龍の国 日本   作:揚物

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58.ムー大陸 南部・北部海域海戦

 グラ・バルカス帝国 海軍による南部海域への偵察、陸での侵攻が予定より遅れていることから主要港などの攻撃を行い戦力の分散や負担の増加を狙っていた。

 大海軍国家であるがゆえに出来るグラ・バルカス帝国の余力の大きさ、そして素行の悪い兵士の棄民と共に旧式化した兵器の廃棄、これは日本が起こした行動、アルコール中毒者を増やし国力を低下させる計画に伴い、素行の悪い者や手足の震えをもつ者が増えたことによる刑罰でもあった。質の良い兵士や工員を集めるのがやや難しく、何よりもまずはアルコール断ちさせるための教育が必要など手間が増えていた。

 今では二線級落ちした中でも練習艦や廃艦予定に搭乗し、任務に成功すれば免罪し栄転とする特例、しかしムーの戦力を知っているがゆえに成功する確率はないことを理解しているが、ムーの兵器弾薬の消耗を強いるには十分である。

 そして何度も偵察を繰り返したが、今回の目的は敵の目を集めつつ、補給船の拿捕や撃沈による通商破壊であるのだ。

 

「緊急報告! グラ・バルカス帝国の艦隊が確認されました!」

 

 巡洋艦4 駆逐艦6の速度を重視した機動艦隊。

 貿易港ではないがムー国内向けで利用される輸送港、大量輸送には何よりも海路が向くが故にムーほどの大陸国となると海洋輸送は重要だった。

 一方でグラ・バルカス帝国のこの行為はムーにとって頭の痛いこと。海軍戦力総数、つまり艦艇数で劣っているのでメンテナンスと訓練を回しきる事が出来ず、どうしても近海防衛が主となり旧レイフォル海域まで逆侵攻を行えずにいた。

 

 それでもなお繰り返される偵察から南部地域に艦を集め、南部海域防衛を担当している巡回航空隊から送られてくる正確な位置情報を元に、近海防衛に当たっていた艦隊、ラ・ネート級重巡洋艦4隻が向かう。

 これが現在のムーが使える戦力の精一杯であったが、ミリシアル帝国によって派遣されていた艦隊が共に赴くことになっていた。

 改ミスリル級戦艦1隻ゴールド級空母2隻の先遣隊が加わる。正式な艦隊はいまだ編成中であるが、政治的な意味合いとしてミリシアルはムー国の同盟であるとして海軍でも少数の先遣隊を送り、海軍の本心としては改良の施されたミスリル級の性能を試してみたかった。

 オリハルコン級戦艦に搭載する砲制御システム、そして対空砲をアトラタテス砲に換装、最新型の魔力エンジン、それが実戦においてどこまで性能を発揮するのか、オリハルコン級が艤装も終わり慣熟訓練中ではあるが待ち続けられなかったのだ。

 

「巡洋艦と駆逐艦では、いや、砲システムの試験にはなるだろう」

 

「主砲発射用意!」

 

「主砲装填!」

「魔導電磁レーダー照射」

 

 自動装填装置はないが、最新の変換器によって電磁レーダーにより位置情報と速力が推定され、魔導システムによって計算が行われた後、砲手に予測位置が伝えられ従い砲塔の制御を行う。

 さすがに砲塔の回転や仰俯角調整までは連動できなかった。

 

「急げ! 戦術長から来たデータと変わっちまうぞ!」

 

 砲術長は慌ただしく命令を下し鈍重な砲塔をデータと一致するよう動かしていく。

 

「砲塔旋回よし!」

「仰角……よし!」

 

 完了報告のスイッチを入れると、即座に砲撃せよと許可のランプに光が灯る。砲撃前の警告音が鳴り響き全員防音耳当ての上から両手で耳を覆う。

 魔術回路が開くと共に膨大な魔力が流し込まれ砲撃音が響き、青白い光を放つ砲弾は標的へと向かって飛翔していく。

 

 

 

