龍の国 日本   作:揚物

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32.兵の質が戦争の質

 東進軍正式部隊およそ 15万、そしてロウリア海軍400隻、さすがにレイダークラヴに任せるわけにもいかず、クワ・トイネとクイラの海軍で対応できると思えなかった。

 だからこそ海軍は一切手を出さず陸上へと上がってくる場所で待ち受けるのが最善で、船舶である以上上陸できる場所は限られそして上陸中は動きが鈍い。そして上陸箇所さえ特定できれば、それこそ罠でどうにか出来てしまうのだが、そこまで時間をかけるつもりもない。

 航海技術が未熟な時代は 海難事故 はつきもの、星が見える夜でも突然の浸水によって船が沈むことも、火の不始末で炎上する事など よくある ことだ。

 それが魔信を行う暇もないほどであればなおさら好ましいのだが、それを行うには日本が実行しなければならない。

 日本が選んだのは目的となるだろう港周辺住民の全国民の退去だった。船団の数ではなく、上陸できる場所は非常に限られ、ムー国の手で訓練名目で無理やり住民と家畜を全て移動させた。財産や建物に損害が発生した場合、全て太陽神の使いが保証するとして有無を言わせなかった。

 

 

 

 

 

 ムーは最低限として、クワ・トイネ及びクイラ内にある自らの施設に攻撃した場合、十分に反撃及び報復を行うとロウリアに通達していた。

 もちろんロウリア軍の将軍や騎士団長などは恐怖し従おうとした。パーパルディアやレイフォルなら偶然や幸運が味方し勝てるかもしれない。しかし列強第二位に座する存在にまぐれでも勝てるはずがない。

 ロウリア海軍の船上では、夜間警戒といっても、元々の兵の質や戦力差から緩み切っていた。

 

「クワ・トイネに着いたらどうするよ」

「金と飯だな!」

「はは、女だ女。 金もいいがこれはゆずれねぇな!!」

 

 これから起こる略奪や蛮行に心を弾ませていたが、航路から予想していた通り、住民どころか家畜一匹いない港に着岸しなだれ込むように上陸。残されていた物資や食べ物を奪う事は出来た物の、人影は何一つもなく不満が高まっていった。

 末端の兵士や兵士長が文明国を、そしてムーの強さを理解できるはずもなく、港には人影はなく、食料や品物程度で満足できるはずもなく、うっぷんの溜まった兵士達は ムーの管理する施設に殺到するのは必然であった。

 

「ここはムー国の施設だ! 一体何の用で武器を持って訪れる!!」

 

 それさえもかまわず、ロウリア軍の兵士達はムーの施設に襲い掛かり戦いに陥った。

 

「撃て撃て!」

「近付かせるな!」

「ぎゃ!」

 

 二線級とはいえ銃器を持つムー国の兵士、しかしあくまで物資の輸送などを行う施設故に大規模に配置はしてない。

 矢の雨にけが人が続出し、弾切れに陥り切り込まれた事で兵士と作業員は殺され物資は奪われ破壊された。

 何一つ価値の分からない設備、価値が分からない為ほんの少しの高価な食器などを奪い、残りは火をつけて荒らしまわった。

 そしてそれを知った司令官や将軍は青ざめるも、もはや手遅れであった。

 武装中立を認識できるのは第一文明圏及び第二文明圏の文明国家のみ。文明圏外国家にとっては、どれほど恐ろしい相手か理解できずはずもなく、その名だけでは恐れる事は出来なかった。

 ムーは動く、奪われ破壊されたモノへの代償を支払わせるために。

 

 

 

 

 

 パーパルディア皇国でとうとう事態が加速した。

 魔道都市に住む皇族によって管理され一年、混乱こそ起きてはいるものの、治安の安定と農作物や鉱山資源の収入量は倍以上に膨れ上がってた。

 だからこそ今までの政策が大いに間違っていたのが明確になり、皇族たちを大いに悩ませ、ルディアス皇帝に進言するもそう簡単に変えられるわけもなく、むしろルディアスの気分を害するだけであった。

