龍の国 日本 作:揚物
中央暦1639年8月
ロウリア王国は滅亡し、パーパルディア皇国の属国となった。管理官が派遣されたことで、資源は搾取され国民は奴隷同様の扱いを受けている。
ロデニウス大陸南部海域に逃亡し、日本に保護という名目で捕らえられた数名を除き、王族は全て処刑された。
浮島の一区画で軟禁されてはいるものの、相応の生活は保障していた。時が来たとき、親日国家としてロウリア王国を復興させるために、基本的な国家運用方法や平和主義思考など教育しておく。
再び民衆の不満やはけ口として戦争や弾圧を行わないよう、その様な事が時間稼ぎとしかならないことをきっちりと指導を行う。
防衛省 会議室
「そろそろパーパルディア皇国への国力削減を行う」
「ルディアスとレミールの権力はほぼ拮抗しています。 皇族と民衆はややルディアス派ですが、貴族や商人はレミールに傾いています」
「陸・海・竜の半数近くはレミールに従うでしょう。 貴族軍人の多数はレミール派です」
「デュロ駐留軍はレミール派の軍人貴族が多く、全面的にレミールに従うと思われます」
「肝心のルディアスとレミールの仲は?」
「レミールはルディアスに好意を向けていますが、ルディアスは権力を持つレミールに猜疑心を持っているようです」
「レミールもまた、ルディアスが最近距離を置くことに疑問を持っているようです」
「皇帝ルディアスには地位を、皇女レミールには財産を狙っていると情報を町に流せ。 工作員には、日を見てさらに貴族達の財産を没収すると噂を流せ」
第二兵器技術研究所
「魔石についてある程度わかりました」
日本国内に魔法適正があるものがいないため、分析と言うよりアルタラスから購入した書類から運用方法を考察が行われた。
「火の固体魔石は石炭に近く、煤煙を出しません。 蒸気機関につきまして極めてクリーンな運用が可能かと思われます」
「なるほど、それは火力発電にも流用できる可能性があるわけだな。 研究を続けよう」
華もあれば予算もある第二兵器研究所では、魔石の科学技術利用の研究が行われていた。
第三兵器技術研究所
クラウドファンディングは広く数十種類展開されたが、やはり良くてプラモデルどまりであり、そのほとんどが達成する事無く消えていった。
・300m級飛行船
日本飛行船が主の出資。
・XF5U
フライングパンケーキ、航空技術愛好会が主な出資。
・五式中戦車チリ
戦車極みの会が主な出資。
以上が想定額を超える事ができたが、これ以上増えても仕方がないため受付を停止された。
オイ車と同じように正規運用するため、ある程度の制約や合格ラインが設けられたものの、協力企業によって各自製造が開始。
中央暦1639年 10月
レミールは皇帝ルディアスにより全ての職を解かれ、邸宅への謹慎が言い渡された。
「ルディアス様……何故ですか」
そして皇都に流れる貴族達の財産を没収するという噂。真意は定かではないが、さらなる軍備拡張を行うために、多くの資金を必要としているのは確かであった。
貴族の財産を没収すれば、その資産は膨大であり軍備拡張に使うことは容易だろう。
「私の……全てが」
屋敷に集められた様々な宝飾品、すでにルディアス皇帝への気持ちよりも、レミールは自らの財産の方が大切であった。
「侍女を呼べ!」
レミールを含めた多くの貴族達は財産を持ってデュロへと逃れた。むろん皇帝ルディアスはこのようなことを許さず、デュロ防衛隊に捕縛を命ずるも、命令を拒否し貴族の兵たちが集まりだした。
これは事実上の反乱であった。
「パーパルディア皇国の皇帝 ルディアスの名を持って、このようなことを許すことはない!」
国家の正当性を言った所で、食料と工業都市を握っているのはレミール側にある。それに伴い多くの軍がレミールに付き従い、皇国軍の5分の2が集った。
今まで日本やクワ・トイネからの献上が行われていた食料によって、自国属領の農業の生産力は落ちており、デュロのレミールに直接献上される為にパーパルディア皇国はいずれ飢える事になるとレミール達は考えた。
しかし日本は非公式にロウリア国を経由してエストシランにも日本及びクワ・トイネの食料を献上し、お互いにすり潰しあう内乱へと発展させる形に誘導する方策を採った。
デュロの行政府にはレミールに付き従う貴族や軍人が集まり、会議室ではこれからの戦略について話し合いが行われていた。レミールは軍の運用については分からないため、皇族としての象徴であり、
「レミール様、物資の献上にあがりました」
日本やクワ・トイネからの食料の献上を受け取る重要な役目がある。さらにアルタラス王国から購入した後、日本から魔石の供給も行う。これによってデュロで兵器の生産が安定し、数的不利も補える。
これでレミール派の生命線はクワ・トイネと日本となった。そしてこの供給がある限り、工業拠点を押さえているので優位性は保たれる。
他の皇族は巻き込まれないよう口を閉じ、皇宮で事の成り行きを見守った。