龍の国 日本   作:揚物

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46.1642年世界11カ国会議

 カルトアルパス港 世界会議開催に合わせて各国から集まる自慢の最新鋭の軍船。

 そんな中グラ・バルカス帝国が誇るグレードアトラスターが入港した。

 

「どの船も遺物のような骨董品ばかり。 やはり中央世界など言っても所詮はこの程度か」

 

 グレードアトラスターの士官達は見下した様子ですでに入港している魔導戦列艦や帆船をみていた。入港している他の軍船を見ていたそんな中、

 

「お、おい! あれをみてみろ!!」

「あれは、グレードアトラスターか!?」

 

 ムー国の最初にして最後の超弩級戦艦ラ・マトヤ、装甲理論の進化によってわずかながら形状が異なるが、見た目はほぼ同じであり、もっとも大きな違いは蒸気機関であるグレードアトラスターより排気塔が小型で、第三砲塔の代わりに大量の対空砲と誘導弾が積まれていることくらいだろう。

 

「アトラスターと随分と似ている。 あれがムーの船か」

 

 艦橋ではグレードアトラスターの艦長であるラクスタルは、ムーの超弩級戦艦を眺めていた。

 

「はい。 どうやらムー国は我々と同等の軍事技術を持つとのことです」

「技術も近いか。 これは中々の事になりそうだ」

 

 副官も同じく艦橋から双眼鏡を持ちムーの戦艦を見ていた。大衆の目がラ・マトヤとグレードアトラスターに集まっている中、太陽神の使いであり日本として訪れていた戦艦扶桑改型は静かに入港していた。

 

 

 

 とうとう訪れた時、日本は分かっているが、ムーは険悪な雰囲気であり、ミリシアルはアニュンリール皇国の第二大陸占領がようやく終わったことで一息つき安堵顔。

 第三列強エモール王国は魔帝復活の情報を伝えるべく焦り、第四列強たるパールネウス国は現在国家の再建で忙しく疲れ顔。

 新たな第五列強を勝手に名乗るリーム王国は勝手に訪れ騒ぎ立て。

 そして消えた第五列強の代わりにとまでは行かないが、西方地域の代表として訪れたグラ・バルカス帝国の外交官シエリア。

 主な議題はラヴァーナル帝国復活の日が近い事。

 そしてムー大陸で行われている侵略、そのことに関してミリシアルとムーは共同声明として侵攻停止を求める事であった。

 しかしラヴァーナル帝国の復活が近い事を伝えた直後、起きたのはグラ・バルカス帝国による全世界への宣戦布告であった。

 

「そのような冗談に付き合う暇はないのだよ。 侵略を続けるのなら覚悟をするように」

 

 軽くあしらうとまではいかないが、ラヴァーナル帝国を相手にするため軍備を拡張中のミリシアルは、アニュンリール皇国戦で多くの実戦経験を積んだ多くの兵士と、最新鋭戦艦オリハルコン級に空母ミスリル級及びゴールド級、最新の制空戦闘機アルファ4と爆撃ベータ4にはかなり自信を持っているし、正式採用されたガンマ型戦車2も一応の完成を見ている。現在封鎖軍事都市で得た新たな知見を元にガンマ戦車3型が開発中なのも陸戦の余裕に現れ、問題を起こしていた第五列強を滅ぼした程度の相手など眼中になかった。その態度はありありとミリシアルの外交官にも現れていた。

 一方でムーの外交官は。

 

「覚悟は出来ていると言う事ですかね?」

 

 ムーは万全の態勢を整え国家存亡の為に10年以上苦労してきた成果は実っている。大々的に宣伝こそしていないが、陸海空ともに大幅に増強され訓練がされている。

 製造コストの問題で首都や主要港のみジェット戦闘機が優先配備されているが、錬成は十分に行われ少数であれば前線配備も可能であった。

 

「望むというのですかね 容赦のない戦争を。 もしそうなら、我々は武装中立を捨て、最大限闘争を狂宴する準備は出来ている」

 

