龍の国 日本   作:揚物

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51.ムー大陸へ

 前世界では起きたバルチスタ沖での大海戦。日本も起こる事態として準備を進めていたのだが、カルトアルパス沖での結果から、グラ・バルカス帝国は大艦隊による大攻勢を取りやめていた。むろんミリシアル帝国も大艦隊の派遣など考えず、ムー大陸から確実にたたき出す為の戦略を練っている。

 それ故にまずはムー大陸周辺海域の掌握を考え、レイフォル軍港の拡張と工廠の建設、そして本国では損傷を負ったグレードアトラスターの修理作業に取り掛かっていた。

 船渠に入れられたグレードアトラスター、艦長のラクスタルは海軍省の執務室で報告を持ってきた部下と話をしていた。

 

「機関及び船体に問題はありません。 ですが第一砲塔は思ったよりも損傷が酷く、砲そのものは交換に、ターレット回りも再修復が必要成るかと」

 

 部下の表情が良くない事から、船の状態は良くないようだ。

 しかし今回の一件では、海軍そのものが情報不足を覚悟した上での強襲だった為、責任問題などにはなっていない。

 

「ムーの巨艦相手には、グレートアトラスターでなければ難しい。 修復だけでは厳しい所ではあるか」

 

 計画にはあったものの、空母運用による航空機攻撃への移行に伴い戦艦の建造は停止していた。

 しかしムー国艦隊の脅威度から、さらなる航空機運用のために空母及び防空艦の強化と共に、停止していたグレードアトラスターの強化艤装案について思案が行われていた。

 

「海軍は一時戦力の補充が必要だ」

「本土防衛は現状の戦力で問題はありません」

「陸軍航空隊……、残念だがアンタレスでは少々苦戦するとの報告がある」

「技術局では、さらなる情報収集と解析の為、スパイをムー国に送りこみます」

 

 列強と言う存在、前もって情報収集をしていたが、ほぼ軍事技術は同等程度で僅かに劣り、規模においては勝ると分析されていたが、海戦においてかなりの被害を被り、数日にわたる会議では情報分析と得られた戦訓から戦争方針の変更が行われた。

 

「海軍は当面の間ムー大陸周辺海域の確保を主とする」

「レイフォルの空軍基地を増設し、陸からのムー国へ航空攻撃も視野に入れる。 むろん歩兵の増員も行う」

 

「ムーの軍事力は侮れぬ。 ケイン神国よりもだ。 新型航空機の開発製造、そして情報収集を怠らぬように」

 

 戦略を一大攻勢から着実な占領による領域拡大へと戦略変更が行われ、ムー大陸制圧を最優先とした。その為レイフォルにおける工廠と軍事施設のさらなる建設へと向かっていく。

 

 

 

 ムー国国境付近 バルクルス基地

 レイフォルの元属国は恭順を示し、ムー本国に最も近い場所である元レイフォル属国ヒノマワリ王国領の東端に大規模な基地建設が完了した。

 陸軍基地にはグラ・バルカス帝国が誇るハウンド戦車や装甲車が集められ、陸上からの侵攻作戦に向けて訓練等も行われていた。大量に用意された火砲と着実にムー国軍を打ち破るために。

 陸軍基地に隣接するように大規模な滑走路を備える飛行基地、アンタレスやベガ型双発爆撃機が大量に配備され、弾薬食料に整備部品と潤沢に用意された。

 レイフォル統合軍基地司令官であり守備隊長のファンターレは書類に目を通していたが、その中には外務局レイフォル出張所から軍の派遣要請があった。

 

「またか。 そのような余裕はないと何度も断っているのだが」

 

 従属国家や近隣国への従属を迫る威圧の為に軍の派遣依頼、ムー国との陸戦に備え訓練計画や物資備蓄などの計画が本国より定められ、バルクルス基地への一部戦力移管を考えれば、外務局の要求に答えられるわけもなかった。

 その為徐々に外務局レイフォル出張所の成果は減り続ける事になるのだが、軍部が派遣を渋る為と報告できるわけもなかった。

 

 

 

 

 

 日本 某研究所

 パルキマイラの飛行システムの解析中、日本の技術者達は唖然としていた。

 パルキマイラの飛行動力源、一種の反重力システムを発見し、解析していたがどうしても目標とする出力が確保できず、さらに慎重にキマイラ各部を解体分析していく中、とある容器を分解したときだった。中に収められていたのは結晶化した光翼人であったからだ。

 

「これは……いくらなんでも常軌を逸している!」

「生命倫理感が壊れているとしか思えん」

 

 伝承では竜人族を革のバックにするために要求したとあったが、さすがに同族まで必要であれば兵器の一部に使用するなど、まともな価値観を持っているなど考えられない。同族さえ必要性があれば機械の部品に組み込む、とても正気の沙汰とは思えなかった。

 

「これが、増幅器……になっていたのですね。 光翼人も反重力魔導炉単独では十分な出力を出せなかったと」

 

 慎重に調べ続け、増幅器の構造は現代科学においては昇圧構造に近く、昇圧コンバーターの原理を利用し、製造コストとサイズにこそ目をつむれば代用が可能であった。

 ML86X重飛行船の発展拡大型への利用が検討され、安定した反重力システムの開発製造が始まった。

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