トーパ王国北側の防壁は崩されており、魔物が闊歩している状態であった。
オイ車を先頭に防壁を超え王都に入るとゴブリンの群れが襲い掛かり、ひたすら踏みつぶしながら進み続ける。
一定数を仕留めると逃げ出し始め、73式装甲車から下車し、小隊に分かれ町に入っていく。
市民が大量のゴブリンと数匹のオークに囲まれているのを発見、無言で合図が送られると数人に分かれ、静かに各物陰に隠れながら3か所の射撃ポイントに移る。
所定ポイントに到達し、合図が行わると同時に一斉射撃が行われ、全身をハチの巣にされ地面に転がった。
唖然としている住民をそのままに、各分隊に分かれ魔物や魔獣の排除を開始する。
その頃大通りではオイ車と砲戦車ホリが進み、巡回や生き残りをしていた魔物が群がり引き付けていた。
大通りの中央広間に到達するとオーガがオークキングとオークの集団を引き連れてオイ車の前に現れた。
「タッ、タイヨウシンノツカイ!?」
オーガが驚いた直後、主砲の155mm榴弾砲が発射され、瞬発式に設定された榴弾はオーガを粉々に吹き飛ばし、オークキングなども巻き込んではじけ飛んだ。
爆発音によって集まりだしたゴブリンとオークが全方向から現れ、オイ車後方の連装機銃砲塔によって薙ぎ払うも、余りの多さに切りがない。
大通りの中央広場で信地旋回をしながら全武装を駆使していた。
そんな中一匹の魔族が翼を広げ空から様子を見ていた。
魔王の側近であるマラストス、過去の戦争でも太陽神を見ており、オイ車に描かれている国旗からその存在に気付いた。
魔王に報告に向かおうとしたとき、離れた場所で1人の隊員がHK416アサルトライフルの照準を合わせトリガーを引いた。
マラストスは片側の翼を引き裂かれ、飛行するための魔力を練っていた部位が破損し地面に落下。
「太陽神の使いめぇぇ!」
オークやゴブリンと異なり、正確な言葉を発したことで近くにいた隊員達は十分な知性があると判断し、即座にナイフを引き抜いて手足に突き立てる。
マラストスは激痛の悲鳴を上げてのたうちまわろうとするが、ナイフが全身を固定し動くこともままならない。
「魔王はどこだ」
隊員が問うが、魔法らしき物を使おうとしたのを確認すると、即座にナイフで深く手足をえぐる。
絶叫が上がり魔法が中断されると再び繰り返す。
「魔王はどこだ」
淡々と質問を繰り返し、十数分後には体を切り刻まれ、出血死したマラストスの死骸が転がった。
通信によって救助を切り上げ、魔王がいるという本陣に向かって行軍を開始する。