龍の国 日本 作:揚物
パーパルディア皇国 デュロ
パーパルディア皇国にも援軍を求める報はきたものの、パーパルディア皇国は外務局を通して断っていた。
しかし、その情報をレミールへと流す。
「レミール様、魔王が復活したトーパ王国に少数でも兵を送り、レミール様の正当性や慈悲深さを国内外に示してはいかがでしょうか。 民はレミール様のお考えに感動するかと」
商人に偽装した日本の工作員は物資を献上する際に、レミールの思考を心地よく兵を送るように誘導する。
後もなく自分に酔いながら進む以外道がないないレミールにとっては、この程度の言葉でも充分動かす事ができる。
「私の深き考えを多くの者達が感謝するでしょう。 そこの者、そのように取り計らいなさい」
側に仕える従者はレミールの命を受けて部屋を後にしていく。
レミールに献上された全ての物資は、その後軍や民間に配分されている。レミ-ルが決定すれば誰も逆らう事はできない。
「我々は小国なれど、レミール様が相応しい存在だと考えております。 何かありましたら微力なれどお力添えを致します」
第一の相談役は日本でなくてはならない。だからこそ害がない点については出来る限り協力を惜しまない。
「では、最近臣民の声が悪い。 何かよき考えはあるか」
「それでは、レミール様直属の兵隊を用意し、臣民に食べ物を支給させては如何で御座いましょうか。 食が満たされれば不満も減りましょう」
「食料だと」
食料は献上によって充足している。それでも貴族達が直接臣民に配るなど考えた事もないだろう。
「我々が安価で満足するものを考案いたします」
「よかろう。 やってみよ。 出来の次第によってはお前達を取り立てよう」
貴族達が基本食さないジャガ芋を集め、それを調理場で大量に加工を行う。塩フライドポテト、ジャガバター、屑肉とジャガイモの塩バター焼き、地味に依存性がある悪魔の炭水化物料理。貴族が食べる高級な食材ではなく、それでも大量に安価に美味しく作れる。
最近では浮島で多く食べられているのだが、国外に買い付けにでる商人以外は知らないだろう。
匂いにつられて兵士達が集まってくるが、レミール様からの命令を伝え、そのまま配給を手伝わせる。安価な木皿を大量に用意し、出来上がった料理を大鍋に入れて兵士に警備させながら広間に移動する。
何事かと人々が集まる中、大きく声を張り上げる。
「これはレミール皇女様から、国家のために働く臣民への褒美である!」
レミール皇女から臣民への努力の褒美である事を、大々的に広報しながら町の中で配給を行う。兵士から、中級臣民も下級臣民も、そして奴隷まで全てに対して別け隔てなく配る。
ほんの少しの褒美でもよい、それでも食が満たされれば不満は減る。皇女と言う立場のものが、全ての臣民に対して初めて褒美を取らせる、これだけでも士気と名声は上がる。
一度に用意できる量が限られるため、デュロ内でも10箇所くらい何日もかけて回り、案の定不満は一定まで減り、皇女の慈悲と振る舞いに感謝の声があがる。
「良き働きであった。 お前達を相談役に迎えよう」
いままで不満とまではいかなかったが、余り良い言葉が町に流れていなかったが、いまではレミール派への感謝の言葉が広まっている。
これからも一定の期間をおいて食事の配給を行えば、悪化する事ないだろう。
「身に余る栄誉、御期待に答えられますよう尽力いたします」
トップが優秀であるに越した事は無いが、無能でも行動的な馬鹿でなければよい。能あるものに託し命じるだけで国家や組織は回るのだから、レミールには象徴の皇女として振る舞い、美しく強くあればよい。
日本がレミールの側で重要な立場に入り込み、貴族達を徐々に排除しながらパーパルディア皇国を自在に操る。
また一歩、パーパルディアに知られずに日本の影響力を増すことが出来た。