龍の国 日本 作:揚物
封鎖軍事都市
共通開発区
日々試作と失敗を繰り返している。日本とて全てを一から十まで教えているわけではない。概念や到達すべき点の品質を伝えているだけで、開発や研究はムーの技術者達が独自に行っている。
だからこそ技術者や研究者達は日々努力し、真似ているのではなく技術として理解して知識として取り込んでいた。
空軍区
遅々としか進まないジェットエンジン開発、推力も低くたった2時間で溶け落ちるジェットエンジンに、技術者達は苦悩していた。
隼と異なり手詰まりともいえる状況に、技術の足りなさを実感するムーの技術者達は落ち込んでいた。順調に隼とフォッカーの完成度が上がっているのでそんなことはないのだが、やはり発展しているという実感が欲しいのだろうと日本の面々には推測された。
その為の秘策は用意されている。前世界で充分に実験が行われ、効果があるらしい結果が出ていた。
これを摂取すれば発想は湯水のように沸き上がり過ぎ、常識に囚われる事のない自由過ぎる開発が可能となる。
“紅茶とマーマイトの常用接種である”
困った時はこれに頼れば技術の停滞など存在しない。正当な進化も存在しないが。
諦めない心となんとか形にしようとする信念を得られる。それが突拍子もない物も生み出してしまうが。
日本として禁断の果実を提供するのか、それともレシプロとジェットエンジンの境に当たる、ターボプロップエンジンの技術を提供するのかどうか議題に上がる事となる。
陸軍区
ガンキャリアは大成功であった。ムーの技術者達は何度も休日に集まり、新たな戦車を考案しようとしている。のちにムー国の技術者達によるムー国の戦車開発チームとなる始まりであった。
「生産性を考えるなら、駆逐戦車の方が良いんじゃないか?」
「いや、欠陥ももちろんあるだろう」
「しかし、話では生産コストも落ちるようだ。 製造工程も部品点数も少ない」
「駆逐戦車を主として研究し、価格低減チームと105mm砲チームに別れてはどうだ?」
「ここはM4戦車にも勝てるモノを開発するのが一番ではないだろうか」
家族に怒られることもあるため、会議や作業はあくまで午前中だけで終わらせられるよう努め、進行役によって話がまとめられる。
「では、M4中戦車を撃破できる重戦車開発と105mm搭載ガンキャリア、そして安価な量産駆逐戦車の3チームということで最終決定でよろしいでしょうか」
「「「異議なし」」」
そして正式にM4中戦車の車体を利用した自走榴弾砲の試作製造も開始された。M4中戦車の車体がベースではあるが、砲塔部分を撤去し新たに開発したI(イルーレ)23口径105mm榴弾砲を搭載を予定している。
試験区
徘徊型AI兵器の有効性が確認された。それは自爆機能を一時的に停止し、警備巡回用に改修されたボンバーソルジャー、元々拡張性も素晴らしい事から試験的に封鎖軍事都市内を巡回させたのだが、何も知らない住民からはマスコット扱いされている。
つまりこの世界でもSDサイズかつデフォルメされた物は嫌悪感を受けにくく、民間人が居る都市内で動作させてもなんら問題にはならなかった。
その為に日本では二種開発が行われた。
・タイプSD
戦車を縦横高さ1mサイズまで小型デフォルメし、SD(スモールデザイン)の戦車を制作。
武装は7.62mm機銃と9mmSMGを搭載しているだけだが、治安維持と言う面では役に立つとされた。現在試験的に封鎖軍事都市内部を巡回している。
タイプS
踏破性を最優先し、蜘蛛型の中でも特にアシダカグモを参考に開発が行われた。多脚ゆえに歩行速度こそ遅いものの安定して広範囲を徘徊し、難民の保護から敵対対象の抹殺まで可能なことを目指した。ヘカートⅡのみを搭載していることから、あくまで広域巡回モデルは試行錯誤中であった。
あと2年、それまでに現在封印され、また拡大され続けている魔王軍を倒すため、ムーとミリシアルには軍備を整えてもらわなければならない。
本来この世界を支配し崩壊から守るべき列強、その責任を果してもらう。