 ムーの軍人や官僚の中でも、上層部に近しい者は限定的に情報が公開されている。正確ではないものの、グラ・バルカス帝国がアルーを奇襲する可能性が非常に高いと。

 だからこそこの世界会議において、もしグラ・バルカス帝国が宣戦布告をしてきたのなら、武装中立を捨て受けて立つと言っても良いと伝えられていた。

 

 ムーらしからぬ発言に11カ国会議に参加しているパールネウス国やエモール王国はかなりの驚きを持っているが、ムーはグラ・バルカス帝国が侵略者となる可能性が高い事を知っている。

 極東諸国代表として、特段紹介も行われず会議の隅に文明圏国家日本は注目等されず、状況を静かに静観していた。

 

 

 

 

 ムー大陸 ドーソン基地近辺

 ドーソン基地はアルー民の撤退の為であるが、隼やD-21が配備され時間を稼げる程度の戦力しか配備されていない。むろん撤退の為に最新の装甲車は優先配備されてはいる。

 そして5つの15m級防空塔にはムー最新の対空砲が屋上に設置され、地上から10mの地点には無数の銃眼も設置されムーの技術力としては万全と言えた。いくつかの秘密兵器もあり、そのうち一つは日本が不要になったチープ兵器なのだが、使い捨てタイプの兵器なので回されている。

 1つの防空塔、その屋上には他の物とは異なり不要になり改造が施されたCIWS 1Aが搭載されていた。改造と言っても装填弾数を外部式に数万発に変更だけに過ぎない。それでもなお砲身寿命を考えれば余裕もあり、レシプロ航空機相手なら過剰ともいえる。

 航空偵察を防ぎ、部隊の撤退を支援するための囮であり、最終手段も防空塔指揮官に伝えられていた。

 

 

 

 

 

 

 グラ・バルカス帝国本土

 現在日本から輸出される食品は供給量の問題から価格が上がり始め、商品を絞りつつ2隻体制で輸送すると共に、ほぼ等価となるようグラ・バルカス帝国にとって価値のあるレアメタルから無価値のレアメタルまで、企業に調理器具や装飾品として製造を依頼しどんどん持ち出していた。

 

「この度も購入ありがとうございます。 他にご要望がありましたらお願いいたします」

 

 国家として少し言いたいこともあり、価値の理解できるレアメタルに関しては、購入価格の引き上げが行われたものの、輸入した食料品とほぼ同額分を全て調理器具と装飾品を購入していくので、あまり強く言う事も出来なかった。

 そのほかにも企業側に色々用意してもらった鉱石類。それを磨いて銅や銀の装飾品に組み込んだ、レアメタルの原石を使った装飾品の数々は次々と出来上がり高額で購入しているので、為替と言う意味ではほぼ等価であっても、金銀に鉱石類の流出は止まらない。

 

「それでですが、また融通して頂けないでしょうか」

 

 合法缶飲料、購入先の企業でも広がり始め、製品製造以来の時に渡してから味を気に入ってしまったらしい。

 

「少しですが融通致しますよ」

 

 飛行船から降ろされる木箱、200缶ほど納められているのだが、これで新たな情報源を得られると考えれば安いものであった。

 

「それと、弊社と協力関係にある企業から、一度お会いしてお話をしたいと」

 

 そしていくつか経由企業こそあるものの、軍事企業からも合法缶飲料を手に入れる為非公式な接触が行われ始めた。

 

 

 

 

 

 封鎖軍事都市

 当初の目的を完了し、現在では新技術の開発都市としての側面が強い。ムー国政府の保証が必要なモノの、都市内に入る事も可能であり現在では封鎖軍事として言うより、科学発展の為の研究都市となっていた。

 

 空軍区

 ムーは余りにも視点が先過ぎたために、自らのジェット戦闘機を落とせる誘導弾を開発してしまった。もちろん有用なもので、ミリシアルのアルファ3にも十分通用する代物であった。