 戦闘準備に入るミリシアル帝国艦隊と異なり、グラ・バルカス帝国艦隊は即座に撤退体制に入った。

 

「敵艦隊発見!」

「面舵! 逃げるぞ!」

 

 そもそも此方は巡洋艦と駆逐艦によるムー国の後方に打撃を与える輸送船攻撃艦隊、真っ当な艦隊を相手に出来るはずもなく、グラ・バルカス帝国の艦隊は速力を生かした逃げの一手であった。

 回頭している最中、青白い光を放つ砲弾は駆逐艦の僅か20mの地点に着弾し大きな水柱を上げる。

 

「なっ!? 初砲撃で夾叉されたのか!」

「最大速力で各自撤退! 撤退せよ!」

 

 混乱に陥ったグラ・バルカス帝国艦隊は陣形など取る余裕もなく、最大船速で海域から離脱を選択し追撃戦へと入る。

 統一性もなくばらばらに回頭する姿を確認したムー艦隊は大型半誘導魚雷を投下し、最大船速で追撃しながらオペレーターによる誘導が行われている。その事をグラ・バルカス帝国海軍は知らない。

 

「魚雷確認! 追い付かれます!」

 

 船尾を向け最大船速で退避中なところ、悲鳴のような報告が上がり艦橋は焦り始める。

 誘導範囲外であり距離の問題から命中率は低い、もちろんムーとて無線装置の出力強化など日々改良をしているが、生産配備済みなものに改良を施すなどできるはずもない。

 グラ・バルカス帝国艦隊は魚雷から逃れるべくばらばらに取舵・面舵とを繰り返し被雷したのは一隻の駆逐艦のみ、強烈な水柱と共に後部をえぐり取られ、船首を空に向けながら急速に沈んでいく。

 一方で魚雷回避のために回頭を繰り返せば速力は落ち、再び射程に捕えた改ミスリル級戦艦の主砲弾が降り注ぎ命中し始める。

 

 

 

 改ミスリル級の艦橋では情報を集めながら状況を見ていた。

 

「敵艦への命中を確認。 砲照準誤差補正継続中」

「重畳、砲撃を続けよ。 しかしムーの魚雷はなんとも凄まじい」

 

 改ミスリル級の艦長は新型砲照準システムの満足と共に、ムーの魚雷の効果に驚いていた。駆逐艦とはいえ巡洋艦級の一撃で轟沈させるのは難しい。それはミリシアル帝国の巡洋艦級規模の軍船であっても、駆逐艦を一撃で葬れるだけの兵装はなかった。

 

「ミリシアルも魚雷の開発をせねばならんな」

 

 ミリシアル帝国も魚雷を開発をしていないわけではないのだが、やはり優先されているのは誘導弾であり、魚雷そのものも水上艦目標ではなく潜水艦という存在を標的としていた。

 

「敵艦への砲撃を続行。 砲弾の種別は変更なし。 技官は砲撃情報収集を怠らぬように」

 

「了解しました。 砲撃続行いたします」

 

 計算終了と共に情報が伝えられ、再び主砲の回頭と共に仰角修正が終わると砲撃音が鳴り響く。

 

「ミリシアルは止まらぬ。 改ミスリル級の先、オリハルコン級さえも先にあるアダマンタイト級への道となる」

 

 ミリシアルの海軍は不足していた技術が埋まったことで飛躍的に艦隊は強化されている。あとは運用訓練を十分に詰むだけであった。

 砲撃さえも終了し誘導弾の段階へと進む途上の艦、そのことを艦長は理解しつつも今は響き渡る砲音と砲煙を艦橋から眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ほぼ同時期、南部海域とは異なり戦艦2 空母2 巡洋艦6 駆逐艦12の空母艦隊がオタハイト港へと航路をとり向かっていた。以前行った威力偵察からムーの対応力の推測が立ち、南部海域へ繰り返し偵察部隊を出す事で囮とし兵力や対応力を消費させ、北部海域への対応を鈍らせようと試み、そしてそれはある程度成功していた。

