龍の国 日本 作:揚物
中央暦1640年 4月
浮島に再度訪れた太陽神の使いと、神聖ミリシアル帝国の外交官フィアームとの会談が行われた。
会談の場所は巨大飛行船内の会議室である。
「我々はラヴァーナル帝国と戦う事を、太陽神から命じられています。 それ以外の事について干渉する予定はありません」
「しかし、我々神聖ミリシアル帝国もまた、ラヴァーナル帝国の復活に備えています。 来るべき日も近く、世界が協力する必要があります」
「確かにその通りでしょう。 我々は準備を進めています。 その技術は大変危険であり、他国がもし悪意をもって使用すれば、世界が滅ぶでしょう。 例えいかなる国であろうと、我々の国に受け入れるわけにはいきません」
核の技術、宇宙開発の技術、大陸間弾道弾の技術、そのどれか一つでも世界に広がれば、いずれ世界を壊してしまう。
倫理観がまだ育っていないこの世界ではとても危険な物だろう。
「神聖ミリシアル帝国は、そのような事は決してしません」
「神聖ミリシアル帝国なら大丈夫でしょう。 ですが万が一にでも、たった一人の諜報員によって他国に流れ、悪用されたら危険です」
ここまで危惧されている事を説明され、いささか納得しかねる内容にも口出しはできない。
ミリシアル帝国の軍事技術もまた、文明圏国家に悪用されれば、厄介な事になるのは間違いない事を理解していた。
「外交官3名でしたら、飛行船で空中から見学できるよう手配いたしましょう。 ですが国内に降りることも、映像で記録することも了承できません」
余りにも厳しい内容にフィアームは眉をしかめる。
神聖ミリシアル帝国を軽んじるような発言が多く、気分が良いものではない。
「我々神聖ミリシアル帝国は第一列強であり世界で最も進んだ国家、余りにも無礼ではありませんか?」
「如何なる国であろうとも、例外なく我々の対応は平等です。 全ては太陽神の意思のみ、太陽神様に命じられない限り、以前に下された神命通り、誰一人受け入れることはございません」
対応は全て一律とする。優先すべきは神命であると言うことを明確に、そして例外はなく不遇でも特別でもないことをはっきりしておく。
ここまではっきりと言われてしまえば、これ以上何かを言ったところで何も変わらない。
フィアームはそれ以上要求を伝えることはできず、会談は終了した。
パーパルディア皇国のルディアスに従っていた地域では、求心力の低下による離反が発生し、ロウリア王国では反乱が発生していた。
ロウリア王国を制圧していた軍団が離反し、新国家パーパルディア国を名乗り勝手に独立を始めた。
そのような事をルディアスが認めるはずもないのだが、レミール派との内戦中であり、兵力を送る余裕はない。
またレミール派でもない軍にクワ・トイネ公国が食料の供給をするわけもなく、パーパルディア国はどんどんと飢えていった。
その為クワ・トイネ公国の国境に、ワイバーンロードや兵団が略奪に現れ、非常事態に陥ってた。
しかし統制が取れない軍隊など、質の悪い略奪団となんらかわらない。
砕けた防壁に石を積んだり、死体で埋まっていた堀を整え、整備しなおしたギム防衛陣地には、ワイバーンも配備し備えていた。
そのほとんどをパーパルディア皇国に引き上げ、残っていた少数部隊から、さらに引き抜いた大隊規模にも満たない軍など、精鋭を集められたギム防衛隊4万にとっては敵として相手にはならなかった。
この事態を日本は予想していた。だからこそ、定められていた行動を開始した。