龍の国 日本   作:揚物

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23.潮流・存在

 ルミエスは東に逃れ、浮島に到着していた。

 日本はパーパルディアの友好国であるため当初は絶望していたが。

 

「聡明なるレミール様に訴えては如何でしょうか」

 

 ルミエス自身にとって想定外の提案であったが、第三文明圏で保護ができる国などなく、身の安全を図るためには危険を冒す必要があった。

 ルミエスは覚悟をもって、日本からの書面をもってデュロを訪れ、前もって日本によって準備されていた手はず通り、直接レミールの元を訪れ書状を渡した。

 

「そのような命令を皇国がするとは、まるで内部を統制できていないではないか」

 

 属領統治や他国威圧による占領はもちろんレミールも理解していた。しかしやり方が余りにも品がない。

 レミールも女性であり、性奴隷として目の前の女を差し出せという、皇国の命令書にはさすがに気分を害した。

 

「レミール様、ここはルミエス様を保護し、慈悲と正当性を世界に訴えては如何でしょうか」

 

「もし、手元に置いていくのが問題でしたら、クワ・トイネ公国にでも滞在させては」

 

 レミール自身が気分を害しているのだ、あとは都合良く押すだけで充分。

 

「ルミエスと申したな。 我が名の下に保護を約束しよう。 デュロからクワ・トイネに赴くが良い」

 

 ルディアスが行う政策とは異なる道を進み、このままいけば女尊男卑の法令もレミールは通しそうだ。

 

 

 

 浮島

 ミリシアル帝国の領事館員が増えたのだが、スパイ活動まではいかないが、島を調べるような頻度が増えていた。

 少々未熟な諜報活動ではあるが、厄介であることに違いはなく、急遽ではあるがミリシアル帝国との対話を行う事とした。

 用意されたのはクラウドファインディングで制作された巨大飛行船 ML86X。オイ車及び砲戦車ホリを搭載し、浮島へと向かっていた。

 浮島から見える距離に巨大な船影が見えると騒ぎとなり、日本の大使館が呼びに行くことなく、ミリシアル帝国の外交官は窓からその状況を見ていた。

 

「まさか……」

 

 ミリシアル帝国にも飛行船はある。だが、ML86Xほど巨大なものではない。

 唖然としている中、日本の外交官の使いがミリシアル大使館に訪れた。

 

「太陽神の使いがいらっしゃいました。 お会いになりたいのでしたら飛行場にお出でください。 日本の外交官も向かっております」

 

「わっ、わかった。 私もすぐに行こう」

 

 

 浮島の飛行場に降り立った巨大飛行船、太陽神の国旗が描かれ、多くの人々が驚きながら眺めていた。

 接続されたタラップから3人の人間が下りてくる。

 着物を着用し、顔には様々な和面を付け、日本人と同じ人種と気付かれないよう、配慮しているのもあるのだが、日本と作法が違うということを明確にしたいのだ。

 

 日本大使館の者は敬うように差し出された紙を、丁寧に受け取り下がる。

 これで一応ではあるが上下関係があり、他国であると明確にしたい思惑がある。

 日本の用が済んだ事を確認し、ミリシアルの外交官であるフィアームは前にでる。

 

「私は神聖ミリシアル帝国の外交官 、あなた達は太陽神の使いであると間違いないだろうか」

 

 少しフィアームの方向を向くが、体までを向けることはない。

 

「あなた達と話すべきことはありません」

 

 筆頭と思われる者は再び飛行船に向かっていく。

 代わりに後ろに控えていた2名が前へと出る。

 

「筆頭は忙しいのです。 補佐である我々がお話を聞きましょう」

 

 本音を言えば不満ではあるが、会談の約束をしていなかったのだから仕方がないとフィアームは割り切る。

 

「まず質問にお答えします。 我々は太陽神の命により行動をしています」

 

「そうですか。 それでは正式な会談を行い、世界会議に向けて貴国へ大使館の設営などの話を」

 

「我々の全ては太陽神のために存在します。 太陽神の命がない限り、国内に迎える事はできません。 世界会議というものにつきましては、一月後に担当をここに送りお聞きしましょう。 それで宜しいでしょうか」

 

「……わかりました。 では一月後に」

 

 有無むを言わさぬ言葉の強さに、フィアームは了解してしまった。

 

「それでは失礼いたします」

 

 巨大な飛行船に全員が乗り込むと浮島を離れ、飛行場には降ろされた多くの物資と、外交官達だけがその場に残されていた。

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