龍の国 日本 作:揚物
1638年初頭
偵察衛星の映像にグラ・バルカス帝国本土の出現が確認された。
混乱しているのか艦隊は周辺海域に広がり、多くの情報収集と共に小さな島々を制圧している。しかしその際には先制攻撃を受けているところも確認され、一方的にグラ・バルカス帝国が悪いと言い切れる状況でもないらしい。
異常事態と資源不足による国内不安を抑える為には、やはり軍事的大きな戦果による民衆の意思統一が必要となるのだろう。
レイフォル及びパガンダ国の行動には問題があることは、現在の世界会議に参加する各国も理解しているだけに不運な始まりだったと言えなくもない。
前世界では処刑された皇帝の弟君 グラ・ハイラス。処刑される前に強行奪取しておくのも、今後の外交に使える可能性が上げられた。
しかし問題もある、これは内政問題であり、大まかな処刑日は分かっていても、正確な日時と時刻が不明ときている。奪還するにはかなり無理な行動が必要となるなど、多くの問題はあるが大きなリターンはあるだろう。
それでもなお、スパイの潜入と工作が着々と始められていた。
各国にもたらす影響
ムー国に対しては飴と鞭というような厳しい技術移転をしていたが、さすがに鞭が強すぎた面もあった。
過労で入院する者や体調を崩す者も多く、その労働環境はお世辞にもよいとは言えない。そうでもしなければグラバルカス帝国に対して勝てないと言う点はあったが、現在到達したレベルならばもはや引き分けにもちこむどころか、時間さえかければ勝てる段階にあるだろう。
その苦労に報いることもあり、特別に2ヵ月もの長期間の休養と共に日本への観光を許した。
前世界では戻れない可能性もあり技術流出に細心の注意を払っていたが、再び他の世界に移転するのなら限定公開しても良いという結論に達したためだ。
もちろん写真どころか一切メモを取る事も許されず、倫理観に少しでも問題のある者は招かれることはない。集団行動を徹底されるものの、全てにおいて未来の技術で構成された都市、科学と言う点においていくつもの枝葉の先にある発展した一つの先があるからだ。
理性的な者だけが見て体験したのであるならば、その知見を有効に利用してくれるだろうという、願望も日本にはあったが。
第三文明圏外
クワ・トイネ公国及びクイラ王国に設置されていた線路および鉱山に原油設備、ムーの設備も中々悪くはないのだが、彼らの参考になるように全て日本式に作り直す。
最適化とまでは行かないが、ミリシアルやムーが目指す先の技術で何ができるのかをその眼で見て理解してもらうため、ほぼ全力で改装を始める。
日本としても資源の備蓄を考えており、ムーの設備ではいささか生産量が少ない。備蓄しつつ全力で産業を回すにはまだまだ足りないのだから。
効率の悪い個所を全て作り直し、運用方法についても問題個所を指摘し整え直す。それだけでも2~4割の程度の向上が見られたが、まだまだ日本が求める採掘量には足らない。
一部ではあるが日本の手によって備蓄タンクの建設や農作機器のレンタルなど、最低限必要な支援をすることで日本が必要とするだけの輸出を確保することとなる。
神聖ミリシアル帝国
ミリシアルはさすがと言うべきか、アルタラス王国から大量に魔石を買い上げ、新たな理論をもとにゴールド級を何隻か改修し空母を作り始めている。ミリシアルの燃費が悪い双胴型大型空母ではなく、単胴型空母ゴールド級の誕生であった。
アルファ4型の開発及び量産開始と共に、新型であるアルファ5の研究開発もスタートし、順調に力を蓄える事が出来ていた。
まだまだ艦上戦闘機と陸上戦闘機を分けるだけの力はないようだが。
あらゆる準備が順調に進んでいる中、ムーから技術情報が少々漏れた。正確には日本がムーに与えた物ではない。元々ムーが自己開発していた現在では旧式になる技術、それでも複葉機の技術等が流出しているのは由々しき問題であった。
そしてのその先はパガンダ王国となっている。第二文明圏の安定が乱れる事は明白であり、情報を漏らした人物は国を出て行方をくらましていた。
一度流出した技術はどうしようもないため、ムーの政府は頭を抱える事になり、太陽神の使いからもたらされる技術によって意識に緩みが生じている事にようやく気付くことになった。