龍の国 日本   作:揚物

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23.エスペラント王国 魔王復活

 日本はあえて人を派遣していなかった。それは魔王相手には不要だと考えているのもあるが、ラヴァーナル帝国でもなく従うアニュンリール皇国でもない為、直接介入する必要はないとみていた。

 そんな状況だからこそ日本は龍神様に諭された。

 確かに日本が呼び出された理由はラヴァーナル帝国を倒すためだが、魔王もまたラヴァーナル帝国に連なるもの。対岸の火ではある、だが日本は何のためにこの世界に来たのか、自らの役目は何なのか。

 魔王もまた災厄の一つ、対処すべきが日本のあるべき姿なのではないかと。

 龍神様の問いかけに、日本政府および国民は考えを改め、急遽部隊の派遣を決定した。

 

 

 

 

 

 

「第二戦車部隊から補給の要請がきています!」

「第五歩兵分隊からは増援要請、ゴブリンの数が多いため駆除に時間が」

 

 後方司令部には次々と苦戦の報告が上がってくる。

 

「突破されるぞ! 撃ち続けろ!」

 

 数千を超えるゴブリンの群れ、そして一部とはいえ体格も大きく力もあるオークとオークキング、統率も戦略もないとはいえ数の力に押され、オークキングを倒した場合一時的に撤退するものの、翌日には再び大軍をもって襲い掛かってきた。

 

「戦車が一台やられた!」

 

 走り回る四つ足の巨大な狼のような獣、角から発せられる球形弾はM4中戦車の前面にぶつかり、激しい爆発と衝撃を巻き起こした。

 

「履帯がやられただけだ! 畜生!!」

 

 ハッチから無事なムー国の戦車兵が出てくると、戦車兵用銃器であるボルトアクション式ショットガン TOZを撃ち始める。

 その間に前線を突破した獣は歩兵の一団に向け、今度は後部から火球を放ちごっそりとムー国歩兵が10人規模で吹き飛ぶ。

 しかし一斉射撃によって何発もの銃弾が獣に撃ち込まれ動きが鈍くなる。

 

「うてぇぇ!」

 

 ガンキャリアの76mm砲が巨大な狼の体を貫通し絶叫の声を上げて倒れ、魔物の軍勢はそれを見て壊走を始め戦闘は終わりを告げた。

 大勢は決したものの被害は少なくないため、一時侵攻を停止する事になった。

 

「戦車は4台ほど不調になり、ミリシアル陸軍としては一旦修理する為の時間が欲しい」

「ムー陸軍としても同じこと、余りにも魔物の数が多すぎたため、弾薬の量に少し不安がある」

 

 連合軍による魔王軍壊滅には1週間要したものの討伐は完了した。しかし銃器や戦車の故障は思ったよりもひどく、まだまだ運用については未成熟な面が見られた。

 もちろんこういった問題を身をもって知る為の実戦なのだが。2週間の整備と補給を行い、その間に戦果報告の確認を行う。

 

「オークキングを3体か。 本国に連絡しよう」

「こちらはゴブリンが20体にオーク5体と。 歩兵はやはり大物は辛いか」

 

 そんな中、ムー国の戦車小隊が倒した巨大な狼について驚くべきことが判明していた。

 

「伝説なるゴウルリアスなる魔獣は一体だけか?」

「ふむ、でかいな。 まさか一台を故障させる攻撃を出来るとはあなどれん」

 

 ゴウルアスの口部から撃ちだされた魔弾である爆裂魔法、その爆発はM4中戦車の履帯を破壊しエンジンを不調にさせた。

 

「太陽神の使いのいう通り、いまの我々ならば、ではあるな」

「確かに。 知識を得られていなければ、苦戦していた可能性もある」

「補給と修理が済み次第目的地へと向かうしかあるまい」

 

 一部の上級将校にはエスペラント王国がある事を伝えられており、連合部隊はそこを第一目的地として向かっていた。

 

 

 

 

 その頃 魔王殿では、巨大なクリスタルのようなモノの中に封じ込まれ眠っている魔王、その前にマラストスがオークやオークキングなどを潰し、抽出した魔力を使って封印を砕こうとしていた。

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