 しかし南部で海軍が迎撃作戦中、哨戒任務にあたってラ・カオスⅡ世改修偵察機によって艦隊は発見された。ムーには早期警戒専用機はないものの、大出力航空エンジンかつ高高度も飛行できるラ・カオスⅡ世を爆撃機や偵察機に改修し運用していた。その機が定期哨戒任務中に発見していたのだ。

 

「戦力はないのか!?」

「首都防衛艦隊しか残っておりません!」

「首都艦隊は最後の手だぞ! 以前の作戦失敗時に艦隊を編成するはずではなかったか!」

 

 以前行われた陸から航空部隊を送り、空対艦誘導弾を使う作戦は多くの損害を出したため否定された。その為首都防衛艦隊とは別の艦隊を”編成中”でありまだ間に合っていないの現状でもある。

 そして列強統合空母打撃艦隊は現在メンテナンス中で近海にはいない。

 

「現在は、首都防衛艦隊の14隻しかおりません」

 

 ラ・ネート級巡洋艦10隻

 ラ・ヨージュン級空母2隻

 ラ・カサミ級戦艦1隻

 

 首都防衛隊最大戦力、もしこれが誘導作戦であった場合対処が出来なくなる恐れがある。それでも首都を守る為に首都防衛艦隊は港を離れ迎撃に向かっていった。

 

 

 

 政治的意味も含めて唯一所属しているラ・カサミ級戦艦 ラ・ゲージ、純粋にムーの技術によって設計建造された最後の戦艦である。

 艦長は艦橋から他の艦を眺めながらため息をついた。

 

「もはや、ムーの技術だけでは・・・・・・か。 悲しくもあり、発展したムーが誇らしくもある」

「今やムーは10年前とは比べものになりません。 ラ・カサミ級とてまだまだ発展していけます」

 

 副官の言葉を聞きながら、レーダーや艦内通信機など電子設備が増えた艦橋に目を向ける。建造時の露天艦橋設備や伝送管などもはやなく、全て保護経路まで設けられた通信機で各設備に繋げられ、正確かつ迅速に命令が下せる。

 しかしそれも、ラ・ネート級を参考に技術をフィードバックしたもの、元々そのように設計され拡張性を持たされている物には劣っていた。

 

「レーダーに感あり! 敵艦隊発見!」

 

「戦闘配備! 艦橋から戦闘指揮室に移行!」

 

 艦長は意識を切り替え、ムー守護艦隊として責務を果たすべく行動を開始した。

 

 

 

 

 

 海に近い空軍基地の滑走路では迎撃機としてトゥナン及びシュヴァルベが控え、敵機の陸上攻撃を防ぐためレーダー員達は油断せず画面をしっかりと見つめている。

 そして光点が現れ航空機が敵空母から発艦したことを伝えていた。

 

「敵航空機発艦! 総数120!」

 

「第1から第14飛行隊は迎撃に当たれ!」

 

 その言葉と共に待機していた飛行隊が順次離陸を始め、制空機トゥナンと攻撃機シュヴァルベ200機は迎撃へと向かう。

 誘導弾こそいまだ装備されていないものの、レシプロ機とは比較できない空戦能力を可能な限り投入していた。

 

 

 

 

 

 

 

 グラ・バルカス帝国、ムー国首都攻撃艦隊

 

「作戦通りか。 どれだけの数を出して来るのか」

「上手くいったでしょう。 ムー国の軍事力は南部へと意識が集中しているはずです」

 

 司令官と参謀は作戦本部より命じられた首都攻撃命令、南部の囮部隊とは異なり真っ当な訓練を受け将兵の練度も質も問題が無い、相応に選び抜かれた軍人が編成されていた。

 

「航空隊は敵に捕捉された模様、しかしこちらに向かう余力はないようです」

「よし! 複縦陣にて敵艦隊を突破し敵首都港に砲撃後回頭、空母は直掩機のみとし後方待機、敵艦隊を牽制しつつ帰還する!!」

 