 明確に皇族とルディアスの間に溝が産まれ、皇族は静かに信頼できる貴族や軍人を集め新国建国への準備を始めた。

 一方で日本が考えていた連邦制については早々にとん挫した。余りにも基本的知識量の低さと、国民性の低さから大多数を纏められる人材がいなかったのだ。

 理性的な国家とは国民が正しく情報を理解し、知識を持っている事が大事になる。よくて近代程度のパーパルディア皇国と属国ではまだまだ早すぎた。

 だからこそ有力な貴族や軍人の中から聡明な者を選び、各地の臨時代表として文明の火を灯す役割を与えた。まずはそこから始めなくてはならず、連邦制に移行するには1世代以上はかかると予想されている。

 都合と手っ取り早く文明を高める方法などなく、これからも日本政府は他国の文明について苦慮していく。

 

 

 

 

 

 封鎖軍事都市

 ミリシアル及びムー国の軍務大臣が会議を求め、魔帝に勝てるかと太陽神の使いに尋ねた。

 はっきり言ってしまえば現状では抵抗するのが精いっぱいで、勝つ事は無理だろう。日本が弾道弾を迎撃する事だけをしたとしても、正直難しい。

 

「不可能でしょう。 コア魔法に対してあなた達は対応ができません。 コア魔法だけを我々が対処したとして、現状ではまだまだ力が足りません」

 

 はっきりという

 

「太陽神の使い様にとって、ラヴァーナル帝国さえ恐ろしくなく、きっと楽しめるような相手なのでしょうね」

 

「いいえ?」

 

 笑顔を崩さず太陽神の使いは言葉を紡ぐ。

 

「面白いから、楽しいから軍備や技術を続けている者はいません。 恐ろしいから軍備を続けるのです。 ほんのわずかな油断で多くの国民を助けられずに殺され、そして奪還するために多くの軍人が死にました。 油断など露程もせず、延々と準備を続ける以外被害を抑える事などできないのです。 油断し失う事こそ恐ろしいのですよ」

 

 いくら高圧的に出ても、攻めてこないという油断はあった。だからこそ対馬を一時奪われ、島民は皆殺されてしまった。

 だからこそ二度と油断してはならない。それが過剰ともとれる準備をし続けせているのだから。

 

 

 

 

 ムー国 国営競技場

 航空機動は技術と体力が物が言う。だが驚異的な心肺機能と精神力、そして高G状態でも操作を誤らない体力と筋力が居る。まだ完全に整備されていない為どうしてもそうなってしまうのだ。

 そんな状況では体力づくりが大事であり、あらゆるトレーニングを行ううちに変態が集まり始めた。

 

「バルクアップ! もっと負荷を!!」

「あと何回! 何回!?」

「はいラスト!」

 

 自然とボディビル競技会が始まり、これに関しては別段秘匿する情報ではないため情報を公開。

 

1.筋肉に効かせる

2.重量を求める

3.しっかり追い込む

 

 初のボディビル選手権では一般の参加者はごく少数で軍人がほとんであったが、興味本位で訪れた男女はその光景に魅了された。

 

「腹筋グレネード!」

「筋肉がどんどん迫ってくるようだ!」

「筋肉の集団面接だな。 凄まじい!!」

 

 暑苦しいまでに猛烈に盛り上がり。それはもちろん軍人向けの筋肉とは言えないが、遊戯としてムーに広がり、プロティンや科学的に体を壊すようなことだけは教えるために、日本マッチョ&フィット協会の協力の下、日本トップのビルダー達による実演トレーニングが行われるようになった。

 

「カット(筋組織)と神経システムを意識する事が」

「一生懸命トレーニングするだけではダメだ。必要なのは、賢くトレーニングすること」

 

 参加者たちは好んで体を鍛え、やはり余裕がある列強だけではあるが、マッスルによるマッスルの為のマッスルの競演、華やさや騒ぎがあるわけではなく、淡々と筋肉を鍛え熱量が上がっていく。

 戦うためではなく魅せる為の筋肉、最初は高価なライセンス生産による器具にはムーの企業は乗り気ではなかったが、参加者たちによる暑苦しい熱望に ミリシアル及びムーの合弁会社 を設立し製造される。

 魔法や科学による発展とは異なり、野蛮と揶揄する者もいるが、天然のものである肉体を極限まで磨き上げた美、それに心惹かれる者がいるのも確かであった。

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