龍の国 日本 作:揚物
国交が開設して数ヶ月、軍官民の突貫作業でインフラが建築されたことで食糧問題は解決し、ユニット化された油田設備も持ち込み、備蓄が切れるぎりぎりで生産が開始された。
資源や食料に関して安定し、一方で技術的差が判明したことで、文明や文化に悪影響を与えてはならないとして、輸出に関してほぼ禁止となってしまった。
経済界からはそれなりの突き上げがあったが、学術情報や技術流出を繰り返す事で競争力を著しく失った過去を咎められ、国外への一切の販売禁止が決定された。
なんにせよ。国外から入っていた製品や部品の国産化で産業界に余裕はなく、輸入される資源を元に急ぎブラックボックスの解析やCPUなど重要技術の国産化に精一杯で輸出に費やす余力はなかった。
時折日本中に伝えられる龍の託宣、それによって国内はまとめられ大きな混乱も起きず、定期的な弓の輸出のみを行い、外交官も受け入れない鎖国体制を取りながら技術の向上と軍備を拡張していった。
中央暦 1637年8月、
比較的海流が落ち着いている海域に巨大な人工浮島を建設、小さいながら飛行機の着艦も可能であり、外交都市としてクワ・トイネやクイラとの外交や商取引を開始した。
一方でクワ・トイネおよびクイラ以外とはいまだ国交を開設しておらず、人工衛星の打ち上げや高高度偵察機を飛ばし、周囲の情報収集に明け暮れていた。
クワ・トイネから入る情報は限られるが、それでも列強と呼ばれる存在や、その国々の振る舞いもある程度は聞こえてくる。
限られる情報を精査した結果。交流を持つべきと判断したのは、列強第一位 神聖ミリシアル帝国、列強第二位 ムー国であった。
もっとも近くに存在する第四列強 パーパルディア皇国は覇権主義であり、大陸内で戦争が続いているため準備が整うまで関わるべきではないと判断。諜報員を送り込み、内情を探ることとした。
諜報員は文明圏外国家の商人としてクワ・トイネの船に乗り、パーパルディア皇国に向う。肩書きは東方の小国の商人である。
現物貨幣として金の延べ棒を用意し、商品として上質な砂糖や人工調味料、そして養殖真珠を多数運び込む。切り札として、コスト度外視で生産された50カラットのブルー・ピンクの人工ダイヤモンドが持ち込まれた。
パーパルディア皇国 エストシラント港
船で到着するとその足で外務局に向う。お供として装備を擬装した自衛隊員が付き従う。
レンガで造られた立派な外務局の扉を開き、他の入国者とともに待合室で順番を待つ。
「次の商人」
大分横柄な態度でありこれが諸外国との応対をする外務に所属するものかと呆れてくる。
表情には出さずそのまま呼ばれた受付に向う。
「東方の国から商取引に来ました」
「国名と氏名、そして売る物をそこにかくように。 許可発行は七日後になる」
随分と先になってしまう、しかしこう言う時の為に金の延べ棒を用意している。
100gの延べ棒が入った小さな封筒を取り出し、そっと受付に差し出す。
「何卒早く許可が降りるよう手配して頂けないでしょうか」
受付の男は封筒の中身を確認すると、笑みを浮かべそっと懐に入れる。
「ふむ、今日の午後には出来上がるだろう。 その頃に来るように」
やはり噂に聞いたとおり大分行政関係にも腐敗が広がっているようだ。しかし諜報を行うにも裏工作を行うにも都合がよい。
外務局を出てどの辺りの店と取引を行うか見立てるため、午後になるまで町を周る。
どこも小奇麗であり、建物にも統一性が感じられる。ガラス窓もある程度は使われているようだが、品質は良くなく大きさも限られているようだ。
時折通り過ぎる兵士達はマスケット銃らしきものを肩に担ぎ、隊列を組んで歩いている。
「どうやら文明も兵器レベルも中世より少し進んだ程度のようですね」
「確かに、入念に確認を行おう」
小声で話をしながら町を回っていると、随分と羽振りのわるそうな商店が目に入った。あそこなら上手く利用できそうだ。
町を回ることで数件当てをつけていると昼を過ぎ、外務局に戻ると用意されていた書類を受け取った。
一話だけじゃ味気ないので、ストックを放出。