 グラ・バルカス帝国の艦隊は複縦陣の艦隊編成を取り、首都への砲撃を短時間に済ませ損害を少なく抑え帰還を目指す。しかし迎撃に向かっていた首都防衛艦隊と会敵した。

 

「主砲射程まで5分!」

 

 運よく先に発見したグラ・バルカス帝国、主砲の回頭が始まり仰角に砲身が上がっていく。

 

 グラ・バルカス帝国 オリオン級戦艦の38センチ砲弾は轟音と共に空に上がりムー艦隊へと向かっていった。

 撃ちだされた砲弾は運悪くラ・ゲージに向かっている。その判断を下すのが不慣れなレーダー観測員によって判断が遅れてしまった。

 ラ・ゲージに38センチ砲弾が艦橋に直撃し爆発によって艦橋がえぐり取られる。

 

「攻撃続行せよ! 航空優勢はこちらにある!」

 

 戦闘指令室は艦橋直下の船体内にあるため絶望的被害ではないが、観測員と艦橋の操舵員は死体の確認さえ出来ないものの運行にはなんとか問題はない。

 FCSもない砲撃が長射程で初弾が当たったのは奇跡に近い、それでも被弾は甚大な被害を与えていた。装填の終わった魚雷が発射管から6発撃ちだされ、無誘導だが時間の経過と共に敵艦に向かっていく。

 

 

 

 海戦が始まった時から、グラ・バルカス帝国艦隊の後方から静かに海中のハンターは標的を定める、魔道機械潜水艦ラ・ダマスカス。

 ムー製の無線通信制御も質が高くなかったが、ミリシアルの魔信による遠隔通信を介する事で例え水中で有ろうと正確に誘導が可能となり、この点においては遠隔操作技術はムーよりも勝っていた。

 音響吸収装置が作動する中、誘導魚雷は発射前に記録された音波と生体魔力反応を元に追跡し、交戦中のグラ・バルカス帝国の艦艇真下に到達し炸裂。

 僅かに艦を浮き上がらせ大穴を開けられた船底から流れ込んだ海水が流れ込んでいく。同時に発射されたのは4発、そのうち直撃したのは2発であった。

 

「総員退避! 総員退避!」

 

 艦内放送と共に海兵達は脱出を試みるも、流入してくる海水に飲まれ5分と掛からず多くの兵士が海中に飲まれていった。

 

「てぇ!」

 

 いまだ無事な戦艦から反撃となる砲弾が撃ちだされる、ムー、グラパルカス帝国の砲撃音と魚雷着弾が同時であったためにすぐには気付かれず、海面に傾いていく様をたまたま参謀が見たことで気が付いた。

 即座に何が起きたか理解は出来ず、その間にも再び発射された魚雷はもう一隻の戦艦に迫っていく。状況を理解した参謀が大声で警告を発した。

 

「潜水艦から魚雷攻撃を受けています!」

「なに!?」

 

 参謀の言葉に視線を向けた先では戦艦が傾斜していく様が見えている。どこも被弾した煙など見えておらず、海中からの攻撃は明白であった。

 

「っ! 最大船速! 駆逐艦には爆雷投下を命令せよ!!」

 

 命令が復証される前に到達した魚雷によって船が僅かに浮き上がるほどの衝撃を受ける、完全に船底ではなく船舷であったことから浸水によって急速に傾き3分と持たずに艦橋は海面に叩きつけられ、編成されていた戦艦2隻が沈んでいった。

 一方でラ・ネート級巡洋艦からは誘導魚雷を発射したのを隠すように、203mm連装砲の砲撃音が鳴り響きグラ・バルカス帝国の艦隊へと降り注いでいく。

 

 

 

 

 

 

