パーパルディア皇国内では本格的な内戦がはじまり、ルディアス派とレミール派による交戦が始まった。
一進一退ともとれる戦いに両派閥共に戦力を失い、属領にほころびが発生し始めていた。
「レミール様、属領にも食料を配給しては如何でしょうか? また管理官をレミール様に従う貴族に入れ替え、今までとは異なる政策を実施すればさらなる名声につながるかと」
属領を汚職の酷い管理官ではなく、従順な貴族の領地支配体制に戻す。
そしていずれは貴族を州の代表者として選出し、貴族体制から徐々に民衆からの選出に移行させる。一世代の時間がかかる可能性があろうとも、これが最初の一歩となる。
「よかろう。 概要をまとめ提出せよ」
属領にはレミールに従順な貴族を領主として選出、レミールの指示として支配における注意点やなすべきことをまとめた書面を渡し、それを実行できる限り領地であることを認める。
もちろん指示されたことを実行できなければ、貴族としての地位と財産をはく奪し、新たな貴族に据え変えられる。
そのようなことを理解しつつも、元は国家であった巨大な領地を与えられ、歓喜してレミールを賛美して各地に散っていった。
貴族には私兵で領地を支配させ、引き上げた兵力はすべてルディアス派の軍とぶつけることができる。
もはや内乱は消耗戦の形を取り始めていた。
日本 第二技術研究所
「元々エアロスクラウフト社からML868の中型は購入していましたし、最大サイズも設計構造データだけはありましたから」
ML86X
全長 280m
最大幅 108m
最大高 66m
最大速度 222km
最大高度 3600m
最大航行距離 9445km
最大積載量 500トン
全世界最大のモンスター飛行船、それが航空自衛隊基地の滑走路で係留されていた。
時間こそかかっても、基本となる構造情報があり、参考となる現物があればそれほど長い時間かからない。
「テスト飛行1000時間をクリアしましたので、運用は可能です」
「これで運用の幅がかなり広がる。 500トンはかなり魅力的だ」
500トンと言う膨大なペイロードを持つ輸送機は、今後いかなる状況でも多くの力となる。
日本 第三研究所
「XF5U フライングパンケーキも完成しています。 こちらはまぁ、アメリカの技術者が好意的に協力してくれましたので」
全長:8.5m
全幅:11.1m
幅面積:44.13m^2
武装:12.7mm機関銃x6
Mk82 500bl爆弾x4
どこからどうみても空飛ぶ平面なカメもしくは空飛ぶ円盤な形状をしている。
幸いなことに現在でも運用されている民間機DC-4が同エンジンを搭載し、中小企業がエンジンメンテナンス部品の発注を受けていたため、たやすく製造することができた。
完成品は鉄製ではなく、利点である木材のハニカム構造や合成繊維などを使用して軽量化に努め、短距離飛行能力を優先している。
制空機としては多大なる問題がある代わりに、短距離離着陸及び大きなペイロードを持っている。
今後はムー国から航空機を一機輸入できれば、半年から一年で販売することもできるだろう。