 新たにムーでは赤外線誘導方式には限界があるものの、開発を進めつつ別の方式、セミアクティブ式電波誘導を採用したことでレシプロ航空機にもある程度の性能を出せるようになった。

 かなり努力してはいるのだが、問題は単発機であるトゥナンにはシステム部の小型化が出来ない為搭載が出来ず、現状では機体前部に余裕があるシュヴァルベしか搭載が不可能な欠点もある。もちろんシステム部の小型化が成功次第、トゥナンにも搭載する予定ではあるのだが。

 42式誘導弾として、地対空・空対空・艦対空用として量産が開始され、システムの小型化に陸海空軍への配備と習熟訓練が行われていた。

 

 

 陸軍区

 市民の要望と停止していた技術開発、最新鋭のムー製試作重戦車、M4戦車の10台分のコストとかなりのモノであったが完成を見た。

 最新の67口径84mm戦車砲による高火力

 最新技術の照準システムに無線システム

 試作段階にある異材をサンドした空間装甲によって生まれる比較的軽くて強固な装甲

 大馬力のエンジンによって稼働する高出力の駆動系

 軽量化の全てを台無しにする徹底強化され過ぎた重甲過ぎる基礎構造

 駆動部の高出力化の意味を無くさせる幅広な履帯と大量の転輪

 ムー製のTOGⅡである。

 魔王戦で功績を上げた戦車の再製造に良き声はあがったものの、新技術の試験を除けば大いに失敗作であり、極度に大型化した戦車については今後十分な計算及びモックアップの製造を経てからの試作の方針となる。

 

 

 そしてムーの試作中戦車もようやく完成を見た。

 新たな懸架装置に大型の転輪のみ利用した良好な履帯

 繰り返し改良され初期量産よりも軽量化され精度も良くなった76mm戦車砲

 M4中戦車と比べて良い整備性

 新開発エンジンによる高出力な駆動部

 ムー国設計責任者の名を冠した クロムウェル中戦車 である。

 装甲こそM4中戦車に劣るものの、試験場では他の面において全て勝り、機動性においては隔絶した差があった。

 技術供与ではなく自国開発による高性能な戦車に陸軍上層部は大いに喜び、M4中戦車からクロム中戦車を主力生産するとして言い出したところで、装甲に問題があると太陽神の使いとして指摘し、増加装甲によって補う事を提案する事になった。

 

 

 海軍区

 順調に技術者達はムーの都市に戻り、各造船所で最新鋭空母と対潜・防空巡洋艦の建造に忙しい。しかし封鎖軍事都市では最新のソナーに爆雷に魚雷の研究と技術を積み重ねていた。

 いまだ敵の潜水艦と言う概念だけしか分からないものの、敵国が持っているという事実に対して対応するためには開発するしかない。

 

 

 

 

 元実験開発区

 現在では主な開発は終了し、日本が管理しているので静かに兵器の集積が始まっていた。

 オイ車甲型

 マウス改型超重戦車

 ラム戦車甲型

 ラム戦車乙型

 KV-2型自律支援戦車

 グレートパンジャンドラム型障害物破壊用対地自走爆雷

 コンテナ式チープ多連装ロケット砲

 汎用チープ誘導弾Mk3

 等

 むろんムーだけでも技術的には優位に立てるが、最悪の事態としてムー大陸の文明国家が、グラ・バルカス帝国の工作によって敵に回る可能性も否定はできない。その場合はムーに対応を願いつつ、日本がグラ・バルカス帝国との前線に出るつもりであった。

 

 

 

 

 

 フィルアデス大陸

 暗黒大陸で突如火山が噴火を起こした。むろん何が封印されているのかもミリシアルやムーさえすでに知っている。

 ラヴァーナル帝国でさえ制御を放棄し、封印と言う手段を選んだ邪龍、立ちはだかるモノ全てを破壊しながら南進を始めた。

 魂まで捧げたマラストラスのかすかに残った意思に僅かに従い、太陽神の使いを滅するという目的に牽かれるように南へと足を向けた。

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