龍の国 日本 作:揚物
邪龍アジ・ダハーカは日本へと向かい海を進んでいた。長距離飛行を出来ず、泳げないはずだがマラストラスの記憶からか溺れるような泳ぎ方で無理やり海を渡り続けていた。
日本は邪龍の存在に慌てることなく、じっくりと準備をしていたのだが、縄張りに入ったことから海魔が襲いはじめた、3体までなら三つ首によって対応できたのだが。
ほぼ泳げず鈍重、凶悪なのは爪と牙、体のほとんどを失っても再生する力、特に大柄なシーサーペントなど大型海魔まで加わると容易く水中に引きずり込まれ、肉食魚まで加わり寄って集って食い散らかされながらも死にきれず、暴君と恐れられた邪竜はただの海中生物の餌と化していた。
それでもなお何日も暴れまわり、徐々に水中に適応し曲がりなりにも泳げるようになるとシーサーペントや肉食魚では対応しきれなくなり、再び日本へと向かい始めた。
しかしすでに海竜から日本へと情報が伝えられており、大量の試作品の爆雷がかき集められ準備が進められていた。
処理するのもリサイクルするのも予算が掛かるがゆえにではあるが、試作品は
衝撃特化型
音響特化型
魔石使用型ICE
魔石使用型THU
など実戦テストによるデータを取りたかったのだ。
近海まで派遣された護衛艦から海面を泳ぐアジ・ダハーカに向け、SH-60N型に搭載された各爆弾は投下の準備に入っていた。
「標的確認。 投下開始」
強烈な爆圧衝撃波によって、首一本と体が大きく裂けるものの、それでもいとも簡単に再生修復されてしまう。
「次弾 音響爆雷」
タイミング悪く水中にあった2本の首が聴覚をやられたのか水平や方向感覚を失い、溺れながら水中へと没する。それでもなお数分すれば聴覚と水平感覚を取り戻し、海面へと上がってくると怒り狂い、一本の首が空中に向けられ魔法の光を放ち始める。
「次弾THU投下」
雷の魔石を利用された爆雷が投下され、自然現象で発生する落雷の何十倍にも匹敵する雷がアジ・ダハーカに襲い掛かった。過剰な電気信号によって全身が痙攣を起こし、魔力の光は霧散した。神経細胞を焼き尽くし、修復が追い付かず水中に沈んでいく。
それでもなお時間が経過すると体を再生し、再び海面へと姿を現した。
「次弾 ICE投下する」
機体から投下された爆弾は子弾となり空中でばらけ、アジ・ダハーカの周囲の海面に着水、一瞬の間をおいて海もろとも凍結した。
弾丸と言うサイズではいまだ実用段階にはないが、子弾などのサイズとなると実用性が確認できる程度には出来上がっていた。
半径100mほどが完全に凍結、無限の再生能力も、再生するための細胞がなくなるのではなく、凍結し停止してしまえば再生も何もないらしい。しかしあくまで海水が瞬間凝結する程度の低温、アジ・ダハーカを殺傷するほどではなく、かなりの鈍い動きながらも氷を砕きながら氷海の上に這い上がる。
うめき声のような唸り声をあげるが、冷却された体の動きは非常に鈍い。
再び投下されたICE型によってさらに温度が低下、大気中の水分も凍結し、霧や雪の結晶となると徐々に体が凍結を始め、5発目が投下された時点で全身が凍結して絶命すると体が崩壊していき消えていった。
魔石を利用した兵器はまだまだ科学兵器に比べて完成度が高いとは言えないが、実用性についてはかなり使えるものになってきていた。
ムー国 軍事開発都市
ムー国内で何度も名前を間違えられてはいたが、共通している事はムー内に置いてもっとも発展した技術開発を行う都市であるということ。
そこでいま、新しい試作中戦車が産まれようとしていた。
クロムウェル中戦車がムーにとって自国の技術者が設計製造した初の中戦車、そこに自国で発展開発した84mm砲を搭載する改良を考えていた。
「うーむ。 やはりバランス問題がいかんとも」
「トップヘビーは避けるべきだが、装甲に問題が出てしまう」
ガンキャリアやBPを設計した技術者達が集まり、概略設計図からモックアップを作り問題点の洗い出しや対処策を練っていた。
「しかし、量産時の予算を考えると、余り車体を改造するわけにもいかないですから」
重戦車 BPは本格生産は行われていない上、性能はムー国で最高ではあるが生産コストも馬鹿にならない。いくらムーでも財源に限界がある為、ムー国陸軍では戦車や装甲車両の数を揃える上で、少しでも価格を抑え運用費も抑えるように財務部から悲鳴に似た願いが出されていた。
「砲塔は重機関銃程度を抑える装甲に抑え、傾斜で弾くようにするのが限界でしょうか」
「しかし、それでは戦車と言えるのだろうか」
「そもそも比較的小型快速なクロムウェル中戦車に、大重量の砲を積むのが問題では?」
設計会議の議論は尽きず、結論は簡単に出なかったが、いくらか装甲を傾斜させることで避弾経始を採用し、装甲厚を減らし重量増加を抑えるという苦肉の策に出た。
車体に似合わず特徴的のある大型の砲塔を持つ新型戦車の名称は チャリオティア中戦車 と仮称されたが、試作製造された砲塔の脆さから、正式採用時には 対戦車駆逐戦車チャリオティア に名称が変更されることになる。
紳士淑女の集い
日本のネットで作られるあらゆる軍事兵器の製作シミュレータ。型に取られない自由な発想は、日本一国であるがゆえに停滞しかねない技術を留めず創意工夫に溢れていた。その中には現実の技術に新たな着眼点を与えることもあり、革新的デザイナー等を名乗る怪しい者達とは異なり、紛れもない革新的発想であった、輸送が容易なコンテナ式多連装ロケット砲もその中で生まれている。
シミュレータであるがゆえに現実には危険なテストや生産するのが難しい物を製造でき、テストも出来る為チープ兵器群で採用されたものも多い。
そんな各企業やサークルが参加する中で一際異彩を放ち注目される集団がいた。
《PD研究サークル》
あらゆるシミュレータ内の大会に参加し、競技を改良型パンジャンドラムで突破。技術会議に参加しても、パンジャンドラムの有用性と発展性を語り、その技術と発想で出された課題を 最終的にごり押し でクリアする異端の技術者集団。
飛行標的を破壊するならば飛行型パンジャンを
対象物の回収なら中空式回収型パンジャンを
面制圧なら小型ロケット推進式多連装パンジャンを
農地への農薬散布なら回転式航空散水パンジャンを
人命救助なら捕食式保護型パンジャンドラムを
余りの事態に理解を拒みたくなるが、シミュレータ内とはいえ全ての課題をクリアし、実運用でも機密保護装備として自爆装置を持つ。
チープ兵器群の中にすでに採用されたものもあり、次の採用を目指し日夜研究に励んでいた。彼らは紅茶の常用飲酒に毎日の紅茶風呂、健康に配慮しマーマイトを毎食摂取。サークル筆頭は紅茶を血液摂取しているとは言われるほどである。
しかし斬新で型に全く囚われる事ない発想を持つ集団であるがゆえに注目され、現在チープではなく無人兵器の最終選考に とあるもの が残っていた。その見た目は常軌を逸しているものの、戦場下における人命救助については一考の余地があるとされていた。
PDW
パーソナル・ディフェンス・ウェポン
ではなく
パンジャンドラム・ウェポン