龍の国 日本 作:揚物
「パーパルディアの名を捨てた愚かな者達! その反逆者共が集うデュロの奪還を行う!!」
ルディアスは皇族が新たな国を建国したことを認めず、属領に最低限の兵士を残しかき集めた戦力をもって陸から侵攻を開始。パーパルディア皇国とパールネウス国の戦争が始まった。
「退くなぁぁ! 我々の家族を守る為に!!」
「獣たちに我らの家族を襲わせるな!!」
パーパルディア皇国とは異なり、パールネウス国の兵士は属領の志願兵が多く参戦している。
鉱山労働も農業労働も、全てがパーパルディア時代よりも良くなり、食うに困らない程度の生活ができ、横暴なふるまいを兵士や官僚がしないように監視官が送られ、いまの生活を維持する為にはパールネウスが存続するしかないのだ。
パーパルディアに戻ればまた地獄のような生活が戻り、最悪自分だけではなく家族も殺されてしまう。
だからこそ、志願兵の呼びかけには多くの属領民が声を上げ、兵士の数に置いては同等以上とも言えるまでに増えていた。
「突進! 止まらずに敵陣を駆け回れ!!」
「根性ある奴だけ付いてこい!! 勇猛さを知らしめろぉ!!!」
パーパルディアは牽引式魔導砲を使用を試みるも、さらに強化されたA・リンドヴルムは構わず兵士の中を突進し、パーパルディアのリンドヴルムを倒すとA・リンドヴルムに随伴する銃兵や槍兵が腰の引けた敵兵をどんどん倒していく。むろん討ち取られ脱落していく者も少なくないが、パーパルディア皇国が誇る陸軍の重厚陣形は崩されていった。
空中ではワイバーンロード同士が戦い、同等のはずがすれ違った瞬間大きな銃声と共にパーパルディア側のワイバーンロードが落下していく。
「また一騎やられたぞ!」
「同じワイバーンロードなのに! 糞が!!」
大したことではない。今までワイバーンの導力火炎弾の撃ち合いから、大型マスケット銃によってパールネウス側が狙うようになっただけである。
気付いてしまえば簡単な事、しかし気付きにくく専用の銃の制作やそれを扱う訓練は簡単なことではない。
長砲身の魔導散弾マスケット銃
1.5mもの長さの銃身と後ろ込めであり、口径もやや大きい。
だが慣れてしまえば確実にワイバーンと乗り手を殺傷できてしまう。
導力火炎弾はワイバーンロードが疲れる上に、飛行軌道が単純になる。
しかし銃を使うためワイバーンロードは負担なく自由に飛び、竜騎士は銃の弾込めと発砲によって軌道はまったく異なる。その利点が圧倒的に既存の竜騎士を上回っていた。
知識と運用の違いでほぼ同等のはずが力の差を広げていく。それを理解してしまったたからこそルディアスに近しい皇族以外は、全て魔道都市に赴き新たな国家の建国を選んでいたのだから。
パールネウス国 臨時首都
「現在戦線は優勢に傾いております。 しかし戦死者も多く出ており、物資の輸送もなんとか充足している面があるかと」
報告を聞きながら、皇族達は地図や書類に目を通す。
「もう少し戦線を押し上げ、防衛拠点の設営をするべきかもしれん」
「いや、これ以上国民に被害が出ぬ様、和平交渉も始めるべきだろう」
「支援物資はあるが、一部は属領に回し生活向上に回すべきだろう。 その策定も始めなくては」
その様子を代表に祭り上げられてしまったレミールはなんとも言えない表情で見ていた。
皇族がこれほどまでに行動をするなど、今まで育ってきた中で見てことなどなかった。元よりパーパルディア皇国建国の為、国民を牽引し能力がある者が皇族となった。少なからずその血統を牽いていたという証拠でもあるのだが、長い事政治よりも皇居で遊楽に勤しんでいたのを見ていたレミールからしてみれば、考えもしなかった姿であった。
「レミール、何か言う事はないのか?」
「浅学な身では驚く事ばかりであり、私が言える事などございません」
何も言わぬレミールに同じ皇族である父から問われるも、いまだルディアスに対する思いが残っている以上、何か言える事などなかった。
「いまはそれでよい。 だがいずれは女帝になる以上、政治と軍事両方を理解せねばならんぞ」
いずれは女帝として国家を治めなくてはならない。その事はすでに決定している事であった。
ムー 軍事都市
ムー国内において様々な技術開発が進んでいる中、魔王討伐に使用されたTOGシリーズの開発は中止されているが、それを嘆く者達が居た。
魔王との戦いにおいてM4シャーマン戦車・ガンキャリア自走砲・TOG重戦車は大きな戦果を挙げ、技術は繋がれているがTOGだけはそれがなかった。
魔王との戦いを記録した博物館は大いに人気があり、連日混雑しているのだが説明を受けている人達は、大破している状況のTOGの復元もしくは後継機を望んだ。
国の要職に就くものや技術者達はその声を聴き、停止していたTOG重戦車後継機開発が静かに再開される。
日本
ラム・タンク
荒れに荒れたのをまとめたのは、潤沢な資金力がある人物であり、ラム部分をアタッチメントにして交換すればいいじゃないかと提案した。
アタッチメントを別途クラウドファンディングにかける事で、さらなる予算と運用費を稼ぐ事も出来、全ては資金を集める広報力に左右される。
大々的な広報や趣味人の集まりによって動画なども作られ、砲撃を突破し勇敢に体当たりするドーザーや、巨大な杭によって戦車を撃ち砕く姿、設計や材料によって少々形は異なるモノの、それでも最終仕様がまとまり始めていた。
その中、戦車である以上砲塔があるべきだという意見も出てきた、強力な放水砲塔を搭載する再設計も施され新たな形になり始めていた。
囚われない自由な発想、その全てが込められた異形の戦車は静かに独逸面や英国面の濃縮された知識によって形作られていった。