龍の国 日本   作:揚物

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30.ムーと帝国

 ムー国 封鎖軍事都市

 保護しているグラ・ハイラス皇弟と話が微妙に合わない。

 前世界で得られた事及び会話内容から穏健派であることは間違いがなく、軍と軍事会社の癒着による暴走という事で比較的穏便な終戦方法を選んだのだが。

 グラ・バルカス帝国では皇帝の判断によるケイン神国との戦争、それは覇権争いであり軍部の暴走として片づけるには状況が異なる。

 

「では、つまり帝国としてはどのような形で有れ、世界に対して宣戦布告をすると?」

 

「その判断となる。 ケイン神国以上の国家がある事を危惧し、列強との和平外交を訴えたのだが、このような結果になった以上、ルークス陛下の統一の意思を妨げる者はいないだろう。 もとよりケイン神国との戦争の為に、拡大した軍を治めるにも資源を得るにも、他国への侵攻は避けられぬこと」

 

 大規模な戦争の準備をしていたことから、軍の力が強く成り過ぎたということだろう。

 

「私が戻ったところで、もはや止める事は出来ないだろう。 陛下は若かりし頃は冬戦争という国家防衛戦争において前線で指揮を取った名士、敵と定めれば容赦する事はなく、もとより軍備はすでに整っている」

 

 どうやら介入するタイミングが悪いというわけではなく、転移する前から戦時体制であったためにもはや止めようがなかったということだ。

 列強と言う存在を知ったことで一旦踏みとどまったのも、勝てる相手を見定める為であり、グラ・ハイラス皇弟も完全には止められないことは理解していた上での行動と言う事である。

 

「それで、私はどうなるのだ」

 

 現在では軟禁状態ではあるものの、国賓として丁重に迎えられている。ムーとしての意向と言うよりも、いまだ戦争状態にはなっておらず、戦後の事を考えグラ・バルカス帝国の素行を外部から見てもらい、それと同時進行で平和の理念や植民地運用の効率の悪さなどを教えていく予定となっていた。

 

「このまま事の成り行きを見守り、グラ・バルカス帝国の行く末を知り、何をすべきか考えて頂きます」

 

 残酷ではあるが、日本は基本的に関与するつもりはない。侮れるような軍事技術差はなく、むしろ上回っている現状でどうするのか、ムーとどのような外交をするのか、それはグラ・バルカス帝国次第となる。

 そしてムーとて準備を整えているだけで、やはり基本としては平和的な外交を主とし、戦争をせずに済むならそれに越したことはないと考えていた。

 

 

 ムー国空軍では待ちに待った、ムー国初の自国産ジェット戦闘機の開発が完了した。

 奇人変人と言われていた ネビル・プラントン 航空技術少佐によって、橘花を使用した後退翼や高高度エンジンのテストから、SAAB 29 トゥナンは完成した。

 

 M(ムー)F-(0自国製 1技術供与機 2供与機)

 MF-101 橘花改

 MF-102 トゥナン

 

 しかしネビル航空技術少佐は橘花に拘り続け、トゥナンから得た技術情報や電子技術等をフィードバックし改良を続けた。

 ベースは確かに橘花ではあるのだが、機体の3割の大型化に後退翼化、ジェットエンジンもトゥナンに搭載されているものに換装。

 武装は20mm機関砲2門に38式誘導弾2発ともはや別機であり、日本としても改良の域を著しく超えているとして、自国産機としてムー国発のオリジナルジェット戦闘機として登録された。

 

 MF-001 シュヴァルベ

・最高速度 940km/h

・武装

 固定 20mm機関砲2門

 38式誘導弾 2基 or 100kg無誘導爆弾 2基

 

 ムー国内では初の自国産ジェット戦闘機として大々的に発表され、ネビル航空技術少佐と共に専属テストパイロットとしてエイノ・バーリング・ユーティライネン大尉が称されたが、当人達は興味がないとして昇任や教導団への移籍を断り、戦時の最前線配属希望と機体改良にこだわり続けた。

 二人が見ているのはさらなる先、太陽神の使いが持つという桁違いの化け物だけを見据えていた。

 

 

 

 

 

 グラ・ハイラスの一件が片付いた頃、日本である弾丸が開発された。

 弾頭として使えるだけの強度を保ち、時間が経てば溶けるという自然環境に配慮され、製造コストこそ掛かるもの、体内に入ると貫通せずに砕け、人体内部に破壊をまき散らす凶悪性、内臓を破壊し衝撃を余すことなく伝える。

 ハーグ条約に加入している日本では表立って使う事は出来ないが、

 

《外包硬固なる弾丸にして其の外包中心の全部を蓋包せず若は其の外包に裁刻を施したるものの如き人体内に入て容易に開展し又は扁平と為るべき弾丸の使用を各自に禁止する宣言書》

 

 ムーなら何も問題はない。しかしあくまで非人道兵器であるため、特殊部隊向けと言えるだろう。

 

 氷の魔石を含み凝固された 小豆バー弾頭

 

 開発の主目的としていたのは、撃ち込んだ対象を冷凍する弾頭なのだが、まだそこまでのものは出来ていなかった。

 

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