可能、もとより想定していない大電力が必要な機関を搭載する余地などなく、小型化しても戦車搭載としては大型な加速砲を搭載するキャパシティなどなかった。
そんな中、選ばれたのは日本国内に現存する大型戦車であり、国民出資のオイ車とは異なり配慮も必要なく、ある種実績のあるものだった。
「やれやれ いくら何でもこいつを酷使し過ぎじゃぁないか」
「バカでかい利点が役に立つとはな」
「無駄に大きい以上、確かに新鋭戦車よりキャパシティはありますかね」
「まさか戦車に搭載するとは、日本の気質には呆れる」
ラインメタル社やレイセオン社やBAE社にMBDA社のの社員達が集まり、目の前に置かれた戦車を見ていた。
ケーニクスティーガー・TALON
無人AI戦車として使用された後、国内演習場で保管され今後について会議が行われていたのだが、その巨体と搭載可能量の大きさから選出された。
何しろ無人機の試作段階で検査装置やチェック装置まで満載してもなお、車内容量に余裕がある為使い倒されるほどであった。
「まずはオーバーホールと駆動系の改良からやっていきますかね」
「そこは製造した専門家に任せる。 我々はエンジンと無人システムをやる」
「こちらは砲塔回りと主要システムを担当します」
「汎用誘導弾システムはこちらがやるべきですかね」
戦車に搭載する初の電磁加速砲、如何なる問題が発生するかなど予想もつかず、今後の戦車への搭載に向けたテストベッドとして改造が行われる。
AI搭載型遠隔操作ドローンタンク 電磁加速砲試験車
・試製電磁加速砲 短射程型
・ミストラル汎用誘導弾 6基
以上が現在のプランであるが、これは臨機応変に変更される。
日本では各国の軍事会社、そして友好的な外国人が暮らしている。異世界で得られた情報から日本の軍事には何が必要なのか、それは日々議題に上がっていた。
問題となったのはGA級戦艦に対する破壊力不足、前世界では乗組員を殺傷する事で制圧したが、それでは不可能な場合も考えられた。費用もかかり効率も悪い、そこでひとつの提案がなされた。
十数発撃ち込む必要がある対誘導弾よりも、六発分の価格で終わる一回の重打撃、参考にするものもあり該当する弾薬もある。P-700及びP-800を参考にした重長距離対艦誘導弾、撃沈できなくとも艦そのものを完全に戦闘不能な状況までにすれば良い。
提案されたP-700誘導弾を参考に、新たな対艦誘導弾の開発が始められた。
現在の日本には、技術参考用にと各国から魔法技術の取引において、為替ではなく現物として日本に押し付けた在庫処分の戦車や車両が沢山ある。T-14にT80BVM、日本の10式改や無人戦車にはその技術は取り込まれ、装甲分野において西側とは異なる発想は発展をもたらした。
日本を侵略しようとした国家を除き西側・東側を問わず、英米と共に開発したとある技術を利用する為に技術や物資は得られていた。
封鎖軍事都市
陸軍区
試作製造されたムー技術陣交換のガンキャリア、その出来は上々であった。
設計通りに稼働するガンキャリアは、試験場所の不整地を難なく進み標的の前に停車、砲の狙いを定め標的であるスクラップの車両を砲撃で吹き飛ばす事に成功した。
「よしいいぞ!」
「105mmカノン砲も搭載できればよかったのだが」
唯一設計と異なるのは105mm砲ではなく75mm砲を搭載している点だった。
イルーレ105mm砲は工作精度の低さから満足できる威力を出せず、新砲の開発を続けるために代用としてM4中戦車向けに開発された75mm戦車砲を積んでいる。
日本としては特に言う事はないのだが、中戦車のM4 自走駆逐戦車のガンキャリア、そうなると偵察に適した軽戦車が必要である。
その為部品の共用が出来るM3軽戦車を推奨したいところではあるのだが、まだムーは軽戦車 中戦車 重戦車 駆逐戦車 自走砲と機甲師団を結成するのに十分な構成を理解出来ていない。
空軍区
隼を参考にしつつ、ムーの航空技術者たちは、全体を鋼管で構成し、エンジン部周辺のみ金属、残りは羽布張りかつ主翼は木製で脚は固定と新たな航空機を設計した。
フォッカーD-21に酷似している面もあるが、ムーとして複葉機のマリンから冒険をした革新さと実績のある部分を混ぜた、ムー国技術者が独力で作り上げた初の単翼機。
確かに隼には劣るかもしれないが、ハイローミックスの運用とするならば、ハイの隼とローのD-21と一応揃った。
偵察機・爆撃機・警戒機・艦載機とまだまだそろえなければならないが、ムー本土防空に関しては量産さえできれば問題なしと言えるだろう。
海軍区
船渠では、建造中の艦はアップグレードを可能とする余剰スペースや配管など、工員が理解できないものもあれば、現場の臨機応変過ぎる現合によって、再チェックしたところは全てやり直しになったりなど、現在多様な面で作業工程に問題が発生することで遅延し、責任者である大佐は胃薬と頭痛薬が手放せない状況であった。
「大佐! 現場にお出でください!!」
日々呼び出される中、日本製の薬を片手に現場に赴く海軍技術大佐の姿が毎日見かけられた。
ムー特務部隊向けの武器の開発も行われるようになり、ムーが自身の為に開発しているM4中戦車とは異なる戦車と装甲車両の配備を予定していた。日本で製造されるが戦車は13両のみ、装甲輸送車を20両と最低限である。
一時その選定に時間を要していたのだが、ムーの為を思うのなら特務部隊でありさらに教導団でもある為、M4中戦車を改良するのが一番であるとされた。
現在、各部の問題はともかくとして外側、つまり溶接と鋳造の組み合わせである装甲車体だけはM4A3E8は出来上がっている。エンジンや駆動部に砲などはまだまだではあるが、その辺を全部日本側で製造すればよい。
そして日本での魔改造計画が始まった。