龍の国 日本   作:揚物

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19.龍 児戯

 日本を守護する 龍神 皇居の一角に座し、日本が道を誤らないように律し、時には天災の警告をし日本を守っていた。

 とはいえ常にそうしているわけではない。自由気ままに日本全土の空を飛び回り、琵琶湖で水浴びをしたり樹海で寝転がったりと自由に過ごしている。

 しかし害をなす可能性があるモノ、日本方向へと飛翔する野生ワイバーンの群れは、到達することはなく気ままに空を舞う龍神の姿を遠目に見るだけで怯え引き返していく。

 そんな中海面に視線を向けると即座に水中に飛び込み、水竜とは異なる海魔 巨大な海蛇 シーサーペントの首に喰らい付き胃におさめる。食事をする必要はないものの、ある目的の為に必要であった。

 準備運動を済ませた龍神は日本東側の海域を悠々と飛行を始めた。運動代わりの戯れであり、日本が緩まないための鍛錬である。

 

 第一教導団 F-3 40機

 F-3 ブロック10

 現在日本が所有する最高のステルスジェット戦闘機。

 部分的にではあるが、F-22の情報も取り込まれた為、かなり高価な機体となってしまったが、その性能は第6世代機として上位に加えられるだけの性能を持っている。少なくとも現在の日本でこれに勝るジェット戦闘機は存在しない。

 響き渡る龍神の咆哮と共に戦闘訓練は開始された。

 

 

 電子励起爆薬に変更した空対空誘導弾、発射された合計120発がレーダー及びシステムからは直弾したと表示されるも、音速で飛行する龍神の動きは何ら変化がない。

 その体から400近くの謎の物体がお返しとばかりに放たれレーダーにも映る、というより意図的に映るよう手心を加えられた攻撃、本来なら不可視かつレーダーには映らないのだが。その為に態々シーサーペントを食し有機物を取り込んでいた。

 即座に迎撃誘導弾の発射と共に編隊を上下に分け逃れようとするも、追尾してくる音速の衝撃波に機が揺さぶられる。

 

「迎撃に失敗した。 後退する」

 

 撃墜判定18機、龍神にとっては単なる児戯な運動、それでも最新鋭のブロック10にあたるF-3、それも精鋭教導団にとっても命がけの模擬空戦さえ戦闘にはならない。

 

「標的情報を確認、全艦攻撃開始」

 

 交戦したF-3及びAWACSから得られた情報を元に、海上自衛隊の艦隊から艦対空誘導弾による迎撃と、艦対艦誘導弾の攻撃が開始される。

 電子励起爆薬に変更された対艦誘導弾 総数96発、目標設定と同時に全力攻撃、随伴していた攻撃軽空母カガやQE級空母からも新たにF-35Cが発艦し継続攻撃に回る。

 艦の攻撃開始と同時に龍神は大きく口を開き、衝撃波によって爆音と衝撃が旧太平洋側で響き渡り、周囲にいた水竜や海魔は逃げ去る。

 衝撃波によって誘導弾は全て破壊され、海面が引き裂かれ二隻のイージス艦が激しく揺さぶられる。

 

 

 

 30分の演習、龍神にとってはほんの運動と戯れ、それでも教導団のF-3は損傷を負い一機は龍神に抱えられて帰還、二隻のイージス艦はレーダー及びセンサーが破損、二隻はスクリュー軸を破壊され曳航されている。死者こそいないものの軽症な者は多くほとんど戦いにならなかった。

 日本側はF-3の40機と一個艦隊とは言え一切手を抜いていない全力攻撃、電子励起爆薬を搭載した最高級の超々音速空対空及び艦対艦誘導弾でさえ、かすり傷を付ける程度の効果しかない

 龍神にとってはあくまで軽い運動、やはり古代の大地の主を倒すには、核に準ずる威力を持ったものを、大量に撃ち込まない限り倒す事は出来ない。だからこそ地球は酷く放射能に汚染されてしまったのだろう。

 それがどれだけ効率が悪くリスクが大きい事か。対話を試みた方が遥かにコストも防衛面でも優れる。

 

 

 日本はいまだ龍神と対等に戦える領域には達していない。そして達する見込みもなかった。それはつまり同等ともいえる存在が現れた時、龍神に頼むかMIRV電子励起爆弾を使用するしかないと言う事。それは日本にとっても龍神にとっても危険な事でしかない。

 

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