 半日近い攻防戦の結果、ムーはなんとか迎撃は成功したものの、グラ・バルカス帝国のもう一つの作戦は成功。

 潜水艦隊によって運ばれた特殊陸戦隊、5つの部隊が小型艇によって北部海岸線へと上陸を果していた。後方撹乱任務に当たるゆえに数も少なく兵装も携帯火器と少量の爆薬のみで多くはないが、スパイとは異なり真っ当な兵装を持つ軍隊であることに違いはない。

 夜間の暗闇に紛れ上陸を果した部隊は砂浜から少し離れ視線から逃れられる崖下で合流中であり、明かり一つ着けず静かに行動する彼等は間違いなく実力を保証された潜入工作部隊であった。

 しかし沿岸警備にあたっていたレイダークラヴ族は水中から見つけており、水中と暗闇に紛れながら徐々にその数を増やしていた。

 

「ぎゃぁぁぁ!」

 

 絶叫と共に一人のグラ・バルカス帝国兵の体が上下に分かれ地面に転がった。レイダークラヴは水中から上がると同時に奇襲を仕掛け、特殊部隊員をその爪で捕え次々と両断していく。

 

「ば、化け物だ!!」

「撃て撃て!」

 

 離れていたことで無事だった兵士が回転式けん銃を撃つものの、元より9mm程度では至近で容易く弾き飛ばされ崖に銃弾が食い込む。

 ライフル弾の5.56や7.62mmでも関節を狙わなければレイダークラブは仕留められない。ただしその関節部は丈夫な可動式装甲で覆われ、手榴弾でもなければ歩兵装備で倒すのは難しいほどになっている。対戦車火器でもあれば話は別ではあるが。

 

「このっ! 化け物が!」

 

 次々と爪に捕らわれては切断され上半身と下半身に分け隔たれ、恐怖と共に絶叫を上げ逃げ出す者も出るが、隊長は爆薬片手に上に飛び掛かると一杯のレイダークラブが爪で掴んだとたん自爆。

 爆発と衝撃で周辺にいたグラ・バルカス帝国の兵士も、レイダークラブも一時動きが止まり撒きあがった砂煙が消えていくと掴んでいた右爪が吹き飛んでいた。しかし僅か十数秒止まっただけで再び残った左爪で新たなグラ・バルカス兵を捕まえ、他のレイダークラブたちと共に両断していく。

 一方的な白兵戦が行われている中、連絡を受けたムー国警邏兵が駆けつけた時には辛うじて生きていた一人のみ捕縛された。

 

 

 

 

 

 上陸艇のエンジンが故障しオールで向かっていた1隊のみ上陸場所と時間がかなりずれ、哨戒部隊に気付かれる事なくムー国に潜入していたスパイたちとの合流することができた。

 ただしたった10名ほどであり持ち込めた銃器や爆薬の数も限られる。補給を受けない限り行動できるはずもなく、北部にある比較的小さな港町で農業などに従事しながら次を待つことになる。

 

「上陸できたのはこれだけか」

 

 疲れた表情ながら、潜入工作員達と共に小隊長は荷物を持ち車両に乗り込む。ムーでは最近トラックやバスなどの世代交代がどんどん進み、中古のバスやトラックなどが手に入りやすくなっていた。

 その事から潜入工作員は資格を取り、バスを購入し海岸まで来ていた。

 

「他の部隊は、残念ながらムーの哨戒部隊と交戦し生存者一名のようです。 全員ムー国内で違和感が無い様になるまでは静かにお願いします」

 

 破壊工作をするにしても、ムー国内での生活に慣れ溶け込まなくては成功しない。近年急激に発展しているムー国には諸外国から多くの観光客が訪れている事から外国人は珍しくはないとはいえ、変わった行動というものはそれなりに目立ってしまう。観光客や出稼ぎ労働者に扮した行動が必要な事から、一月以上は大人しく生活をする必要があった。

 

「わかっている。 可能であれば本国に増援の依頼をしたいが」

 

「それは……、かなり時間がかかるかと。 しかし連絡は行っておきます」

 

 潜入部隊の面々は走り出したバスの車窓から夜明けに照らされるムー国の町を眺めていた。

 

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